シャー訳帳!
前回までは、現金出納帳や預金帳などの補助簿と呼ばれる帳簿書類を見ていきました。
補助簿、という名前の通り、これらは主要簿を補助するための帳簿という側面もあります。
それでは、主要簿というものはどんなものなのでしょうか。
Contents
主要簿は仕訳帳と総勘定元帳の2点!
概要
青色申告者が作成する、簿記の基礎となる主要簿は以下の2点
- 仕訳帳
- 総勘定元帳
これらは補助簿を基に作成する
今までの現金出納帳や預金用は、領収書や取引残高を基に作成してきました。
紙ぺら1枚の領収書を組み合わせて作り上げることから、整理整頓やフリーランス・事業者が自身で確認するためのまとめ書類的な面がどちらかというと大きいです。
それに対して、主要簿はこれらの補助簿を基に作成します。
更に、主要簿2点がそのまま決算書作成の土台になります。
主要簿はどのように作成するの?
主要簿の2つは、基本的に簿記の基本的な考え方である仕訳を基に作成されます。
例えば、現金でボールペンを買ったという処理は
消耗品費100/現金100
というような処理を行います。
唐突の謎の1行に初めてみた方は意味が分からないと思います。これが仕訳で、行った取引全てをこのように処理を行います。
全ての取引に対して今までの生活で行うことのない処理が必要になる。これが、主要簿は簿記の基本的な知識が必要と思われる所以ではないでしょうか。
基本的には会計ソフトを使用して作成することになる
概要
主要簿は上記の通り、補助簿を基に仕訳を組み合わせて作成されます。
流れとしては以下の通り
仕訳を全て入力(仕訳帳完成)→その仕訳を取引の種類毎に全て総勘定元帳に記入
一般的には、仕訳を入力することで総勘定元帳に自動で転記される会計ソフトを使用して行います。
まず、仕訳を見てそれぞれ全てを手動で転記していったら、絶対漏れます。
これを全て人力で作成する方は超人です。
作成には簿記の知識が必要
仕訳を基に作成されるため、簿記の知識が必要となります。
そもそも、仕訳自体が簿記の知識がないと意味が分からないものです。
簿記の知識がなくても出来る!の正体
巷でよく聞く、簿記の知識がなくても出来る!というキャッチコピーの正体は
上記の仕訳をパソコンが自動的にやってくれる
という点が大きいのではないでしょうか。
先程の例で言うと、ボールペンを購入した領収書を読み取ると
消耗品費100/現金100
という仕訳を自動的に行ってくれます。
とても便利ですが、ある程度は簿記の知識がなければ、それが正しいのか間違っているかも分からないので注意です。
仕訳帳と総勘定元帳の効力や役割など
最大の効力・役割としては、決算書作成の直接の土台書類となることです。
今までの補助簿とは異なり、主要簿の2点は、事業主が確認するためというよりも、決算書類作成の土台と言う面がどちらかというと強いため、事業主の利便性向上のために用いられる部分は多くありません。
私もお客さんと話すことはあるのですが、試算表といった言葉はそれなりに認知があるのに対し、仕訳帳・総勘定元帳という言葉はそこまで認知がない点も、これらの書類がそこまで馴染み深いものないことが伺えます。
仕訳帳
概要
行った取引全ての仕訳をまとめた帳簿書類です。
基本的には、日付の順番で並んでいます。
効力
仕訳が確認出来ます。
去年はこれどうやって処理したんだろう?といった確認が行えますね。
作成義務
主要簿である仕訳帳は、作成義務があります。
特に、青色申告特別控除65万(55万)を受けるには必須の帳簿書類となります。
総勘定元帳
概要
行った取引を種類毎に分けてまとめた帳簿書類です。
イメージとしては、売上帳や現金出納帳の全ての種類版。
効力
種類毎に、全ての取引を確認出来ます。
売上や現金は、売上帳や現金出納帳などの専用の補助簿を作成していることも多いですが、その他の経費はそれぞれ個別にまとめることは少ないので、それらを確認することが出来るのは有意義ですね。
作成義務
主要簿である総勘定元帳は、作成義務があります。
特に、青色申告特別控除65万(55万)を受けるには必須の帳簿書類となります。
次回予告
———————————————————
このページの執筆者
立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。