長年連れ添ったネコのおばあちゃん「あんたのちゅーるは私がネコババするよ!」
誰かが亡くなった際に発生する財産の相続。相続税の心配もさることながら、実際に誰が財産をもらうことが出来るのかが大切になってきます。
むしろ、相続税よりも財産を誰がどのように取得することが出来るのか、という方が大切になってくるのではないでしょうか。相続税は取得した財産に対して課す後付け的なものですので、入り口部分の財産の取得者が大切になってきます。
ドラマでよく見る「遺産目当てで結婚したんでしょ!!」というセリフも誰が財産をもらうことが出来るのか知っていれば「一番相続人として財産をもらえる配偶者の地位を得て財産の2分の1目当てで結婚したんでしょ!!」という妙に具体的なセリフに変貌します。
財産をもらうことが出来るのは大きく分けで2パターンに。それぞれ特徴が全く異なります。
それでは、財産をもらうことが出来るのはどんな人なのでしょうか。
Contents
パターン① 遺言がない場合・財産をもらう権利がある方達で相談してそれぞれ相続
概要
亡くなった方の相続人が主語となる財産取得方法です。
亡くなった方が生前に遺言書を作成していない場合、亡くなった方の意思が分からないため、法律で決まっている方がその相続財産を取得する権利が発生します。
この権利は順位付けされており、同順位に複数人いる場合にはその全員が、相続財産を取得する権利を得ます。
遺された側が、それぞれの権利のうちにどの相続財産を取得するのか決める方法です。
相続財産を取得する権利がある方
特別順位・配偶者
亡くなった方の配偶者(妻・夫)は基本的に常に相続財産を取得する権利があります。
法的に婚姻関係を結んでいる必要があるため、内縁での関係や同棲しているだけでは相続財産をもらう権利は全くないので注意。
逆に、婚姻関係を結んでいれば、別居していようが関係性が破綻していようが相続財産を取得する権利があります。
こじれやすいケースとしては以下の通り
- 夫婦関係は完全に破綻していたが、子供のために離婚はしておらず完全別居状態。
- 離婚を片方が受け入れてくれなかったため、完全別居をしている方で内縁の関係がある異性がいた場合
- 同性婚の場合
上記2つの場合は「あげたくない相手に財産をあげてしまう問題」が発生し、同性婚の場合は「あげたい相手に財産をあげることが出来ない問題」が発生します。
法的に認められた配偶者という性質上、唯一の存在になるため、もらえる相続財産の割合も他の順位と比べると厚いのが特徴。
このほかにも、相続税は配偶者に対しては厚い優遇規定が多いです。
第1順位・子供
亡くなった方に子供がいる場合、その子供は相続財産を取得する権利があります。
子供って言っても実子や養子、再婚相手の連れ子は子供に入るの? と意外に範囲が広い子供。
具体的には、以下の関係にある方は相続財産を取得する権利があります。
- 実子
- 養子
- 離婚した相手との子供
- 婚姻関係にない相手との子供
逆に、以下の場合は相続財産を取得する権利はないので注意
- 再婚相手の連れ子で、養子にしていない場合
- 婚姻関係にない相手との子供で、男性側が認知していない場合
ざっくりいうと、血が繋がっている又は法的に繋がっている子供が相続財産を取得する権利があります。
第2順位・両親
子供がいない場合、第2順位の両親(と祖父祖母等)が相続財産をもらう権利があります。
自分の子供に先立たれるというのはかなり辛い出来事です。
また、子供も両親もいない場合には祖父母等まで順位が上がっていきます。
第3順位・兄弟姉妹
子供も両親もいない場合には、亡くなった方の兄弟姉妹が相続財産をもらう権利があります。
兄弟姉妹になってくると、関係性が疎遠になってたり、まさか自分が相続財産をもらう権利があったなんて、と相続財産の取得権利自体の発覚が遅れるケースも多々。
パターン② 遺言がある場合・遺言の記載内容に従って取得
概要
亡くなった方が主語となる財産取得方法です。
亡くなった方が事前に作成した遺言書がある場合、その遺言内容に従ってそれぞれの方が財産を取得します。
遺言というのは終活等が謳われる今日において、比較的馴染み深いものなのではないでしょうか。
遺言書により財産を取得する場合、パターン①と違いは遺言書に書いてあれば基本的に誰でも取得することが可能です。
例えば
- 全く親族関係にないが、生来の友人に生前にお世話になったから財産をあげたい
- 子供の妻、夫が献身的に介護や世話をしてくれたので、そのせめてものお礼に財産をあげたい
- 孫に対して財産をあげたい
- 法的に婚姻関係にない内縁の関係の相手に財産をあげたい
こういった、パターン①で財産をもらう権利が発生しない方に対しても財産を渡すことが出来るのが特徴。
亡くなった方の意思を尊重する形での財産取得という形でそれぞれが財産を取得します。
ちなみに、遺言に記載されていたからといって絶対にもらう必要はなく、もらう側が拒否したらもらわないことも可能です。
次回予告
このページの執筆者
立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。