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所得税法第73条・医療費控除/租税特別措置法第41条17の2・特定一般用医薬品等の特例

さて、私は先日体調を崩しましたが、無事に復活しました。

学生時代に病み上がりからの復活時に英語の先生にアイアム ア リバース!! って言ったら「私は逆回転」って返されたのを思い出します。

人間であるから体調を崩したり医療機関に行くことはあると思いますが、やっぱりそういう不可避な支出には所得税法上考慮してくれてる面があるんですね!

そんな訳で今回は医療関係の減税規定・医療費控除とそれと選択適用の特定一般用医薬品等の規定を紹介しましょう!

ところで特定一般用医薬品等って特定の医薬品なのでしょうか、一般的な医薬品なのでしょうか。

あ、今回は引用が多いです。

個人病院のイラスト

目次

1.医療費控除
2.どんな支出が医療費になるの
3.特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例
4.やっぱり健康が一番

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1.医療費控除

(医療費控除)
第七十三条 居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払つた場合において、その年中に支払つた当該医療費の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)の合計額がその居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の五に相当する金額(当該金額が十万円を超える場合には、十万円)を超えるときは、その超える部分の金額(当該金額が二百万円を超える場合には、二百万円)を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
2 前項に規定する医療費とは、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう。
3 第一項の規定による控除は、医療費控除という。

電子政府の総合窓口 イーガブより引用
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/viewContents?lawId=340AC0000000033_20190701_431AC0000000006#AF

さて、毎度のことながら難しいことが書いてあります。とはいえ、相続税法の規定に比べれば幾分か読みやすいように感じます。さすがは生活密着型の税法、所得税法です!

医療費控除による内容を簡単に説明すると以下の感じです。

①1月1日~12月31日までに支払った自分や一緒に生計立てている自分の家族に係る医療費の合計額から10万円をマイナスした金額を所得税の計算上マイナスするよ。でも最大200万円だよ。

②でもその年の所得金額が200万円以下の場合は、10万円じゃなくて所得金額の5%だけマイナスすればいいよ。

③保険金とかで補填された金額についてはマイナスできないよ。

ざっくり理解すると、自分とか家族に係る1年間に払った医療費の金額が10万円を超えてれば超えた分だけ所得税の計算上考慮しますよ、って感じですね。

ですので、その年に払った医療費が10万円を超えてなければ基本的に考慮されません。このラインなんでしょうね。

ちなみに、ここには書いてはいませんがこの規定を受けるためには会社員の方でも確定申告を行う必要があります。年末調整だけで済んだ~って方でもこの規定受けるためには自分で確定申告しなければいけないので注意です。

また、支払った医療費の内容が分からないといけないため、支払った医療費に係る明細書も一緒に添付する必要があります。領収書は提出しないで良いですが、保管しておかないといけないので、適当に封筒かなんかに突っ込んでおきましょう。

ちなみに国税庁が発表してるフォーマットはhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/iryoukoujyo_meisai.pdf こんな感じです。

