消費税

作成したノートでは仕入税額控除の適用がないとした裁決事例【個人事業主・確定申告】

ジャガーネコ
ジャガーネコ
消費税の仕入税額控除の適用を受けるには、帳簿及び請求書等の保存が必要だよ!
ミケ君
ミケ君
帳簿ね……僕の作成した経費ノートでも帳簿に該当するかな!
ジャガーネコ
ジャガーネコ
作成したノートでも適用を受けることが出来るのかみていこう!

こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。

インボイス制度が迫ってきている今日。今後、消費税の課税事業者を選択する方も増えるのではないかと予想されます。

インボイス制度適用後にどうなるかは不明ですが、現時点の消費税法的には、基本的には帳簿及び請求書等を保存しなければ仕入税額控除の適用を受けることは出来ません(仕入税額控除の適用を受けないと納税者側が不利。)。

それでは、帳簿とはどのようなものなのでしょうか。

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。

消費税法における帳簿とは?

記載事項が記された書類のこと

帳簿といえば総勘定元帳や仕訳帳。それでは、消費税法的には帳簿とはどのようなものなのでしょうか。

消費税法的には、以下の事項が記載された帳簿のことを帳簿といいます。

 課税仕入れの相手方の氏名又は名称

 課税仕入れを行つた年月日

 課税仕入れに係る資産又は役務の内容

 課税仕入れに係る支払対価の額

摘要の入力内容にもよりますが、総勘定元帳や仕訳帳で基本的に網羅されていますね。

作成した経費ノートでも大丈夫?

消費税法的な帳簿は、上述の事項が記載されたものを指します。基本的には、総勘定元帳や仕訳帳で充足されるケースが多いですね。

しかし、ここで疑問になるのがそれ以外の書類でも良いのかどうか。

自分で作成した経費ノートでも消費税法の帳簿に該当するのか否かで争った裁決事例について紹介します。

出典

出典:国税不服審判所ホームページ(令和3年2月9日裁決・争点番号500601063)

なお、裁決事例集には登載されておりません。

令和3年2月9日裁決・作成した経費ノートが消費税法の帳簿に該当するのか否かで争った裁決事例

請求人(納税者側)の主張

当該経費ノートは、請求書や領収書と照合することで課税仕入れにあたることが判断できる内容で記載されていることから、消費税法第30条《仕入れに係る仕入税額の控除》第8項第1号に規定する帳簿の記載事項を充足する。

よって、当該経費ノートは帳簿に該当する。

このことから、当該経費ノートにより、課税仕入等について消費税法第30条第7項に規定する請求書等を保存しない場合に該当することから、仕入税額控除の規定を適用することが出来る。

原処分庁(税務署側)の主張

消費税法第30条第8項第1号に規定する法定記載事項は以下のとおりである。

 課税仕入れの相手方の氏名又は名称

 課税仕入れを行つた年月日

 課税仕入れに係る資産又は役務の内容

 課税仕入れに係る支払対価の額

このうち、当該経費ノートは、「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」及び「課税仕入れに係る資産の内容」が記載されていない。

よって、当該経費ノートは帳簿に該当せず、仕入税額控除の適用はない。

結論

棄却(仕入税額控除の適用はない)

本裁決のポイント

必要事項は記載しなければいけない

今回の裁決事例のポイントとして、消費税法第30条第8項に規定する帳簿の法定記載事項が記載されていないことがありました。

法定記載事項のうち年月日及び金額の記載だけしか記載がないため、帳簿には該当せずに仕入税額控除の適用を受けることが出来なかったということですね。

請求書や領収書と照合して判断できるとしても、記載事項はなければ帳簿にならないという判断ですね。

逆に、必要事項が記載されていれば経費ノートでも大丈夫なのでしょうか

上記の理由により適用が受けることが出来なかったことから、経費ノートに全ての記載があれば帳簿に該当するかと思われます。

とはいえ、やはり手書き等で行うのはやはり大変です。せっかくなら、会計ソフトを使用してその他の計算もしつつ、帳簿の記載事項を充足していけば効率的ですね。

インボイス制度が始まる前に改めて記載事項を確認しよう

インボイス制度が始まると、帳簿の法定記載事項が追加されることが想定されます(登録番号は追加予定)。

今後、課税事業者が増加すると想定されます。適用要件の大原則たる帳簿の要件はしっかりと確認していきましょう。

まとめ

経費ノートの仕入税額控除の適用のまとめ

・法定記載事項がなければ、帳簿には該当しない

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
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このページの執筆者

立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史

※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。