総合栄養食賄賂
前回は小規模宅地等の特例を見ていきました。ちなみに、選択適用で特定計画山林などもありますが、あまり一般的ではないので割愛します。
申告が要件となっている規定については、
- 配偶者に対する相続税額の軽減
- 小規模宅地等の特例(特定計画山林の特例)
- 国等に対して相続財産を贈与した場合の特例
このうち、上2つについては、前回・前々回・前々々回・前々々課税期間で解説しました。
それでは、残り1つの国等に対して相続財産を贈与した場合の特例とは何でしょうか。
Contents
相続財産を国や地方公共団体等に寄付すると、相続税額が安くなる!
概要
相続・遺贈によって取得した財産を、国や地方公共団体、特定の法人や認定非営利活動法人などに寄付した場合には、その寄付した財産については、相続税額が課税されません。
条件
以下の全ての要件に該当すること
相続・遺贈によって取得した財産を寄付
相続が発生した後、自分の持ち物の土地とか現金とかを寄付しても、対象になりません
相続税の申告期限までに寄付する
申告期限が過ぎた後に寄付しても、対象になりません
相続があったことを知った日から10ヶ月以内なので、結構シビアなので注意
寄付先がこの規定の適用対象になっていること
寄付先は、国や地方公共団体、特定の公益法人
法人への寄付ならどこでも良い訳ではなく、特定の公益法人などに寄付する必要があります。
自分の同族会社にたんまり寄付して、相続税を安くする、などは出来ないので注意
手続き
相続税申告書に、寄付をしたことに関する書類を添付して提出することで適用を受けることが出来ます。
小規模宅地同様、寄付した人以外も相続税が安くなる!
前々回紹介した小規模宅地等同様、この規定によって寄付をした財産については相続税が課税されません。
相続税は、全体の相続財産の金額によって相続税額が上下するので、この規定を使用すると、相続税額全体が減少します。
これにより、寄付した方以外の相続税についても、安くなります。
所得税・住民税との関係
この規定を使用すると、結果的に所得税・住民税も安くなる可能性があります。
え~相続税って書いてあるのに、所得税・住民税も安くなるの!?というびっくり仰天ですが、
所得税・住民税にも、寄付をした場合には税金が安くなる規定
が存在します。
有名どころでは、ふるさと納税でしょうか。
相続財産の寄付先が、ふるさと納税であれば、相続税の優遇規定+ふるさと納税の優遇規定が使用可能
となります。
以前の医療費控除等でも紹介しましたが、相続税は所得税・住民税と密接に係わってくる点が多いです。
相続税だけに着目していると、気が付きにくい点ですので注意しましょう。
相続が発生したら、税法を跨いで適用が出来る規定も多々ありますので、必ず一度税理士さんに相談することをお勧めします。
ふるさと納税をした場合に、いくらぐらい税金が安くなるの?
前提
それでは、仮に相続財産をふるさと納税した場合には、相続税・所得税・住民税合わせていくら税金が安くなるのでしょうか。
前提として、基礎控除後の相続税の課税対象額を1億・法定相続人1人・ふるさと納税の上限は考慮なしということにします。
実際は、ふるさと納税の上限額がかなり制限にかかってくるので、机上論的にお聞きください。
ふるさと納税5万円
寄付しない場合の相続税→23,000,000
寄付した場合の相続税減税額→15,000
所得税・住民税の減税額→48,000
した場合としない場合の差額→63,000
ふるさと納税を5万円行い、これらの規定を受けると、税額は総額で約6万安くなります。
5万円払って6万円減税になるので、トータルで見ると得をしていることになります
ふるさと納税10万円
寄付しないの相続税→23,000,000
寄付した場合の相続税減税額→30,000
所得税・住民税の減税額→98,000
した場合としない場合の差額→128,000
10万円ふるさと納税した場合には、約13万の減税に。
ふるさと納税の上限もあるので、この辺りが一番現実的な限界ラインなのかなと思います。10万払って13万減税になるので、約3万キャッシュが残る計算ですね
ふるさと納税100万円
寄付しない場合の相続税→23,000,000
寄付した場合の相続税減税額→300.000
所得税・住民税の減税額→998,000
した場合としない場合の差額→1,298,000
100万ふるさと納税した場合には、約130万の減税に
100万ふるさと納税って割とやばいですけどね。その地方公共団体に対する個人の金額部門で1位になるのではないでしょうか。
あと、大体上限に引っ掛かるので、もっと減税効果は薄いです。100万払って130万減税なので、残るキャッシュは30万円。
130万円キャッシュが残る、という訳ではないので注意です
ふるさと納税1,000万円
寄付しない場合の相続税→23,000,000
寄付した場合の相続税減税額→3,000,000
所得税・住民税の減税額→9,998,000
した場合としない場合の差額→12,998,000
1,000万円ふるさと納税した場合には約1,300万円の減税に
ふるさと納税の上限にひっかかり、こんなに減税効果ある場合はほぼないので、注意して下さい。
1,000万円払って1,300万円の減税なので、手元に残るキャッシュは300万円。こんなに効果のある方いたら法人成りしてる気がします。
ふるさと納税の上限以内なら、基本的に支出を抑えられる
上記を見てもらうと分かる通り、基本的にふるさと納税の上限以内ならば、寄付した金額を減税金額が上回るので、得します。
手間などもあるので一概には言えませんが、積極的に検討しても良いのではないでしょうか。
財産自体は手元からなくなっているので注意
上記の通り、基本的に寄付金額より減税金額の方が高くなるので、トータルの支出額では損をしないのですが
一時的に手元のキャッシュは減ってしまうので注意しましょう。
どちらかというと、税金の前払い的な側面がありますので、普通に税金払うよりも手元のキャッシュは一時的に減少する、ということは留意しましょう。
次回予告
このページの執筆者
立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。