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漫画家さん作曲家さんの確定申告における注意点【確定申告・個人事業主】

ジャガーネコ
ジャガーネコ
前回は平均課税について確認していったね!
ミケ君
ミケ君
とりあえずコタツで寝ようよ。
ジャガーネコ
ジャガーネコ
平均していつもゴロゴロしているねミケ君は……。
ミケ君
ミケ君
そりゃあ、いつもゴロゴロしているからこそ、変動的に動いた時に平均課税が使えるからね!安定して動いているのは、変動的ではないんだよ!
ジャガーネコ
ジャガーネコ
こういう時ばっかり臨時的に上手い言い訳を……。

こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。

前回は、平均課税の対象となる収入や、効果について解説していきました。

それでは、実際に平均課税を使用する場合、どんな計算になるのでしょうか。

当事務所では、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
また、不動産売却を含め確定申告依頼のサービスも提供しております。
不明点等ございましたら、ご検討いただければと思います。

平均課税の計算方法の概要

平均課税を適用した場合、適用税率を低くすることで税額負担を平準化することになっています。

具体的には、対象となる所得の5分の1を基準にして計算を行います。

以下のような流れで解説していこうと思います。

  • 平均課税の適用要件その1
  • 平均課税の適用要件その2
  • 簡単な場合の計算方法
  • 難しい場合の計算方法

前提として、変動所得以外の所得がない場合として計算をします。

適用要件その1・総所得金額の20%以上が変動所得(臨時所得)に該当するかな?

総所得金額の20%以上が該当すれば適用!

平均課税を適用するには、総所得金額の20%以上が変動所得(と臨時所得)で構成されていなければいけません。

すごく難しく感じますが、漫画家さんや作曲家さんは、基本的に原稿料・作曲料がほとんどですので、大体適用になります。

不動産を売却しちゃってるんだけど、大丈夫?

不動産を売却していて、変動所得等以外の所得がすごく大きい!そんな場合でも、平均課税は適用できるのでご安心を。

不動産所得の売却による所得は、総所得金額を構成しないで別グループに入るので大丈夫です。

適用要件その2・変動所得は、安定しないで変動的かな?

去年・一昨年の平均と比較する

変動所得はその名の通り、変動していなければ適用はありません。

今年の変動所得のうち、去年・一昨年の平均よりも大きい部分にしか適用がありません。

  • 去年・一昨年の平均が300万で今年の変動所得が500万→500万-300万で200万に対して適用有
  • 去年・一昨年の平均が300万で今年の変動所得が300万→300万-300万で適用無し

ちなみに、去年又は一昨年が赤字の場合には、普通にマイナスして平均を求めます。マイナス=0円扱いという訳ではないので注意しましょう。

去年・一昨年とほぼ変化していなければ、安定してるよね

平均課税(変動所得)は、一過性で所得が大きくなった場合に、税負担を平準化させる規定です。去年・一昨年とほぼ変化していなければ、それが安定的な収入になり、適用はない点に注意しましょう。

簡単な場合の計算方法・前年に変動所得がない、赤字だった場合等の計算

5分の1して5倍する

前年や一昨年に変動所得がない場合や赤字で平均額が0円等の場合には、基本的には、以下のような計算になります。

  • 今年の変動所得を5分の1する
  • 5分の1した金額に所得税率を乗じる
  • 2番の金額を5倍にする

実際の計算方法は全く異なりますが、結果的な税額はこれでほとんど変わりません。

具体例

変動所得500万の場合

  • 500万/5=100万
  • 100万×5%=5万
  • 5万×5=25万(所得税額)

なお、平均課税を適用しない場合には、500万×20%-427,500円=約57万円になります。

とても安くなっているのが分かりますね!

前年に変動所得がある場合

計算方法は厄介で大変

前年に変動所得があった場合には、所得控除等との兼ね合いもありますが厄介な計算方法になります。

まずは、平均課税対象金額を確認

まず、平均課税の対象となる金額を確認します。具体的には、前述の「去年・一昨年の平均額」を超える部分が対象になります。

例:去年・一昨年の平均が300万円で今年の変動所得が500万→対象は500万-300万=200万

次に、調整所得金額と、残りの差額を確認

調整所得金額は課税される金額から平均課税対象金額の4/5をマイナスします。本来は所得控除があるのですが、今回は完全に無視して、今年の変動所得500万が全て課税される金額として計算をします。

例:500万-200万×4/5=340万(調整所得金額)

差額:500万-340万=160万

調整金額に対して超過累進税率を乗じる

上記で求めた調整所得金額に対して超過累進税率を乗じます。

例:340万×20%-427,500円=約25万円

調整所得金額に対する税率を求める

上記で求めた税額を基に、適正な税率を求めます。

例:約25万/340万=7%

残りを、その税率で乗じる

先程の差額に対して、先程の税率を乗じます。

160万×7%=約11万

最後に、税額を合計する。

最後に、2度出した税額を合計します。

25万+11万=約36万円

平均課税を適用しない場合には、約57万円ですので、10万単位で安くなっているのが分かりますね!

しかし、難しすぎます。

平均課税は難しい

前述の通り、平均課税の計算はとても難しいです。その上、計算の前段階でも適用の有無を確認しなければなりません。

計算・適用の有無共に非常に難易度が高いです。

困ったら税理士さんに相談をしてみましょう

平均課税はその性質上、とても難しいですが、税額負担の軽減としては非常に大きいものになります。

適用の有無で多額の税額負担が変わってきてしまいますので、困った時には近くの税理士さんに相談することをお勧めします。

また、既に申告してしまった過年度分に対しても、平均課税を適用しての修正も可能ですので、そこも含めて相談することをお勧めします。

まとめ

平均課税の計算のまとめ

・平均課税を適用すると税額負担が非常に軽減される
・変動所得の場合には、いくつか適用要件あり
・平均課税の計算方法はとても難しい

当事務所では、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
また、不動産売却を含め確定申告依頼のサービスも提供しております。
不明点等ございましたら、ご検討いただければと思います。

このページの執筆者

立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史

※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。