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【消費税】原則課税と簡易課税どっちが有利【個人事業主・フリーランス①】

簡単じゃないけど簡易課税

ジャガーネコ
ジャガーネコ
今年も終わりに近づいてきたね。
ミケ君
ミケ君
そうだね~。去年は白色だったけど、今年は青色申告!
ジャガーネコ
ジャガーネコ
……あ、そうか。3年目以降ということはミケさんも消費税を考えないといけないのかも
ミケ君
ミケ君
えっ……
ジャガーネコ
ジャガーネコ
顔が青色申告に

9月も後半に差し掛かり、今年も残すところ後数ヶ月ですね。なんだかんだあっという間でしたね。

来年の確定申告に向けて税金対策や資金繰り対策をする場合、この時期辺りから考えることが大切です。一朝一夕で出来ることは少ないので、じっくりと考えていきましょう。

更に、来年に向けて、今年中にじっくりと考えなければいけないことがあります。

それが、消費税の原則課税・簡易課税の選択

(本内容は全て個人を対象としています。法人だと、提出期限が少し変わるので注意です)

消費税には原則課税と簡易課税の2種類の計算方法がある

概要

消費税には、原則課税により税額を計算する方法と簡易課税により税額を計算する2種類の方法があります。

計算方法はちょっと似てる~程度ではなく、計算根底を覆す程にガラっと変わります。

原則課税

売上に係る消費税(受け取った消費税)から経費に係る消費税(支払った消費税)をマイナスした金額を納付すべき消費税とします。簡単に説明すると以下の通り

売上に係る消費税10万-経費に係る消費税5万=納付消費税額5万円

日々、売上や経費に消費税が入っているので、そこだけ抜き出して差引して求めます。

パッとイメージがしやすいですね。

ちなみに、経費に係る消費税の方が大きい場合は、消費税が還付されます。

簡易課税

売上に係る消費税(受け取った消費税)から、売上に係る消費税(受け取った消費税)に一定率を乗じて算出した金額をマイナスした金額を納付すべき消費税とします。

簡単に説明すると以下の通り

売上に係る消費税10万-売上に係る消費税に一定率乗じた金額5万=納付消費税額5万円

ご覧の通り、売上に係る消費税しか登場しません。経費など支払った消費税は完全にスルーされます。

一見複雑そうですが、内容を読み解くと、とても複雑です。

簡易とは。いや、仕組みが分かれば簡単なんですが仕組みが難しい

ちなみに、簡易課税の場合には還付になることは基本的にありません。

中間納付を払った時ぐらいでしょうか

また、一定率は業種毎に決められており、90%~40%に定められています。

例えば、我々税理士のようなサービス業は50%に決められています。消費税の計算としては以下の通り

受け取った消費税10万-受け取った消費税10万×50%(5万)=納付消費税額5万円

これを、みなし仕入れ率と呼びます。

簡易課税ってどんなもの?

簡易課税を適用するメリット

簡易課税のメリットとして挙げられるのは以下の通り

  • 事務負担が楽になる
  • 消費税が安くなることが多い

経費関係の消費税はスルーすることになるので、売上に係る消費税に対して、みなし仕入れ率がいくらになるかだけ抑えればよいので、日々の事務負担は軽減されます。

また、消費税自体も安くなることが多いです。経費がほとんど出ない職種や、人件費が大きなウェイトを占める場合などは、簡易課税の方がより有利になりやすいですね

原則課税か簡易課税、来年どちらを使用するかは今年中に決めなければならない

簡易課税の選択をするには、12月31日までに手続きが必要

消費税の計算方法で、簡易課税の方法を取るためには前年の12月31日までに簡易課税制度選択届出書を所轄税務署長に提出しなければなりません。

来年、簡易課税の方法で消費税を計算したい場合には、今年の12月31日までに手続きを行わなければなりません。

事前にどちらが有利になるかシミュレーションする必要がある

簡易課税を選択するには、手続きを先に行う必要があるので、結果を見てから有利な方を選択することは出来ません。

今年中に、来年の消費税額を事前にシミュレーションして、どちらが有利か把握して、先出しする必要があります。

原則課税と簡易課税は計算方法が全く異なるので、納付税額に差が出てしまうことも少なくありません。

必ず、税理士さんに相談してシミュレーションを行うようにしましょう。

今年だけは特例

本来ならば今年1年分(来年の3月に申告する分)はもう選択できないのですが、今年はコロナ関係で届出の特例もあるとのことです。

この辺りも含め、税理士さんに相談することをお勧めします。

簡易課税を受けるための条件

基準となる売上以下でなければならない

簡易課税を受けるためには、以下の条件を満たしている必要があります

  • 2年前の課税売上の合計額が5,000万円以下
  • 簡易課税制度選択届出書を提出している

個人の方の場合、年間売上が5,000万円を超えるケースはそうないので、こちらは問題ないでしょう。

また、届出に関しても上述の通りですね。12月31日までに提出するのを忘れないようしましょう

賃貸用不動産を売却していたら注意

不動産賃貸業を行っている方の場合、賃貸用不動産を売却する場合は特に注意が必要です。

建物の売却も課税売上に該当するので、売却金額が5,000万円を超えてしまうと、簡易課税制度が取れなくなる可能性が出てきます。

簡易課税だけでなく、大前提として、消費税の納税義務者になる可能性も出てきます。不動産を売却する際は必ず税理士さんなどに相談するようにしましょう。

単発のご相談も受け付けてますので、お気軽にご相談下さいませ

簡易課税を適用したら、2年間は簡易課税を適用しなければいけない

簡易課税を適用した場合、その後2年間は簡易課税で消費税を計算しなければなりません。

1年だけ簡易課税で計算して、その次の年は原則で計算!ということは出来ないので注意。

簡易課税の場合、経費に係る消費税額がスルーされてしまうので、その後2年間の業績の見通しや施設投資なども含めて検討しなければいけないので、注意しましょう。

日々の月次監査が重要になってくるところですので、税理士さんと相談して決めることをお勧めします。

まとめ

最後にまとめです

  • 簡易課税を受けるには、12月31日までに手続きが必要
  • 2年前の売上が5,000万円以下の方が受けられる(建物を販売した際などは注意)
  • 原則か簡易、どちらか有利か事前にシミュレーションしておく必要がある
  • 1度簡易課税を適用したら、2年間は簡易課税にしなければならない

消費税については、簡易課税と原則課税でその年の有利不利だけでなく、将来に渡って検討をしなければなりません。

検討の際は、税理士さんに相談することをお勧めします

このページの執筆者

立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史

※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。