こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。
確定申告シーズン到来ですね。確定申告といえば、事業に係るものの他に、不動産売買に係るものも1つの論点として大きなウェイトを占めています。
それでは、不動産売買に係る譲渡所得はどのように計算を行うのでしょうか。
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
Contents
不動産売買に係る譲渡所得
基本的には、収入から取得費と譲渡経費を差し引いた利益額に課税
不動産売買に係る事業所得の計算は、基本的に、売却金額から取得費と譲渡経費を差し引いた利益に対して課税が行われます。このブログでも何度か紹介をしていますね。
不動産に係る費用については、色々なものがあります。
それでは、不動産の所有中に発生したものはどうなるのでしょうか。
それでは、固定資産税といったランニングコストは?
不動産を所有していると、所有しているだけで様々な支出が出てきます。
そのうちの1つに固定資産税があります。1月1日の所有者に対して課税が行われるものですね。
この固定資産税が譲渡所得に係る経費として、売却金額から差引くことは出来るのでしょうか。
今回は、参考にそれで争った裁決事例を紹介します。
出典
出典:国税不服審判所ホームページ(令和2年8月19日裁決・争点番号201304010)
なお、裁決事例集には登載されておりません。
令和2年8月19日裁決・固定資産税を譲渡所得の計算上差引くべきとして争った裁決事例
請求人(納税者側)の主張
自分の父から相続により取得した土地を売却した。
今回の土地売却に係る長期譲渡所得の金額の計算上、自分は、本件土地の所有期間中に固定資産税を支払ってる。
この固定資産税については、資産の取得費及び譲渡に要した費用以外の経費として、譲渡所得の金額の計算上差引くべきである。
原処分庁(税務署側)の主張
所得税法第33条《譲渡所得》第3項では、譲渡所得の金額の計算上控除出来るのは、資産の取得費及び譲渡費用の額の合計額に限られている。
今回の固定資産税については、本件土地を維持管理するために毎年支出していた費用である。そのため、資産の取得費に、譲渡に直接必要な譲渡費用にも該当しないことは明らかである。
また、譲渡所得の金額の計算上、固定資産税を控除する旨の法令の規定も存在しない。
このような状況であるから、本件固定資産税を、本件土地に係る長期譲渡所得の金額の計算上、経費として控除することは出来ない。
結論
棄却(経費として控除することは出来ない)
本裁決のポイント
固定資産税は、土地を維持管理するための費用。譲渡に必要な支出ではない
譲渡所得の金額の計算上、控除することが出来るのは、資産の取得費及び譲渡費用の額の合計額に限られます。
それでは、今回の固定資産税は、どちらかに該当するのか否か。
まず、取得費には該当しません。取得に要した費用ではないですし。
次に譲渡費用。譲渡費用は、譲渡を実現するために直接必要な支出となります。
固定資産税は、譲渡のために必要な費用ではなく、維持管理として必要な費用とのこと。
固定資産税を払ったから譲渡できた!ということでもないですからね。毎年必ず発生するものでもありますし。
そのため、どちらも該当せずに控除することは出来ない、ということですね。
譲渡所得は所謂、資産税と呼ばれる専門的な分野
譲渡所得は、他の所得とは一線を画すような論点。所謂、資産税として専門分野の1つとして考えられています。
単純な課税所得の計算だけでなく、数多くの特例がある論点でもあります。
かなり複雑な論点でもあり、見逃すとそれだけで税額多くなってしまうことも。
困ったことがあれば、税理士さんにご相談しましょう。
まとめ
・今回は、固定資産税は譲渡経費として控除は出来ない
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
このページの執筆者
立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。