こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。
確定申告時期になり、普段意識をそこまでしない消費税の申告にも意識が向いてきているのではないでしょうか。
個人の方の場合、消費税申告では簡易課税を選択している方が多いのではないでしょうか。
ここに、税抜経理で処理していると期末に行わなければいけない特殊な処理が出てきます。
当事務所では、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
また、不動産売却を含め確定申告依頼のサービスも提供しております。
不明点等ございましたら、ご検討いただければと思います。
Contents
簡易課税の特徴から特別な収入又は損失を計上する必要が出るケースがある
簡易課税によって本来納めるべき消費税との差額が生じる場合がある
消費税の計算方法は本来、預かった消費税から支払った消費税を差し引いて納める消費税を求めます。これが原則的な方法。
それに対し、簡易課税は売上に係る消費税のみに着目し「この業種なら支払った消費税はこれくらいだよね」という感じで業種毎に定められた概算的な計算をして差し引く消費税求め、預かった消費税から概算的な支払った消費税を差し引いて納める消費税を求めます。これが簡易課税。
※詳しく解説した記事もあるので以下も見ていただければ嬉しいです。
それでは、これの何が問題になるのでしょうか。
消費税の精算額が異なってしまう!
消費税は本来、預かった消費税から支払った消費税を差し引いて求めるため、消費税について損益は生じないことが前提の考えになります。
しかし、簡易課税という特殊な計算を行うとこの前提が異なり、利益や損失が出るケースが出てきます。
消費税で税抜経理を行っている場合、その利益や損失を所得税の計算上、収入や経費として計上しなければいけません。
簡易課税を使用したことによる差額
原則課税による計算
消費税100万円を預り、消費税10万円を支払った場合には、納付する消費税は90万円となります。この場合、預かった消費税は全部納めているため特に利益は受けませんね。
では、これと同じ前提で簡易課税を利用するとどうなるのでしょうか。
簡易課税による計算
消費税100万円を預り、消費税を10万円支払った場合でも、消費税の計算は預かった消費税のみに着目します。ここで、概算の計算率を60%と仮定すると、消費税計算は以下のようになります。
預かった消費税100万-概算支払った消費税100万×60%(60万)=納付消費税40万円
本来であれば90万納付するところを40万しか支払わないため、50万円分の預かった消費税は事業者のものになってしまいます。
これが、簡易課税を行ったことにより生じる利益や損失です。
簡易課税による利益や損失が出たらどうする?
所得税の計算上、計上する!
上記のように消費税の計算上、預かりっぱなしで事業者のものになった消費税は、所得税の計算上利益に計上します(逆パターンの場合には経費に計上します。)
所得税や住民税の計算に影響を及ぼすので注意しましょう。
計算方法
期末における(仮受消費税-仮払消費税-未払消費税)で求めた利益の金額を収入に計上します。
この処理をするのは税抜の場合のみ!
上記の処理をするのは経理方法を税抜処理にしている場合のみです。税込経理の場合には、特に処理は必要ないので注意しましょう。
税法を跨いで確定申告の加味を!
確定申告は所得税だけでなく消費税といった他の税法も絡んできます。
1つの税法だけに着目するのではなく、幅広い視点で確認していきましょう。
まとめ
・簡易課税かつ税抜経理をしている場合、特別な処理をする必要がある
・仮受消費税-仮払消費税-未払消費税で求めた利益の金額を収入に計上する
・税込経理の場合には必要ない
当事務所では、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
また、不動産売却を含め確定申告依頼のサービスも提供しております。
不明点等ございましたら、ご検討いただければと思います。
このページの執筆者
立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。