消費税

課税事業者の選択の届出を提出していなければ消費税還付を受けることが出来なかったとした裁決事例【消費税・確定申告】

ジャガーネコ
ジャガーネコ
消費税には一定の売上以下の場合には消費税を納めなくてもいい免税事業者という制度があるよ。
ミケ君
ミケ君
消費税を納めなくて良いなんてメリットしかないね!
ジャガーネコ
ジャガーネコ
ところが実は、還付を受けることが出来ないというデメリットもあるんだよね。

こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。

今日の日本の財政歳入で大きな割合を占めている消費税。身近な税金であるためか、良くも悪くも話題になりやすい税金でもありますね。

一説では、税理士に係る訴訟で多いのも消費税とのこと。

その理由の1つに、届出に係る期限もあるのでしょう。

提出出来ることを知らずに、気が付いた時にはもう遅い。よくあることですね。

今回は、消費税の届出を提出していなかったことにより還付を受けることが出来ないかどうかにより争った裁決事例を確認していきます。

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。

消費税の還付を受けるにはどうすれば良い?

免税事業者では還付を受けることが出来ない!

消費税の還付が発生するケースはいくつかありますが、代表的なものでは、支払った消費税が多く、控除不足還付税額が発生する場合ですね。

しかし、免税事業者の場合には、いくら支払った消費税が多くても還付を受けることは出来ません。(というよりも、消費税を支払うという概念にならない。)

それでは、免税事業者ではどうやっても還付を受けることが出来ないのでしょうか。

課税事業者になるためには、課税事業者選択に手続きが必要

免税事業者では還付を受けることが出来ないのなら課税事業者になればいいじゃない。

ということで、手続きを踏むことで課税事業者になり還付を受けることが出来ます。

しかし、手続きということは当然に期限等がある訳です。

今回は、還付申告が出来ると考えていなかったために、消費税課税事業者選択届出書を提出していなかった場合、還付を受けることが出来るか否かについて争った裁決事例について紹介します。

出典

出典:国税不服審判所ホームページ(令和3年1月18日裁決・争点番号500101050)

なお、裁決事例集には登載されておりません。

令和3年1月18日裁決・消費税課税事業者選択届出書を提出していなくても還付を受けられるか否かで争った裁決事例

請求人(納税者側)の主張

自分は、中古マンションに消費税等が課されるとは知らずに消費税等の還付申告が出来ると考えていなかった。

だからこそ、消費税課税事業者選択届出書を提出しなかっただけであって、実際に消費税等を納税した以上、還付請求権がある。

よって、消費税等の還付を受けることが出来る。

原処分庁(税務署側)の主張

請求人は免税事業者である。

また、本件課税期間の初日の前日である消費税課税事業者選択届出書の提出期限までに、その届出書を原処分庁に提出していない。課税事業者として仕入税額控除が適用することは出来ず、仕入れに係る消費税の控除不足が発生する事はない。

よって、消費税等の還付を受けることは出来ない。

結論

棄却(還付を受けることは出来ない。)

本裁決のポイント

免税事業者は仕入税額控除が適用されず、還付を受けることは出来ない。知らなかったでは済まされない

免税事業者では仕入税額控除が適用されません。また、請求人は、中古マンションに消費税等が課されるとは知らずに還付申告出来ると考えていなかったから還付請求権はあると主張しています。

しかし、そこは税法。知らなかったでは済まされません。知らないことに対する特例は特になく、通常通り免税事業者として還付を受けることは出来ませんでした。

なお、現在では……?

ちなみに、現在では居住用賃貸建物に係る仕入税額控除の制限の規定が適用されています。

中古マンションが仮に居住用賃貸建物に該当する場合、現在では課税事業者であっても基本的にその居住用賃貸建物に係る消費税等の還付を受けることは出来ないので注意しましょう。

届出の提出期限は怖い

今回は、知らなかったことから提出期限までに届出を提出しなかったことにより還付を受けることは出来ませんでした。

消費税では、提出期限は比較的シビアなものが多く、提出期限はとても気を使います。

知らなかったでは済まされない。提出期限は確実に確認しておくようにしましょう。

まとめ

還付を受けることが出来るか否かで争った裁決事例のまとめ

・免税事業者では還付を受けることが出来ない

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
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このページの執筆者

立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史

※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。