コラム

ふるさと納税の返礼品は一時所得で時価を収入計上!その時価について争った裁決事例【確定申告・個人事業主】

ジャガーネコ
ジャガーネコ
この頃流行りのふるさと納税。その返礼品をもらったら一時所得に計上するね!
ミケ君
ミケ君
えーでも、返礼品の価額って不明じゃない?
ジャガーネコ
ジャガーネコ
返礼品を一時所得に計上するか否かで争った裁決事例について見てみよう。

こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。

この頃流行りのふるさと納税。2,000円多くの税金を負担する代わりに、税金の納付で返礼品をもらうことが出来る流行りの税金対策になります。

そんなふるさと納税の魅力の1つでもある返礼品。この返礼品については、一時所得に該当し、所得税等の課税が行われます。

しかし、やはり感情的には返礼品に対する課税は首をかしげるもの。

返礼品を取得した際、一時所得に計上するか否かで争った裁決事例を紹介します。

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。

ふるさと納税の返礼品を受け取った場合は、その時価を持って収入計上

ふるさと納税の返礼品を受け取った場合には、前述のとおりその返礼品を一時所得として収入計上します。

この場合の収入計上の金額は、所得税法の所得計算の通則である収入金額(所得税法第36条)を根拠条文として、その返礼品を取得する際の時価とされます。

今回の裁決事例の争点のポイント

今回の争点のポイントは、返礼品の時価金額がいくらになるのかになります。

出典:国税不服審判所ホームページ(令和2年8月6日裁決・争点番号201401019)

なお、裁決事例集には登載されておりません。

令和2年8月6日裁決・ふるさと納税の返礼品の収入計上で争った裁決事例

請求人(納税者側)の主張

原処分庁(税務署側)が算定したふるさと納税の返礼品の評価額は、評価方法が不明である。

一般の市場価額と乖離しているのか否かの判断が出来ないことから、この評価額は時価とは言えない。

よって、この返礼品の評価額は時価ではなく、一時所得の収入金額にすべきではない。

原処分庁(税務署側)の主張

本件各返礼品は、返礼品の価値を最も理解している地方公共団体が調達に要した費用を基に算定されている。

また、地方公共団体は寄付金額に応じた返礼品をホームページ等で公開していることから、その調達先と地方公共団体との間で特別な動機を挟む余地はない。

つまり、地方公共団体が返礼品の調達時において、その返礼品の時価を超える金額で確保することはないと考えられる。

よって、本件の各評価額は、取得等の時における客観的交換価値たる時価となり、その金額を一時所得として収入計上を行うべき。

結論

返礼品の取得等の時における時価を持って収入計上を行う。

本裁決事例のポイント

今回の裁決事例のポイントは、時価の金額の算定の相当性と思われます。

時価は、一般的な流通価格が一般的な考え方になります。よって、時価を考える際には返礼品の一般的な流通価格の金額をいくらか検討することになります。

そこで、原処分庁が時価の算定根拠にしたものは、地方公共団体が返礼品を調達する際に支払った費用の額。

一般的な流通価格で取得していれば時価の算定の基礎となりますし、忖度してもらって安めの価額でもらっていたら時価とは乖離していることになります。

調査の結果、地方公共団体は返礼品を一般的な流通価格として取得していることが分かったようです。

よって、その返礼品の時価については、一般的な流通価格である地方公共団体が返礼品を取得した価格を基に算定することは、相当だとし、原処分庁が算定した時価の金額をもって一時所得の収入金額とすることになりました。

つまり、今回は一般的な流通価格で取得していたのでこのような裁決結果になりましたが、地方公共団体が安めの価格で取得していたら真逆の裁決結果になっていた可能性があるということです。

時価、怖いですね。

一番曖昧でとっても怖い時価

「時価」というものは一番曖昧な金額であり、とても怖いものです。

明確な対価がない場合、時価を持って収入計上を行ったり贈与税の課税対象にするのが一般的ですが、どうしても曖昧で主観的なものも入ってしまいます。

時価については怖いところですので、必ず専門家に相談するようにしましょう。

まとめ

ふるさと納税の返礼品の時価のまとめ

・地方公共団体が返礼品を取得した時の価額を基に算定する方法もある

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
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このページの執筆者

立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史

※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。