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不動産貸付業に係る多額の貸付の貸倒損失は不動産所得の必要経費になるか【確定申告・個人事業主】

ジャガーネコ
ジャガーネコ
不動産所得は収入から経費を差し引いた利益額で計算を行うよ!
ミケ君
ミケ君
え、じゃあ僕がいることでこの不動産の価値もあがった分も利益になるのかな!
ジャガーネコ
ジャガーネコ
ネコがいると癒されるからなぁ。

こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。

不労所得の代表格である不動産所得。

不動産賃貸に係るものについては、別個で所得区分が設けられているなど、中々特別扱いされています。

こちらのブログでも何度か紹介していますね。

不動産賃貸業は少し特殊なもので、必要経費の内容もそれに見合うものになります。

それでは、貸付金の回収不能はどのようになるのでしょうか。

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。

不動産所得に係る貸付金の回収不能

不動産の事業に係るものは貸倒損失として経費に算入

貸付金の回収不能。他の方に対してお金を貸付けたものの、貸付先の方の様々な事情等により回収が出来なくなった場合には、その回収不能は貸倒損失として必要経費に算入することが出来ます。

但し、不動産所得に係るもので、係わらないものについては算入することが出来ません。

不動産の事業に係らないものは経費に算入できない

不動産の事業に係らないものは必要経費に算入することは出来ません。当たり前と言えば当たり前ですね。

今回は参考に、貸付金の回収不能が、必要経費に算入するか否かで争った裁決事例を紹介します。

出典

出典:国税不服審判所ホームページ(令和3年6月28日裁決・争点番号200804130)

なお、裁決事例集には登載されておりません。

令和3年6月28日裁決・不動産所得に係る貸付金の回収不能が必要経費に算入されるか否かで争った裁決事例

請求人(納税者側)の主張

自分は、業務委託契約先にお金を貸付けていた。

当該業務委託契約先に対する貸付金は、不動産貸付業の資金義繰りの円滑化を図る目的で貸し付けたものである。

そのため、回収不能となった本件貸付金に係る未収利息は不動産貸付業の遂行上生じたものであるし、その貸倒損失は不動産貸付業の遂行上生じたものである。

そのため、未収利息及び貸倒損失は、不動産所得の計算上、収入及び必要経費に算入することが出来る。

原処分庁(税務署側)の主張

請求人が主張している貸付金について、本件貸付金と業務委託契約の関連性は見当たらない。

また、個人で不動産貸付業を行う者が、業務委託契約先に多額の貸付けを行うことが、社会通念上、客観的に見て不動産収入を得るために直接の関連性を有しているとは認められない。

また、その貸付目的も、請求人の祖父の主観的な事業にすぎない。

本件貸付金は、請求人の「事業の遂行上生じた」とは認められない。

よって、本件貸付金から生じた未収利息及び貸倒損失は、不動産所得の金額の計算上、収入及び必要経費に算入しない。

結論

必要経費に算入しない

本裁決のポイント

不動産所得の業務の遂行上生じたものでなければ必要経費に算入できない

今回のポイントは、貸付の発生が業務の遂行上生じたものか否かでした。

請求人は、資金繰りの円滑化を図る目的で貸し付けたとしているが、原処分庁側が、そもそも、不動産賃貸業を行う者が多額の貸付けを行うことは一般的に行われることではないと主張しています。

また、業務委託契約との関連性もなく、貸付目的も請求人の祖父の主観的な事情にすぎないとこの。

上記の点から、事業の遂行上生じたものではないとして、必要経費等に算入できないとしています。

業務委託先に多額の貸付けをするのが、一般的に必要?

今回の1つのポイントとして、不動産賃貸業を行う者が、業務委託先に多額の貸付けを行うことが社会通念上必要か否かでした。

確かに、考えてみれば不労所得の代表格である不動産賃貸業にて、業務委託先に多額の貸付けを行うことが一般的であるとは少し考えにくいところ。

特殊な事情がある場合には、よりしっかりとした合理的な理由が必要ですね。

社会通念上、客観的に見て妥当か否か

今回の社会通念上妥当か否かは、今回に限らず他のものでも考えられます。

例えば、一般的にあまり接待が必要のない職種が、あまりに接待交際費を多額に計上している等であれば、そこはやはり首をかしげてしまうもの。

営業成績という意味でも、自分の過去の行いが一般的か否かはしっかりと検討しましょう。

まとめ

不動産賃貸業の貸倒損失のまとめ

・事業の遂行上生じたものでなければ、不動産所得の計算上算入できない

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
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このページの執筆者

立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史

※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。