コラム

税理士のミス・行動が法人の責任になるかで争った裁決事例【法人】

ジャガーネコ
ジャガーネコ
法人は期限内申告が要件となっている規定がいくつかあるね。
ミケ君
ミケ君
期限内申告をしていなかった場合、適用を受けることが出来ないんだよね。やむを得ない事情があれば救済措置もあるらしいけど。
ジャガーネコ
ジャガーネコ
やむを得ない事由で争った裁決事例を見ていこう!

こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。

法人の決算・確定申告に係る期限内申告は厳守されるべきで、期限を過ぎてしまうと様々な悪影響が出てしまいます。

代表的なものでは、2連続期限後申告になった場合に青色申告の承認を取り消すというものがありますね。

他にも赤字が出た場合、前年の税額と通算して還付を受けることが出来る欠損金の繰り戻し還付という規定もあります。

それでは、税理士に依頼していたが「税理士が期限内の還付請求書のt詠出を怠って適用を受けることが出来なかった場合には、法人側に責めがないとしてやむを得ない事由に該当する」のでしょうか。

今回は、上記の点がやむを得ない事由に該当するから繰戻還付が適用出来るか否かについて争った裁決事例を見ていきます。

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。

欠損金の繰戻還付とは?

欠損金の繰戻還付とは、欠損金(赤字)が生じた場合、前年の税額と相殺し、前年分の法人税等の還付を受けることが出来る規定を刺します。

適用を受けることが出来る法人は指定されており、基本的には青色申告を行っている資本金1億以下等の中小企業者等が受けることが可能です。

また、その際には「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を期限内申告の確定申告書と同時に提出しなければいけません。

但し、やむを得ない事由に該当する場合救済措置があります。

税理士が還付請求書の期限内の提出を怠っていたことによる裁決事例

やむを得ない事由とはどんなものが該当するのでしょうか。

実際に、税理士が提出を怠った場合はやむを得ない事由に該当するとして争った裁決事例があります。

税理士が提出を怠って上記還付請求書を期限内に提出が出来なかった場合にはやむを得ない事由に該当し、救済を受けることが出来るのでしょうか。

出典:国税不服審判所ホームページ(令和2年1月7日裁決・争点番号301303040)

なお、裁決事例集には登載されておりません。

令和2年1月7日裁決・税理士が還付請求書の期限内提出を怠ったことにより繰戻還付を受けることが出来なかった場合やむを得ない事由に該当するか否かの裁決事例

請求人(法人側)の主張

今回、還付請求書の提出が行えなかったのは、本件還付請求書の提出を受けた関与税理士がその提出を失念していたためである。

つまり、この提出の遅れは請求人側には落ち度はなく、真にやむを得ない事由に該当する。

よって、還付請求書の提出は認められ、欠損金の繰戻還付の適用を受けることが出来る。

原処分庁(税務署側)の主張

関与税理士に税務代理を委任することは、請求人が自らに意思と責任において行ったものである。

受任者である税理士が提出を失念して期限後に提出したことは、委任者である請求人の責任の範囲内である。

よって、請求人の責めに帰することの出来ない特別な事情とは認められず、やむを得ない事由に該当しない(=欠損金の繰戻還付の適用を受けることは出来ない。)。

結論

棄却(欠損金の繰戻還付の適用を受けることは出来ない)

本件裁決事例のポイント

顧問税理士の選択にも責任は科せられる

今回の裁決事例のポイントは、「依頼した税理士のミスは、依頼者たる請求人の責任になるか否か」でした。

請求人は、税理士のミスは自分には落ち度がないと主張しましたが、そもそもその税理士に依頼した時点で、税理士のミスも請求人の責任の範囲内との結論。

その税理士さんに依頼した貴方の責任、ということですね。

信頼出来る税理士さんを慎重に選び、かつ、信頼関係も築いていきましょう

上記のとおり「税理士がやったことでうちには責任はない」は通用しません。

まさに一蓮托生。

税理士に依頼する際は、信頼できる税理士さんを慎重に選ぶとともに、法人側と税理士側でお互いに信頼しあえるような関係性を築いていくことが大切ですね。

まとめ

税理士のミスによる欠損金の繰り戻し還付の適用のまとめ

・税理士がやったことでうちに責任はない、は通用しない。お互いに信頼関係を築いていくことが大切

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
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このページの執筆者

立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史 ※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。