こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。
時代は確定申告。確定申告といえば事業所得や不動産所得が代表ですが、それと同じくらい代表的なものに不動産の譲渡所得があります。
不動産の譲渡の中でもよくあるのが自宅たる居住用財産の譲渡。
居住用の財産を譲渡した場合、そこが生活の基盤たる居住地ということを鑑みて様々な特例があります。
また、新たに居住用財産を取得した場合に、一定の要件を満たす借入金がある場合には住宅借入金等特別控除の適用も検討出来ますね。
このように、居住用財産に対しては様々な特例があります。
それでは、これらの複数適用は可能なのでしょうか。
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
Contents
居住用財産に対する特例
居住用財産の譲渡所得の特別控除とは?
所謂自宅である居住用財産を譲渡した場合、一定の要件を満たしていれば、3,000万円の特別控除の適用を受けることが可能です。
単純に、利益額から3,000万円を控除出来るかなり大きな優遇規定。
売却金額が3,000万円以下ならばそれだけで税額は0円になると考えるとかなり大きなものであることが分かります。
住宅借入金等特別控除とは?
近年話題になっている住宅借入金等特別控除。住宅を購入した際に一定の借入金の場合には数年に渡って税額控除を行うことが出来る規定です。
こちらは税制改正大綱により改正が行われることが予定されておりますね。
令和3年時点では、一般的には1年あたり最大で40万円の控除になりますが、数年に渡って行うことが出来るため、累計額はかなりのものになります。
複数適用は可能?
上記の特別控除と住宅借入金等特別控除については、基本的に複数適用は出来ず、どちらかを適用することになります。
今回は、参考に上記のうち片方を選んだ後に、やっぱり他の方を選択したいとして争った裁決事例を紹介します。
出典
出典:国税不服審判所ホームページ(令和3年6月18日裁決・争点番号202717990)
なお、裁決事例集には登載されておりません。
令和3年6月18日日裁決・居住用財産の譲渡所得の特別控除を受けた場合、修正申告を行えば翌年に住宅借入金等特別控除を適用できるか否かで争った裁決事例
請求人(納税者側)の主張
自分は、税務署の職員から居住用財産の譲渡所得の特別控除(平成30年改正前のもの)の規定及び住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(平成30年改正前のもの)を重複して適用出来ると説明を受けていた。
これにより、重複適用が出来ると思い居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を誤って受けてしまった。
そのため、その適用を受けた年分の確定申告について、それを受けないこととした修正申告を提出した場合には、その翌年の確定申告において住宅借入金等特別控除の適用を受けることが出来るはずだ。
原処分庁(税務署側)の主張
請求人は、前年分の居住用財産の譲渡については特別控除の規定の適用を受けることを選択している。また、居住用財産の控除規定の適用を受けるか否かについては納税者の選択にゆだねられるのが措置法の趣旨となっている。
そのため、請求人が一度特別控除の適用を受ける確定申告を行った以上、その選択を修正申告によって変更することは出来ない。
よって、請求人は居住用財産の譲渡に対して、特別控除の適用を受ける旨の変更を行うことは出来ず、住宅借入金等特別控除の適用を受けることは出来ない。
結論
棄却(住宅借入金等特別控除の適用を受けることは出来ない)
本裁決のポイント
誤った説明を受けたとしても、申告納税制度では納税者の判断に委ねられる
今回のポイントは、選択適用をした後に修正申告を行うことでその選択を変更することが出来るか否かでした。
措置法では、納税者の選択にゆだねられるのが趣旨とされているとのことで、一度行った確定申告を修正申告では選択変更は出来ないとのことで、一度選択した特別控除を変更して住宅借入金等特別控除の適用を受けることは出来ませんでした。
とはいえ、請求人の主張で税務署の職員から重複適用が可能との説明を受けていたとのこと。少し、気の毒ではありますね。
逆に、住宅借入金等特別控除→特別控除の順番だったら修正申告で大丈夫だった気が
逆に、最初に住宅借入金等特別控除の適用を受け、その後その適用を受けた居住用財産を譲渡した場合には、住宅借入金等特別控除の適用を受けた年分に対して修正申告を行うことで適用を受けることが出来た気がします。
選択適用を行う際に、譲渡を行うか否かが分かっているかどうかの違いなのでしょうか。
個人の選択が重要視されるため、しっかりと確認をしましょう
今回は、請求人の主張が通らなかったとはいえ、税務署の職員の方に対して確認をしているなど、少し気の毒な内容でした。
個人の選択が重要視されるとのことですので、内容について鵜呑みにするのではなくてしっかりと確認しましょう。
まとめ
・重複適用をすることは出来ず、修正申告で選択変更もできない
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
このページの執筆者
立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。