こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。
自宅の新築等を取得等した場合に適用のある税額控除で有名なものといえば住宅借入金等特別控除額。複数年に渡って税額控除が行えるものですね。
こちらと一定の要件を満たせば選択適用で受けることの出来る規定として、認定住宅新築等特別税額控除という規定があります。
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
Contents
認定住宅新築等特別税額控除とは
一定の優良住宅を取得した場合に適用のある税額控除
認定住宅新築等特別税額控除とは、一定の優良住宅を取得した場合に適用のある所得税の税額控除の規定です。
最大で65万円の控除が可能ですが、基本的に当年1年しか適用がありません。
借入金の要件はない
住宅借入金等特別控除額との相違点として、借入金の要件がないこと。
借入金を用いて取得を行っていない場合でも適用を受けることが可能です。
翌年に繰越控除が可能
基本的に当年1年のみしか適用がないですが、所得税から控除しきれない場合などは、翌年1年のみ繰越して控除を受けることが可能です。
その際は、確定申告書にその旨の記載や添付書類が必要になるのですが……。
今回は、確定申告書にその旨の記載等がなかった場合で繰越控除の適用を受けるための更正の請求が出来るか否かで争った裁決事例を紹介します。
認定住宅新築等特別税額控除に係る裁決事例
出典:国税不服審判所ホームページ(令和2年11月13日裁決・争点番号202799000)
なお、裁決事例集には登載されておりません。
※改正前の裁決事例になります。
令和2年11月13日裁決・認定住宅新築等特別税額控除の繰越控除を受ける記載を行うための更正の請求で争った裁決事例
請求人(納税者側)の主張
租税特別措置法第41条の19の4・認定住宅新築等特別税額控除の控除を受けた確定申告書等の記載等からすれば、繰越控除の適用を受ける意図があるのは明らかである。
にもかかわらず、確定申告書にその記載がないことは、本来あるべき法令の適用の誤りである。
そのため、国税通則法第23条に規定する更正の請求を行うことが可能である。
原処分庁(税務署側)の主張
請求人が提出した確定申告書には、本件繰越控除の適用要件たる、適用を受ける記載も添付もない。また、その件についてやむを得ない事情もない。
そのため、まず繰越控除自体は受けることは出来ない。
また、上記を加味すると、請求人は本件繰越控除の適用を前提としていなかったと考えられる。つまり、法令の規定に従っていないものでもないし、計算に誤りもない。
よって、更正の請求を行うことは出来ない。
結論
棄却(更正の請求を行うことは出来ない。)
本裁決のポイント
繰越控除の適用を受けないという判断をした確定申告書となった
本裁決のポイントとして、繰越控除の記載・添付を行わなかったことは法令の誤りか否かということ。
認定住宅新築等特別税額控除の繰越控除を行うための適用要件として、その旨の記載と添付が必要になります。それを行わなかったのは、法令に従っていないのではなく、請求人自身が「繰越控除を行わない判断をした」ということ。
よって、更正の請求を行うことは出来ないということです。
そんな判断あるのかなぁ、とも思いますが、申告納税制度の1つでもある当時の納税者の意図を尊重するということなのでしょうか。
繰越控除を受けるためには、要件を満たすことが必要
本件のように、繰越控除を受けるために要件を満たすことが必要となるケースは多々あります。その要件を満たしていない場合、本裁決事例のように「繰越控除を受けない判断をした」となることもある、ということですね。
翌年以後に影響が生じる繰越控除の適用要件。今回の確定申告で失念しないように注意しましょう。
まとめ
・「繰越控除の適用を受けない判断をした」ととられる可能性がある
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
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このページの執筆者
立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。