こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。
消費税の簡易課税制度。原則課税とは全く異なる方法で消費税額を計算する方法ですね。
簡易課税制度を受けるためには手続きを行わなければなりません。また、逆に適用をやめる場合にはまた手続きが必要になります(売上が5,000万円を超える場合等は自動的にその期間だけ原則課税になります。)。
それでは、簡易課税制度を受けていることを知らなかった場合にはどうなるのでしょうか。
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
Contents
簡易課税の適用は、適用をやめるまで継続する
簡易課税制度の適用をやめるには、不適用の手続きが必要
簡易課税の適用を受けた場合、適用要件を満たさなかった課税期間以外の課税期間については、基本的に継続して簡易課税制度が適用されます。
そのため、簡易課税制度の適用をやめるためには、簡易課税制度の不適用の手続きが必要となります。
不適用の手続きをするまでは、簡易課税制度は何十年でもずっと続きます。
それでは、簡易課税の適用期間にも関わらず原則課税で計算を行っていたらどうなるのでしょうか。
簡易課税の適用期間なのに、知らずに原則課税で計算を行っていたら?
簡易課税の適用期間ということを知らずに原則課税で計算を行っていた場合、基本的に計算に間違いがあるとして更正処分等の対象になる可能性があります。
今回は、簡易課税の適用を受けていることを知らずに12年間原則課税で計算を行っており、簡易課税で計算を行う更正処分は不当であると争った裁決事例について紹介します。
出典
出典:国税不服審判所ホームページ(令和3年1月18日裁決・争点番号)
なお、裁決事例集には登載されておりません。
令和3年1月18日裁決・簡易課税制度の適用を受けていたことを知らずに12年間原則課税で計算を行っていた場合の原則課税への更正処分で争った裁決事例
請求人(納税者側)の主張
自分は、簡易課税制度が適用されているとは知らずに12年間もの期間に渡って簡易課税制度を適用していなかった。
簡易課税制度の恩恵も受けていない上に、そもそも簡易課税制度選択届出書の提出があった事実さえも知らなかった。
よって、簡易課税にて計算を行う更正処分は不当である。
原処分庁(税務署側)の主張
処分が不当と認められるには、原処分庁に裁量権が付与されていることを要すると解されるが、簡易課税制度適用について、特に裁量権を付与する法令上の根拠がない。
よって、裁量権を付与されているとはいえず、原処分庁の更正処分の処分の不当性はない。
結論
棄却(更正処分は不当ではない。)
本裁決のポイント
知らずに原則課税で計算をしていたからといって、原則課税には戻らない
今回は、簡易課税制度の適用を受けていたことを12年間知らずに原則課税で計算を行っていたことに対する裁決事例でしたね。
12年間もの間原則課税で計算を行っていたから、簡易課税制度の恩恵を受けていない。そもそも知らなかったから、簡易課税で計算するという更正処分は不当だと。
しかし、前述のとおり、簡易課税制度は不適用の手続きを行うまでは継続します。
そのため、それを覆すことは出来ずに簡易課税での計算が必要になるということですね。
今回の争点の裏に会ったのは還付?
今回、争点の裏に会ったのは還付申告なのではないかなと思います。
簡易課税制度を適用している場合、基本的に控除不足還付税額は発生しません。コロナ禍等で売上が減少し、消費税部分の還付申告を行ったら実は簡易課税だった、という可能性がありますね。
消費税の簡易課税制度はこういうところがとても怖いです。なるべく、申告前に確認を行うことにしましょう。
まとめ
・知らなかったでは、簡易課税は不適用にはならない
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
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このページの執筆者
立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。