こんにちは。立川のネコ好き税理士藤本です。
「仕事で使っている車やバイクを買い替えたので、古いものはプライベート用にした」
「仕入れた食材が余ったので持ち帰って家で食べた」
などなど、元々仕事用で購入した資産をプライベートで使用する場面は少なくありません。
仕事用で購入した資産をプライベートで使ったらどうなるの?といったご相談も最近いただきました。
Contents
仕入材料など、仕事用資産をプライベートで使用すれば、生活費を経費計上出来て節税!!
そうは問屋が卸さない
仕事用に仕入れた資産は経費計上出来る!→それをプライベートで使用すれば、実質的に生活費を経費計上出来て節税できるのでは⁉
そんな節税方法がありそうですが、もちろんそこは課税の公平性を大切にする税金。そのようなことは出来ないような規定が作成されています。
それでは、どんな処理が必要になってくるのでしょうか?
仕事用の資産をプライベートで使用したらどうなる?
仕事用の資産をプライベートで使用することを家事消費(や自家消費)という
仕事用に購入した資産をプライベートで使用することを家事消費(自家消費)と言います。
文字通り、家事の用に消費したことを指しますね
混ざりやすいけど家事消費にならないもの
仕事用の口座からプライベートの支出をした場合には、家事消費とは言いません(厳密には言うのかもしれませんが)
この場合には、事業主借などの科目になり、特に税法的な処理は行いません。
預貯金などで購入した事業で使用している資産をプライベート用に流用や転用した場合に家事消費が該当する、と考えると分かりやすいかもしれません。
仕事用資産を家事消費すると収入に!
仕事用の資産を家事消費すると、基本的に収入に計上されることになります。
意外と忘れやすい内容でもあるので、注意です。
資産と税金の種類によって取扱いが異なる
家事消費すると収入に計上されますが、資産と税金の種類によって取扱いが異なります。
細かいところで異なる点があるので注意しましょう
資産の種類
概要
資産と一口に言っても色々ありますが、適用が考えられるのは、ざっくりと以下の3点
- 棚卸資産
- 準棚卸資産
- 固定資産
棚卸資産
材料や商品などの仕入れた資産のことを言います。
飲食店が購入した食材などの材料
雑貨屋が購入した商品など
何となく、感覚的に材料や商品と感じるものは大体、棚卸資産に該当します。
準棚卸資産
所得税での概念で、材料や商品ではないが、棚卸資産と同等に取り扱うように定められている資産です
10万円未満のパソコンなどの固定資産
20万円未満で一括償却の方法を選択したパソコンなどの固定資産
などが該当します。
固定資産
建物や車などの長期に渡って使用して収益を得ていくことを目的としている資産です。
事務所用建物
事業で使用する車
などが該当します。
所得税・住民税での家事消費の取り扱い
収入計上する棚卸資産と準棚卸資産
所得税では、棚卸資産と準棚卸資産については、家事消費をしたら収入に計上します。
飲食店で大量に食材を仕入れて、それを家庭のご飯でも使用していたら、家庭の食費分まで経費に計上出来てしまうので、それを防ぐなどの目的で行われています。
棚卸資産
仕入金額又は時価の70%の金額でいずれか高い金額を収入に計上します。
例えば、50円で仕入れた100円で売却する雑貨の場合には
50円<100円×70%=70円 となるので、70円を収入に計上します。
ちなみに、70%に限らず80%や100%の金額でも収入に計上することが出来ます(その分収入が増えるので税額は上昇します)
準棚卸資産
家事消費時の時価の金額を持って収入に計上します。
例えば、時価5万円のパソコンを家事消費した場合には、5万円を収入に計上します。
固定資産
固定資産を家事消費(プライベート用に転用)した場合には、特に収入計上は行いません。
固定資産の場合には、即時で経費になるのではなく、時の流れと同時に経費になっていくので、時価等で収入に計上する必要性がないのですね。
但し、その固定資産に係る経費については、家事消費した月までしか経費計上出来ないので注意です。
消費税での家事消費の取り扱い
基本的に、売上に係る消費税として計上
消費税では、資産を家事消費した場合には、収入(売上に係る消費税)に計上することになります。
一旦仕事用で高額の車などを購入して消費税負担を軽くして、プライベートに転用することで、実質的に生活費関連まで事業用の消費税に計上することを防ぐ目的ですね。
棚卸資産
仕入金額又は時価の50%の金額でいずれか高い金額を収入に計上します。
例えば、50円で仕入れた100円で売却する雑貨の場合には
50円<100円×50%=50円 となるので、50円を収入に計上します。
ちなみに、50%に限らず70%や100%の金額でも収入に計上することが出来ます。
所得税とずれると複雑になってしまうので、仕入金額や70%で計上すると分かりやすいかもしれません。
準棚卸資産
家事消費時の時価の金額を持って収入に計上します。
但し、消費税では準棚卸資産という考えがないので、取扱いとしては固定資産として取り扱われます(というより、棚卸資産以外の資産という一括り)
例えば、時価5万円のパソコンを家事消費した場合には、5万円が収入に計上されます。
固定資産
原則的には家事消費時の時価の金額を持って収入に計上します。
まとめ
棚卸資産
所得税→仕入金額又は時価の70%以上
消費税→仕入金額又は時価の50%以上
準棚卸資産
所得税→家事消費時の時価
消費税→家事消費時の時価
固定資産
所得税→特になし
消費税→家事消費時の時価
法人が家事消費すると?
法人に家事消費という概念はない!
法人は人ではないので、家事消費という概念は実はありません。
法人が野菜食べたりは出来ないということですね
役員や従業員にあげるということになると、給与などになる
法人が、自分の持っている資産などを役員や従業員に無償で渡した場合には、給与や福利厚生などで損金で計上するとともに、売上などの益金を計上します。
固定資産の場合には、資産が減る処理も入るので注意しましょう。
まとめ
- 資産を家事消費すると収入を計上する
- 資産の種類と所得税・消費税により異なる
このページの執筆者
立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。