こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。
近年は様々な投資方法があり多種多様な方法で資産形成を行うことが可能ですね。
昔からある投資方法の1つとして、有価証券(株式)の譲渡によるものがあります。
それでは、株の譲渡における税金関係はどうなるのでしょうか。
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
Contents
上場株式の譲渡による税金関係
上場株式の譲渡による所得は他の所得と分離して課税が行われる
上場株式の譲渡により利益を得た場合、不動産所得や給与所得といった他の所得とは分離して、上場株式の譲渡に係る利益のみをまとめて課税が行われます。
また、その際の税率は超過累進税率ではなく、一定の税率になります。
上場株式同士の利益や損失は通算できる
他の所得とは分離しますが、上場株式同士の譲渡・配当の利益や損失は通算出来る他、損失の繰越控除の適用を受けることも出来ます。
それでは、上場株式の譲渡に係る利益に対して、不動産所得や事業所得と言った他の所得の損失を通算することは出来るのでしょうか。
今回は参考に、総所得金額の損失を上場株式の譲渡に係る所得と通算できるかで争った裁決事例を紹介します。
出典
出典:国税不服審判所ホームページ(令和1年10月1日裁決・争点番号201813000)
なお、裁決事例集には登載されておりません。
令和1年10月1日裁決・総所得金額の損失を上場株式の譲渡と通算できるかで争った裁決事例
請求人(納税者側)の主張
自分は当年において、総所得金額の計算上生じた損失の金額と、上場株式等に係る譲渡所得の金額がある。
合計所得金額について、総所得金額の計算上生じた損失の金額をなかったものとみなす規定がない。また、上場株式等に係る譲渡所得等の金額が課税標準及び損益通算から除かれているのは、申告分離課税により税率が異なるためにすぎず、上場株式等に係る譲渡所得の金額から総所得金額の損失額を控除出来ないと規定したものではないことから、通算が出来るべきである。
よって、総所得金額の損失の金額は、上場株式等に係る譲渡所得の金額から控除することが出来る。
原処分庁(税務署側)の主張
租税特別措置法の規定上、上場株式等に係る譲渡所得等の損益通算について、他の所得の金額の計算上生じた損失の金額を上場株式等に係る譲渡所得等の金額から控除(損益通算)することは出来ないと規定されている。
更に、総所得金額の計算の結果マイナスとなった金額を上場株式等に係る譲渡所得等の金額から控除出来る規定もない。
よって、総所得金額の損失の金額を上場株式等に係る譲渡所得等の金額から控除することは出来ない。
結論
棄却(控除することは出来ない)
本裁決のポイント
措置法の分離課税と総所得金額の損失を通算することは出来ない
上場株式等に係る譲渡所得等の金額は、前述のとおり、他の所得と区分して課税が行われます。
それに対して、総所得金額の場合にはいくつかの所得と合算し、超過累進税率により総合課税が行われます。
これらは相互間がなく、基本的に合算も損失の通算も出来ません。
請求人は、税率が異なるだけで、総所得金額の損失の金額を控除出来ないと規定していないと主張しましたが、原処分庁はそれに対して、総所得金額の損失の金額を上場株式等に係る譲渡所得等の金額から控除することが出来る規定はないとの主張をしていました。
ここだけきくと水掛け論みたいにも感じますが……出来る規定がないものは出来ませんね。
株式に係る確定申告は簡単なようで検討事項が多い
源泉徴収選択口座等、近年は株に係る税額について簡単になるような手配が行われています。
しかし、簡単と奥の深さは表裏。一見簡単ではありますが、検討しようと思えばかなり多数の検討事項があります。
これらの検討事項を乗り越えて、確定申告をやっていきましょう。
まとめ
・総所得金額の損失の金額は上場株式等に係る譲渡所得等の金額から控除することは出来ない
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
このページの執筆者
立川のネコ好き税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。