前回のあらすじ!!
Contents
何の書類にどんなことが記録されていてどうやって作るの?
それぞれの書類の概要とか作成方法はどうすればいいでしょうか。それに、個人事業主とフリーランス側にとって重要な書類はどれなの? という疑問も。
各書類について簡単な紹介をすると同時に個人事業主・フリーランスにとって大切な書類をそれぞれ5段階評価するので、是非とも参考にしてください。(但し主観バリバリ)
65万円のマイナスを受けるのに絶対必要な書類・主要簿
概要
青色申告において絶対必要な書類は総勘定元帳と仕訳帳の2つ
絶対必要なのに一番聞き覚えもなく名前からの推測もしにくい書類がランクインしてしまいました。
題名の通り65万円のマイナスを受けるのには絶対必要ですが、10万円のマイナスを受ける場合には実は必要ありません。というか、この2つの書類を作ったら65万円のマイナスを受けさせます、ぐらいの立ち位置です。
作成には基本的には簿記の知識が必要な上、どちらも会計ソフトを使用しての作成が主になります。
総勘定元帳 個人事業主・フリーランス重要度☆☆
・作成方法:会計ソフト
種類ごとに取引をまとめた書類です。
全書類の中で屈指の推測のしにくい名称を持つ書類。
取引を種類ごとにまとめた書類を総勘定元帳と言います。
例えば、現金と預金で建物や備品の購入、交通費の支払等の取引がある場合
- 現金で行った取引を全て羅列
- 預金で行った取引を全て羅列
- 建物に関する取引を全て羅列
- 備品に関する取引を全て羅列
- 交通費に関する取引を全て羅列
等々
を記録していきます。
ここで、ある疑問が1点
「現金で備品を購入したら、現金での取引と備品に係る取引で取引が重複しちゃわない? どっちかだけでいいの?」
重複前提でどっちにもそれぞれ記録します。
これには意味があって、どっちから参照した場合でもその取引を確認することが出来るようにするためです。
例
現金ページから確認→現金を使って備品を買った
備品ページから確認→備品を現金を使って買った
この書類を確認することで、その資産の受取・支払状況や損益の発生について事由を個別に確認することが出来ます。
しかし、個人的重要度は「☆☆」。
個人的にはこの書類は別に個人事業主・フリーランスの方への重要度はそんなに高くないと考えています。
理由としては以下の通り
- 補助簿→総勘定元帳といった順番で作成することが多いため、確認したい事項として挙げられる「現金・預金・売上・仕入」辺りは後述の補助簿で既に確認可能。別にこれを作らなくても確認出来る場合が多い。
- 作成には仕訳が必要のため簿記の知識が必要で作成ハードル自体も高い。
- 作成には会計ソフトがほぼ必要のため費用も結構かかる
- これを作成することによる費用対効果が低い
あれば便利なんでしょうけど、そもそも作成のハードルが高いです。あと、これを見なくても自分の作成した他の書類を見れば事足りることも多いです。
大企業とかになれば重要度は増すのでしょうが、個人事業主・フリーランスの方にとってはそこまでは必要ない、といった状況が多い印象です。
作成はほとんどの場合会計ソフトから。これを手書きで作成する方は職人だと思う。
仕訳帳 個人事業主・フリーランス重要度:☆☆☆
・作成方法:会計ソフト
全ての取引を仕訳にして時系列順で記録した書類です。
これまた馴染み深くない書類がランクイン。
この書類は、日々の取引を時系列順にまとめたものとなります。
例
1/1 現金で備品を購入
1/5 預金で地代支払
1/8 現金で備品を購入
実際は仕訳という形で記録されますが、内容としては上記の通りとなります。
これについても個人的重要度は「☆☆☆」。理由としてはほぼ先程の総勘定元帳と同じで
- 作成には仕訳が必要のため簿記の知識が必要で作成ハードル自体も高い。
- 作成には会計ソフトがほぼ必要のため費用も結構かかる
- これを作成することによる費用対効果が低い
といったハードルの高さと費用対効果の観点からです。
時系列で全ての取引を確認出来るのは便利なんですけどね。
必要に応じて作成する書類・補助簿のうち大体の人が作るもの
概要
65万円のマイナスには必要ないですが、65万のマイナスの適用を受けるために必要な先程の書類を作る基となる書類。
これらの書類は日々の取引を記録し、経営状況を確認する上で重要な書類となります。
現金出納帳 個人事業主・フリーランス重要度:☆☆☆☆☆
作成方法:手動、会計ソフト
日々の現金の受取・支払を記録する書類です。
家計簿とほぼ同じものですので、一番イメージのしやすい書類でもあります。
重要な役割としては以下の通り
- 取引の中枢を担う現金の取引を確認出来る
- 現在の実際の現金残高を確認出来る書類
上記2点から確認・検討出来る要素があまりにも多いです。
1日にいくら経費を何にどのように使ったか
1日のお金の流れ(キャッシュフロー)
余力資金
資金繰
等々
とにかく事業の経営状況や分析に必要な情報が詰まっているため重要度の高い書類です。
これらの情報はリアルタイムで確認することに非常に大切な意味があるため、後々で会計ソフトで作成出来るとはいえ、事業者・フリーランス自身で日々記録をするのが非常に重要
現金出納帳を作成することで、今日どれだけ経費を使ったか、使いすぎてないか、売上入金はいくらか、現状の資金の余裕度が感覚的に分かります。
家計簿という形で生活にさえ取り入れられてる点からも重要度の高さが伺えます。
でも、うち預金払が多いし、現金はそこまでじゃないんだよね~という方も多いのでは?
