ネコの気持ちを伝えよう
前回は、遺言に記載すべき財産内容の記入例を紹介しました。
遺言と言えば、財産を記入して、渡したい相手に財産を渡すというイメージが先行しがちですが、実は財産以外にも記入すべき項目はあります。
ここを見逃していると、遺言書があるのに、一部について相続人間で遺産分割をしないといけなくなる可能性も?
Contents
債務・葬式費用を誰が負担するかも記入しよう
概要
相続の際は、預貯金や不動産といった財産だけではなく
- 亡くなった方が負担すべき債務
- 亡くなった方に係る葬式費用
についても、相続人のうち誰が負担するかを決めなければいけません。
こちらについても、遺産分割協議書の対象になるので、遺言書に記載がなければ、これらだけのために作成が必要となります
債務
亡くなった方が支払うべき借金や、まだ納付していない住民税・固定資産税等の債務です。
財産と紐づけ出来る債務については、財産取得者が負担するのが一般的に多いです。その他の細かい債務については、相続人間が法定相続分通りに負担することも。
記入例
第〇条
1.前期ミーアキャットは、第1条に係る不動産に係る未納固定資産税・その他の借入金等が存在する場合には、当該不動産に係る一切の債務を承継するものとする。
2.遺言者が負担する債務のうち、上記に記載されている債務を除く一切の債務については、ミーアキャットが承継するものとする
葬式費用
遺言者が亡くなった際に行われる葬式費用についても、相続人の誰がその費用を負担するかを協議しなければなりません。
この点も遺言書に記入しておくと安心ですね
記入例
第〇条
前期ミーアキャットは、遺言者に係る一切の葬式費用を負担する。
負担すべき方が先に亡くなった場合に対応する予備的遺言
財産と同じように、遺言に記入されている方が先に亡くなったケースを考え、予めその状況に該当する場合に誰が負担するかを記入しておくと、より安全です。
記入例
第〇条
前期ミーアキャットが遺言者よりも先に、又は同時に死亡したときは、遺言者は、第〇条によりミーアキャットが承継するものとした債務は、前期リビアヤマネコが承継するものとする。
その他の遺言内容
概要
遺言には、上記までの
誰がどの財産・債務を取得・負担するか
以外にも、遺言者が亡くなった後の対応方法等についても、記入することが出来ます。
祭祀の指定
遺言者が亡くなった後、祭祀を主宰すべき方を記入することが出来ます。
遺言執行者
遺言執行者とは、記入した遺言の内容を実現するため、不動産や預金の名義変更・解約等を行うことが出来る権限を持つ方を言います。
亡くなった後、遺言内容通りに各々が取得出来るように動いてくれる方を指名することが出来ます。
名義変更等に係る手数料等の負担
不動産を名義変更する時には、登記代が発生する等、名義変更することによって発生する手数料についても、誰が負担すべきか記入することが出来ます。
ここは、各自取得者が負担することが一般的です。
この手数料等については、記入がなくても遺産分割協議の対象ではないため、記入がないからと言って、別個に協議書を作成する必要はありません。
付記事項
個人的に一番大切だと思っている場所です。
ここには、遺言者が、遺される方に対しての気持ちを自由に記入することが出来ます。遺言内容に合ったものでも、単純に、遺言者の気持ちでもOK
- 長年連れ添った妻・夫にはとても感謝している。残りの人生を何不自由なく、幸せに暮らしてほしいと思い、遺言内容の財産を取得してほしいと思った
- 遺された兄弟・姉妹が仲良く、協力し合って幸せに人生を歩むことを何より望みます
- 子供の妻・夫は、私に対して非常に良くしてくれて、おかげで最期の時まで何不自由なく生活することが出来ました。せめてもの感謝の印として、上記財産を取得していただくことを望みます。
遺言という最期のメッセージになるため、伝えたい事、望む事、気持ちを記入しましょう。
遺された方の気持ちの整理にもなります。
次回予告
このページの執筆者
立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。