独身税
一時期、そんな税金が話題になった記憶があります。
内容としては、読んで字の如く、独身の方に対して特別に税金を課すものです。
独身税か~確かに面白いかもね~そう思う方も多いのではないでしょうか。
この独身税、実は海外に過去導入実績があります。
今回は、そんな面白(?)税金の独身税をざっくりとご紹介!
Contents
ブルガリアでの導入実績を基にした解説動画
もしも、日本でも独身税が導入されたらどうなるか……そんな空想税金仮想世界を動画にしました。
動画の内容は、実際にブルガリアで過去に導入されていた独身税をモデルにしてます。
こんな感じになったら、嫌ですね。
独身税とは⁉
概要
その名の通り、独身者に対して課されることを前提にした税金です。
狙い目としては、独身者に対して特別に税金を課すことで、結婚を促し、出生率等をアップさせることでしょうか。
日本での導入は?
日本での導入実績・導入予定はありません。
所謂、面白税金ネタの1つですね。
しかし、実は過去に海外では導入実績があります。
ブルガリアでの導入事例
概要
ブルガリアでは1968~1989年の間、実際に独身税が導入されていました。
内容は読んで字の如く、独身者に対して税金を課すというものです。狙い目としては、先程の少子化対策が主だったのではないでしょうか。
1989年ですから、遂30年ほど前まで、実際に独身税が導入されていたということになります。
税率
税率は、収入の約5%~10%とのこと
経費等を差し引いた後の所得か収入かなどは、日本と海外での税制の違いもあり不明ですが、仮に経費差し引く前の収入に対してだとしたら、かなりの重税ですね。
参考までに、日本でなじみ深い税金の税率は以下の通り
所得税:5%~45%
住民税の税率が10%
所得税は所得が約900万までは23%
単純に、住民税が2倍になるという感覚で良いのではないでしょうか。
6月に送られてきた住民税の納付書が2倍になるという認識です。重い
成功?失敗?
上記の独身税を導入したことで、ブルガリアの出生率は約0.3%ダウンしています。
何をもって失敗とするかは検討の余地がありますが、一番の狙い目であろう出生率が下がっていることは結構痛い失敗に感じますね
他の諸外国では
他にもフランスで1945年まで導入されたりしています。
独身税はなぜ失敗したの?
税金にはいくつか種類がある
税金には
- 課税の公平性を保つため
- 政策上の理由
といった、導入にいくつかのバックグラウンドがあります。
1番は分かりやすいですね。収入が高い人には高い税率をかける、医療費がたくさんかかった方にはその分税金を安くするなど
2番については、政策的に国民に行ってほしいことに協力した場合、税金で優遇します~というものが挙げられます。
- 不動産売買を活発化させたい!→住宅をローンで買ったら、税金を安くする
- 日本の技術促進を促したい!→研究開発費を多く支出したら税金を安くする
- 従業員の給料を上げてほしい!→給料を上昇させたら、税金を安くする
等々。そのほとんどが、税金を優遇する措置です。
それでは、独身税はどうなのでしょうか。
独身税は、恐らく政策上の理由
独身税は、課税の公平性や担税力と言ったものと結びつきにくい・少子化対策っぽい
などの理由から、政策上の税金と考えられます。
独身税は優遇ではなく、冷遇
独身税が失敗した理由としては、政策上の理由で設定したにも関わらず、優遇ではなく特定の人に対して増税する冷遇措置であったことが挙げられます。
その結果、結婚したい人も結婚資金を貯めにくくなり、結果的に出生率が下がってしまったのではないでしょうか。
独身税の導入には賛成?反対?
私は個人的には独身税には賛成できません。
個人的な懸念点として、独身者と結婚者との対立が激化するのではないかと。
特に、子供や親子連れに対して
独身税であることを盾に横柄な振る舞いをする方が現れるのではないかと
思います。
ピンポイントで税金のかかっている者・かかっていない者が分かってしまうと、あいつは俺・私より税金払っていない、という認識が嫌でも出てきてしまいますから。
誰がどんな税金払っているか何か、表面化しない方がいいに決まってます。
物事は一面的に見てはいけない
今回の独身税のように
税金を課す=それを嫌がり結婚する
といった一面だけを見て、それを期待してはいけません。
我々の業界でも、節税など一見メリットのあるような行いは多々ありますが
それ一面だけで見ていては、必ずどこかで失敗します。
それを行うことで発生するデメリットは何か、どのような裏が起きるのか
そういったことまで、きちんと確認しないといけないですね
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このページの執筆者
立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。