こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。
白色申告等の場合で収入が不明の場合等には、推計課税の方法で課税が行われることがあります。
推計課税とは、事実を基にしたフィクション。様々な状況証拠を基に収入等を推測して課税が行われます。
今回は推計課税で争った裁決事例を紹介します。
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
Contents
割箸の消費本数を基に推計課税が行われるか否かで争った裁決事例
ざっくりとした概要
売上の計上漏れ等あり、適正な売上額を確認しようとしても、レジのレシートロール等の売上に係る記録はなかった。
売上に係る記録がなく不明なことから、推計課税により売上を確認。
その際、食事に使用される割箸の消費本数から売上を推計する方法を取ったが、それは合理的でないとして争った事例
争点
割箸の消費本数から売上金額を算定することは合理的か否か。
全文及び出典
出典:国税不服審判所ホームページ
https://www.kfs.go.jp/service/JP/83/15/index.html
争点3
本件の争点のポイント
割箸の消費本数から売上を算定することは合理的か否か
飲食店の場合、水道光熱費を用いて収入金額を推計することが一般となっている。
割箸の消費本数から売り上げを算定することは、水道光熱費を用いた推計よりも合理的といえるか否か。
店側の主張
原処分庁(税務署側)は、異議申立て時においては水道光熱費を基に推計課税を行っており、推計課税の方法を変更するのは根拠が貧弱である。
また、割箸はお客さんだけでなく、取り換え時の廃棄やアルバイト等への賄い提供時にも使用する他、以前はトング替わりにも使用していた。
更に、カビが発生した等により割箸を大量廃棄したこともある。
これらに消費した割箸は売上金額に影響しないことから、割箸の消費本数からの推計課税は合理的ではない。
原処分庁(税務署側)の主張
当該店舗の売上伝票から客単価の把握が可能であったことから、食事時にお客さんが使用する割箸の本数から逆算して収入金額を算定することが合理的である。
推計課税の基となったのは、店舗側が作成した売上伝票や仕入先に対する調査に基づいたもので、恣意性はない。
また、客数に反映されない割箸部分は、割箸取り換え時のロスで考慮するのが合理的であるから、それを基に仕入本数の5%はロス分として控除している。
上記の事から、割箸の本数で推計課税を行うことは合理的である。
結論
割箸の本数から推計課税を行うのは合理的ではない。
今回の裁決のポイント
原処分庁が採用したロス率の5%はそもそも算定根拠を確認することが出来ない。
また、割箸は1,000本単位で仕入が行われ、ある年だけを見た実際の仕入本数と、年間仕入本数との相関性は近似的にしか把握し得ない。
割箸の年間仕入本数のうち、その年の客数に反映しない本数を、年間仕入本数に基づいて算定すること自体が合理的とは言い難い。
よって、特別な事情がない限り、飲食店における推計課税の通例である水道光熱費を基に推計課税を行うことが合理的である。
氷山の一角をみて全てを知ってはいけない
割箸の本数と客単価から逆算することは一見合理的に見えるが、割箸の廃棄等を考慮すると、不明確な部分は多い。
一見合理的に見えるのは実は氷山の一角で、その下に多くの事例が積み重なっていることも。
見えやすい部分だけでなく、見えないところを見なければいけませんね。
まとめ
・今回のケースでは、割箸の消費本数から逆算するよりも水道光熱費を基に推計課税を行った方が合理的
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
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このページの執筆者
立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。