確か確定申告時期のe-taxからも作成出来たような気がします。

診断書のイラスト

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2.どんな支出が医療費になるの

そこで疑問になってくるのが、じゃあどんなものが医療費になるの? という疑問です。

国税庁のホームページでは以下のように説明されています。

医療費控除の対象となる医療費は次のとおりであり、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています。
1 医師又は歯科医師による診療又は治療の対価(ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは原則として含まれません。)
2 治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となりますが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません。)
(注) 平成29年1月1日から令和3年12月31日までの間に支払う特定一般用医薬品等の購入費は、その年中に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の健康診査や予防接種などを行っているときに、通常の医療費控除との選択により、セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)の対象となります。
3 病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、指定介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価
4 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価(ただし、疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれません。)
5 保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価(この中には、家政婦さんに病人の付添いを頼んだ場合の療養上の世話に対する対価も含まれますが、所定の料金以外の心付けなどは除かれます。また、家族や親類縁者に付添いを頼んで付添料の名目でお金を支払っても、医療費控除の対象となる医療費になりません。)
6 助産師による分べんの介助の対価
7 介護福祉士等による一定の喀痰吸引及び経管栄養の対価
8 介護保険等制度で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
9 次のような費用で、医師等による診療、治療、施術又は分べんの介助を受けるために直接必要なもの(1) 医師等による診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの(ただし、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等は含まれません。)
(2) 医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、補聴器、義歯、眼鏡などの購入費用
 (注1) 電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合を除き、タクシー代は控除の対象には含まれません。
 (注2) 自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金などは、控除の対象には含まれません。
(3) 身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの規定により都道府県や市町村に納付する費用のうち、医師等の診療等の費用に相当するものや上記(1)・(2)の費用に相当するもの
(4) 傷病によりおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるときのおむつ代(この場合には、医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要です。)
 (注) おむつ代についての医療費控除を受けることが2年目以降である場合において、介護保険法の要介護認定を受けている一定の人は、市町村長等が交付する「おむつ使用の確認書」等を「おむつ使用証明書」に代えることができます。
10 骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金
11 日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金
12 高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定保健指導(一定の積極的支援によるものに限ります。)のうち一定の基準に該当する者が支払う自己負担金(平成20年4月1日から適用されます。)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm より引用

簡単に言うと、身体を治すための治療費ならオッケーということです。でも法外に高いものはダメだよとも言ってます。

多分ブラックジャックに支払った医療費は、そもそも医師免許持ってないし法外な値段だしで控除出来ないのではないでしょうか。

よく勘違いしやすいですが、この医療費は保険適用とか保険外とかは特に関係ありません。

特に有名なのがインプラント治療でしょうか。あれ保険外ですが、歯科医師が治療のために必要と判断して受けた場合は基本的に医療費控除を受けられます。この辺りは明文化されてなくて個々の判断になってくるので、一考はしなければいけませんが。

後は意外にも接骨院とかの治療費も対象になりますね。腰とか腕とか痛くなったら民間のマッサージ屋とかではなく、接骨院に行きましょう。プロに診てもらえるし保険適用だし医療費控除も受けられるしいいことしかありません。

私も税理士試験の勉強し過ぎて腱鞘炎になった時は毎日接骨院行って治療してもらって医療費控除受けました。柔道整復師の方も勉強でこんなに筋肉固くなるのやばいですね! って笑ってました。私もそう思います。

また、治療治療言ってきましたが、じゃあ予防に係る費用は受けられないの⁉ って疑問があると思います。

確かに、しっかり予防していれば医療費は発生しませんが予防費はかかりますね。予防にかかった費用を控除できないのは不公平な感じがします。

ですが受けられません。予防は医療費ではないので。

中々高度な一文です。

動物病院のイラスト

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3.特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例

