消費税

給与支払額が1,000万円以下でも特定期間により課税事業者となった裁決事例【個人事業主・確定申告】

ジャガーネコ
ジャガーネコ
消費税の課税事業者になる条件はいくつかあるんだよ。
ミケ君
ミケ君
例えば、ネコちゃんに1,000万円超のお給料を払うとか?
ジャガーネコ
ジャガーネコ
人……じゃないから大丈夫なのか……?いや、そもそも高額特定資産?

こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。

消費税の課税事業者に該当する要件は、基準期間(2年前や2事業年度前)の課税売上高が1,000万円を超える以外にもいくつか種類があります。

そのうちの1つに、特定期間に係る納税義務の免除の特例があります。

それでは、その納税義務の免除の特例とはどんなものなのでしょうか。

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。

特定期間における納税義務の免除の特例

正式名称は前年又は前事業年度における課税売上高による納税義務の免除の特例

特定期間における納税義務の免除の特例の正式名称は「前年又は前事業年度における課税売上高による納税義務の免除の特例」といいます。

その名のとおり、半期における金額にて課税事業者か否かの判定を行います。

半期における課税売上高又は給与支払額で判断

特定期間における納税義務の免除の特例は、半期分の課税売上高の金額又は給与支払額が1,000万円を超えているか否かにより課税事業者に該当するかを判断します。

半期における課税売上高及び給与支払額の両方が1,000万円を超えていれば当然課税事業者に該当します。

また、どちらか一方だけ1,000万円を超えている場合には、課税事業者か免税事業者かを実質的に選ぶことが出来ます。

どちらを選んでも大丈夫

特定期間における納税義務の免除の特例の判定する場合、半期分の課税売上高又は給与支払額のどちらかを自分で選択して判定を行うことになります。

例えば、課税売上高が1,000万円超・給与支払額が1,000万円以下の場合には、事業者の選択で「課税売上高を判定に選択すれば課税事業者」「給与支払額を判定に選択すれば免税事業者」になります。

複数から自分の好きな結果を制限なしに選べるのは中々に珍しい規定ですね。

敢えて課税事業者を選ぶということも?

上記のとおり、敢えて課税事業者を選択することも出来ます。

しかし、それは不本意な選択の結果ということもあるのではないでしょうか。

今回は、不本意な選択により課税事業者になった場合、免税事業者として更正の請求が行えるかについて争った裁決事例を紹介します。

出典

出典:国税不服審判所ホームページ(令和2年10月7日裁決・争点番号)

なお、裁決事例集には登載されておりません。

令和2年10月7日裁決・不本意な特定期間の納税義務の免除の特例を受けた場合、免税事業者として更正の請求が行えるかで争った裁決事例

請求人(納税者側)の主張

自分は、基準期間における課税売上高が1,000万円以下であることには気が付かず、基準期間における判定により課税事業者になっていると思っており、消費税の確定申告書を提出している。

そのため、1,000万円超である特定期間の課税売上高と、1,000万円以下の給与支払額の選択を検討せずに消費税の確定申告書を提出してしまった。

今回は、結果として特定期間の課税売上高によって課税事業者になる可能性もあるとはいえ、基準期間における課税売上高が1,000万円以下と気が付いていれば、当然に特定期間の判定も1,000万円以下の給与等支払額を選択している。

そのため、本来であれば免税事業者に該当するため、更正の請求を行うことが出来る。

原処分庁(税務署側)の主張

今回、特定期間の判定基準においてどちらを選択するかは、その選択の事実が認められるか否かによって判断するところになる。

請求人は、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えており、基準期間の課税売上高として1,000万円以下の額を記載した確定申告書を提出している。

上記の事実がある以上、特定期間の判定は課税売上高を選択し、確定申告を行ったと認めるのが相当である。

また、本件特例の判断基準のいずれを選択しても、法律の規定に従っていないことにはならないため、更正の請求の要件には該当しない。

よって、更正の請求は行えない。

結論

棄却(更正の請求は行えない)

本裁決のポイント

その選択の事実が認められるかの判断

納税者に対して選択の事実が委ねられている場合、その選択の事実が認められるかの判断を行います。

今回、請求人は「基準期間における課税売上高が1,000万円以下とは知らなかった」と伝えていますが、確定申告書には1,000万円以下の額が記載されていたこと。

また、特定期間の課税売上高は1,000万円を超えていることから「基準期間における課税売上高が1,000万円以下で、特定期間の課税売上高1,000万円超による課税事業者」を選択したとするのが妥当という判断が行われています。

確定申告をする=その選択をした

消費税は申告納税方式を採用しているため、納税者側が税金の書類等の作成を行います。

そのため、複数の選択肢がある場合には、納税者が敢えてその選択をしたという判断にも。

今回は、敢えて特定期間の課税売上高を選択するという判断を納税者がした、という判断をしたということですね。

知らなかったでは済まされない。怖いですね。

適用要件はしっかり確認を

前述のとおり、知らなかったでは済まされない事例が数多くあります。

色々な要件を確認し、検討を行っていきましょう。

まとめ

特定期間の判定の選択のまとめ

・免税事業者になれる場合であっても、敢えて課税事業者となる判断をしたと考えられる

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
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このページの執筆者

立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史

※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。