預金出納帳 個人事業主・フリーランス重要度:☆☆☆☆☆
作成方法:通帳
預金の入金・出金をまとめた書類です。
現金出納帳の預金版もあるのでした。
役割や重要度、内容については現金出納帳とほぼ同じですので、そちらを参照下さい。
作成方法としては、通帳記帳をすれば自動的に作成されるので、より楽ではあります。
固定資産台帳 個人事業主・フリーランス重要度:☆
作成方法:会計ソフト
固定資産の一覧表です。そもそも固定資産が一般的な言い方ではないのでは。
代表的な固定資産は以下の通り
- 建物
- アスファルト舗装
- 土地
- 10万円以上のパソコンや冷蔵庫といった設備
店舗を自分で持っていたりする場合には結構たくさんの種類が載る書類です。フリーランスの方の場合、めっちゃ高いソフトウェアやパソコンを購入した場合に載る可能性があるかもね、程度です。全くない方も多いのでは。
どちらかというと、相続税に係る際に重要になってきます。
所得税ではあんまり必要ない書類が他税目では一気に重要度が増したりするから税法って面白いですよね!
必要に応じて作成する書類・補助簿のうちあんまり作る人がいないもの
概要
ここからはその取引が多かった場合に作った方がいいかもね、といった立ち位置の書類です。
作成することでより深く経営状況を加味出来たりするいぶし銀な書類達。
現金出納帳や預金帳が安打タイプならこちらはスラッガータイプ。
売掛帳 個人事業主・フリーランス重要度:☆☆☆
作成方法:手動、会計ソフト
売上金額の請求金額や実際の入金日、入金期限等を管理する書類です。
商品やサービスを提供した日と実際にお金を受け取る日が別の場合、作成すると将来いくらお金が入ってくるのか、お金の流れが分かりやすくなる書類ですね。
売上=生活に係ってくる要素でもあるので、「入金表」といった形で作成している方も多いではないでしょうか。
買掛帳 個人事業主・フリーランス重要度:☆☆☆
作成方法:手動、会計ソフト
仕入金額の支払金額や実際の支払日、支払期限等を管理する書類です。
仕入やサービスを受けた日と実際にお金は支払う日が別の場合、作成すると将来いくらお金を支払わなければ、お金の流れが分かりやすくなる書類ですね。
こちらは相手先にもよりますが口座引き落とし等で預金出納帳と兼用している場合も多いのでは。
経費帳 個人事業主・フリーランス重要度:☆☆☆☆
作成方法:手動
発生した経費をまとめた書類です。
経費が発生しているということは、それだけ手元からお金がなくなっているということですので、そのお金の流れを確認することは経営分析としてはかなり重要な部類です。
支払が現金や預金の場合、先程の書類で同時に認識出来るため別個で作成するのはクレジットカードを使用する場合でしょうか。
利用明細という形で自動で作成してくれるので管理も便利です。
手形記入帳 個人事業主・フリーランス重要度:☆
作成方法:手動
各個人がそれぞれ持っている掌の形を保存した書類です。
何か問題が起こった場合にはこれを提出し、無実を証明します。
実際は約束手形をまとめた書類です。
約束手形って何? という印象が強い方が多いと思いますが、人生ゲームで出てくるあれです。
個人事業主・フリーランスの場合は約束手形を使用している方は多くないのでは。
債権債務記入帳 個人事業主・フリーランス重要度:☆
作成方法:手動
お金をもらう権利とお金を支払う義務をまとめた書類です。
お金を貸付けたりしている場合ですね。
入金伝票・出金伝票・振替伝票 個人事業主・フリーランス重要度:☆☆
作成方法:手動
1つ1つの取引について仕訳を行う書類です。
1日とかではなく、取引ごとに1枚記録を行います。
領収書が出ない経費支払の場合は出金伝票に書いて記録したりします。
主流じゃなくなったからなのか、数年前に簿記検定の試験範囲から除外された項目でもあったり。
現金式簡易帳簿 個人事業主・フリーランス重要度:☆
作成方法:手動
全てを現金取引としてその受取・支払を記録する書類です。
売上金額が年間300万円以下の個人事業主・フリーランスの場合、現金の受取・支払で全ての取引を記録出来る規定があるのですが、その際に使うことになるものです。
但しその場合は65万円のマイナスは受けられず10万円のマイナスになります。
そんなに簡単でもないので、上記の書類を作成した方が良い場合も
税理士に頼む? 頼まない?
どれをどう作成した方がいいのかは個人事業主・フリーランスの方によって異なるため、開業前後は税理士に依頼をして作成した方がいい書類や作成方法を聞くと効率的に作成が出来ます。
普段聞きなれない作りなれない書類ですので、適切な知識を持って正しい書類を作成するのが大切になってきます。