(特定一般用医薬品等購入費を支払つた場合の医療費控除の特例)
第四十一条の十七の二 医療保険各法等(高齢者の医療の確保に関する法律第七条第一項に規定する医療保険各法及び高齢者の医療の確保に関する法律をいう。次項において同じ。)の規定により療養の給付として支給される薬剤との代替性が特に高い一般用医薬品等(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第四条第五項第三号に規定する要指導医薬品及び同項第四号に規定する一般用医薬品をいう。次項において同じ。)の使用を推進する観点から、居住者が平成二十九年一月一日から平成三十三年十二月三十一日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る特定一般用医薬品等購入費を支払つた場合において当該居住者がその年中に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として政令で定める取組を行つているときにおけるその年分の所得税法第七十三条第三項に規定する医療費控除については、その者の選択により、同条第一項中「各年」とあるのは「平成二十九年から平成三十三年までの各年」と、「医療費を」とあるのは「租税特別措置法第四十一条の十七の二第一項(特定一般用医薬品等購入費を支払つた場合の医療費控除の特例)に規定する特定一般用医薬品等購入費を」と、「医療費の」とあるのは「特定一般用医薬品等購入費の」と、「その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の五に相当する金額(当該金額が十万円を超える場合には、十万円)」とあるのは「一万二千円」と、「二百万円」とあるのは「八万八千円」として、同項の規定を適用することができる。この場合において、同条第三項中「第一項」とあるのは、「第一項(租税特別措置法第四十一条の十七の二第一項の規定により適用する場合を含む。)」とする。
2 前項に規定する特定一般用医薬品等購入費とは、次に掲げる医薬品(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第一項に規定する医薬品をいう。以下この項において同じ。)である一般用医薬品等のうち、医療保険各法等の規定により療養の給付として支給される薬剤との代替性が特に高いものとして政令で定めるものの購入の対価をいう。
一 その製造販売の承認の申請(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第十四条第三項の規定による同条第一項の製造販売についての承認の申請又は同法第十九条の二第五項において準用する同法第十四条第三項の規定による同法第十九条の二第一項の製造販売をさせることについての承認の申請をいう。次号において同じ。)に際して既に同法第十四条又は第十九条の二の承認を与えられている医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が明らかに異なる医薬品
二 その製造販売の承認の申請に際して前号に掲げる医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有すると認められる医薬品
3 第一項の規定により所得税法第七十三条の規定を適用する場合における同法第百二十条第四項及び第五項(これらの規定を同法第百二十二条第三項、第百二十三条第三項、第百二十五条第四項及び第百二十七条第四項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、同法第百二十条第四項中「次に掲げる書類を当該申告書に添付しなければ」とあるのは「当該申告書に記載した医療費控除を受ける金額の計算の基礎となる租税特別措置法第四十一条の十七の二第一項(特定一般用医薬品等購入費を支払つた場合の医療費控除の特例)に規定する特定一般用医薬品等購入費(次項において「特定一般用医薬品等購入費」という。)の額その他の財務省令で定める事項の記載がある明細書を当該申告書に添付し、かつ、当該居住者がその年中に同条第一項に規定する取組を行つたことを明らかにする書類(当該居住者の氏名、当該居住者が当該取組を行つた年その他の財務省令で定める事項の記載があるものに限る。)を当該申告書に添付し、又は当該申告書の提出の際提示しなければ」と、同条第五項中「前項第一号に掲げる書類」とあるのは「前項に規定する明細書」と、「医療費に」とあるのは「特定一般用医薬品等購入費に」と、「証する書類」とあるのは「証する書類(その領収をした金額のうち、特定一般用医薬品等購入費に該当するものの金額が明らかにされているものに限る。)」とする。
4 前項に定めるもののほか、第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

電子政府の総合窓口 イーガブより引用
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=332AC0000000026#AC

そんな声に答えて満を持して登場したのがこの特定一般用医薬品等の控除です。

医療費控除の規定があんなに読みやすかったのに一体どうしてこうなったのでしょうか。

この規定を簡単説明すると以下の通りです。

1.医療費控除の代わりに、特定一般用医薬品等費に係る支出を所得税の計算上マイナスしてもいいよ。

2.マイナス出来る金額は1万2千円を超えた部分ね。でもマイナス出来る金額は最大で8万8千円までね。

3.但し、体調崩したりしないよう予防した人しか適用出来ないよ。

3番目の予防って何って感じになりますが、インフルエンザの予防接種とか健康診断とかで大丈夫です。

後は一番大事な特定一般用医薬品等ってなんぞやということですが、薬局とかでそれを買った場合、レシートに記載されてます。私が知ってるのは、対象のものは黒星がつけられててれレシートに説明文があったという感じです。

確か、湿布とかは対象でしたね。物にもよるのかもしれませんが。

まさに医療費控除のミニバージョンという感じです。

ちなみに、この規定の対象になるものは先程紹介した本家本元の医療費控除の対象にもなりますので、普通に医療費結構支払ってる方は普通に医療費控除受けた方がいいです。

薬のイラスト(カプセル)1

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4.健康が一番

税金が安くなる、とはいえ、やっぱり医療費にお金を使用していることには変わりはないため、総合的に見て手元に残るお金が増えている訳ではありません。

この辺りは他の節税にも言えるのですが、税金を安くするためにたくさんお金を使う、ではやっぱり本末転倒な訳です。お金を残すために節税するのが多くの目的ですからね。

やっぱり医療費ともなると結構な金額になりますし、精神的にも負担がかかります。

私も先日体調崩したり、前年入院したりで思いましたが、やっぱり健康が一番の資産ですね。体が資本とはよく言ったものです。

これからも早寝早起きを心がけ、心身ともに健康で行きたいですね!