こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。
確定申告時期が到来。事業所得などの他、不動産の譲渡についても確定申告が必要になります。
不動産の譲渡のうち、居住用財産を譲渡した場合には一定の特例の適用が検討出来ます。
それでは、どのような特例なのでしょうか。
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
Contents
居住用財産を譲渡した場合の特例
3つの特例がある
居住用財産を譲渡した場合の特例は大きく分けて下記の3点があります。
・特別控除
・軽減税率
・買換特例
上記の規定については、居住用財産を譲渡した場合に適用があります。
じゃあ居住用財産って?
それでは、居住用財産とはどのようなものをいうのでしょうか。
居住用財産とは簡単にいうと、居住のように供していた不動産のことを指します。
しかし、居住用のように供していた、というのは客観的な概念になります。
基本的にはそこが自宅であれば住民票を移しているはずなので、住民票上の住所が居住のように供した場所という考えになります。
それでは、この特例を受けるための住民票を移したらどうでしょうか。
今回は参考に、住民票上の住所を譲渡した場合であっても特例の適用がなかった事例を紹介します。
出典
出典:国税不服審判所ホームページ(令和4年4月5日裁決・争点番号202711010)
なお、裁決事例集には登載されておりません。
令和4年4月5日裁決・住民票上の住所であっても、生活の拠点ではないため居住用財産ではなかったとした事例
請求人(納税者側)の主張
私は、譲渡家屋及びその敷地(以下、譲渡家屋等という。)の他にも家屋「以下、請求人家屋という。」を所有していた。
譲渡前の一定期間は、請求人家屋はほとんど利用していなかった。また、譲渡家屋等の所在地を住民票上の住所と定め、専らそこで生活をしていたため、生活の拠点は譲渡家屋等にあるといえる。
そのため、居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例を受けることが出来る。
原処分庁(税務署側)の主張
譲渡家屋等における電気及び水道の利用状況が極めて少ない。
これらの状況を鑑みると、生活の拠点が譲渡家屋等であったとする請求人の主張とは整合しない。
このことから、請求人の譲渡家屋等への入居目的は、単に居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例を受けるためと考えられ、真に譲渡家屋等への居住の意思を持っていなかったことは明らかである。
よって、居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例の適用を受けることは出来ない。
結論
棄却(適用を受けることは出来ない。)
本裁決のポイント
本裁決のポイントとしては、その住民票の異動・入居はこの特例の適用を受けることだけを目的としていたと認められたこと。
生活をする上で、ライフラインである電気や水道の使用はほぼ必須になります。
そこの利用状況を見ると、極めて少ないことから、ほぼその譲渡家屋等が使用されていなかったことが分かります。
このことから、譲渡家屋等への入居は、この特例の適用を受けるためのものと認められ、本当の住居ではなかった、という判断ですね。
特例を受けるための住民票の異動はやめよう
居住用財産の特例は、元々生活の拠点である自宅の譲渡による税負担の軽減を目的として規定がされています。
そのため、生活の拠点ではないにも関わらず、特例を受けるための入居などをしてもその趣旨とはあいません。
税額軽減のための作られた規定は悪用せず、趣旨にのっとった適用をしましょう。
まとめ
・単に特例を受けるための入居などでは特例を受けることはできない
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
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このページの執筆者
立川のネコ好き税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。