遺言も排泄物も匂いを隠す!!
ドラマや再現VTRなどで何かと登場回数の多い遺言。聞き馴染みのあるものですが、実は一口に遺言といっても以下の3種類があります。
- 公正証書遺言
- 自筆証書遺言
- 秘密証書遺言
その中でも公正証書遺言は公証役場で作成するため、効力が強く、上記種類の中でも一番安心できるものとなります。
それでは、公正証書遺言とはどんなものなのでしょうか。
Contents
公正証書遺言って?
概要
公正証書遺言は、公証役場にて公証人によって作成してもらう遺言のことです。
- 公証役場→法務局管轄の役場
- 公証人→上記の業務が出来る特別な人
「法務局が管轄している施設で作成する遺言」という一文だけで「とにかくめっちゃ効力が高い!」ということは直感的に分かりますね。
作成方法
作成方法のざっくりとした流れは以下の通りとなります。
- 遺言書の草案を作成
- 遺言作成の必要書類を収集
- 公証役場に草案と必要書類を送付
- 公証役場からの手直し提案等を受けてやりとり
- 公証役場が遺言の下書きを作成し、こちらへ送付
- 内容に間違いがなければ、公証役場へ行き作成
また、公証役場により異なりますが、公証役場からの相互の送付方法は、FAXやメール等があります。(たまに、送付方法を指定してくることあります。FAX指定の時は使い慣れず大変でした。)
公証役場で作成時に必要な人員
公正証書遺言作成時には、下記の4人が同時に揃うことが必要となります。
- 公証人
- 遺言者(遺言を遺す方)
- 利害関係者ではない立会人2人
利害関係者は、以下の方を言います。ざっくりと、「遺言者と近い親族」と「遺言で財産をもらう人」は立会人にはなれないという認識でも大丈夫です。
- 推定相続人(遺言者が亡くなった時に相続人になる方のこと。相続人になる方についてはこちらをご参照下さい。)
- 遺言で財産をもらう方
- 上記の方の配偶者や、血のつながりがある方
立会人には、信頼の出来る友人や税理士さん、行政書士さん、弁護士さん等が挙げられます。
作成する公証役場の場所
公証役場の場所の指定はありません。好きな公証役場で作成出来ます。
練馬区在中の方が世田谷公証役場で作成することも出来ますし、中野区在中の方が吉祥寺公証役場で作成することも出来ます。
作成した公正証書遺言はどこで確認出来るの?
作成した公証役場に限らず、日本全国どこの公証役場でも確認出来ます。途中で引っ越し等があっても安心。
ちょっと前までは作成した場所でしか確認できなかったらしいですね。
必要書類
概要
公正証書遺言を作成する際は、遺言者やもらう人等の情報を確認する人的資料と遺す財産に係る物的資料の2つをそれぞれ用意する必要があります。
人的資料
遺言者関係
- 遺言者の最新の戸籍謄本
- 遺言者の取得後3ヶ月以内の印鑑証明書
- その他、職業等のメモ
もらう人関係
- 相続人の戸籍謄本(遺言者との関係性が分からない場合、分かるところまで)
- 相続人以外の方が遺言で財産をもらう場合には、そのもらう方の住民票
立会人関係
- 運転免許証等の本人確認書
- 職業等のメモ
立会時
- 運転免許証等の本人確認書類
- 遺言者の実印
- 立会人の印鑑(認印でOK)
物的資料
不動産関係
- 固定資産税課税明細書(固定資産税支払う時に送られてくるあれです。)
- 謄本
預貯金や有価証券等の金融資産関係
- 通帳等のコピー
- 取引報告書等のコピー
- 上記に代えて、金融機関・支店名、金額等を記載したメモでも大丈夫な場所もあります。
遺言作成時の注意点
執行人の記載
執行人とは、その遺言を用いて名義変更等の手続きが出来る方のことを言います。これも遺言に記載出来ます。
意外と漏れがちな債務・葬式費用
分割の対象になるものは財産だけでなく、借金や葬式費用も誰が負担するかを決めなければいけません。債務・葬式費用の負担の記載がないと、わざわざそれだけで遺産分割協議書の作成も。
相続後の負担減少の観点からみると、これらの負担割合についても記入しておくことが望ましいですね。
細かい財産や想像しない財産については、一括表記で対応
遺言から漏れる財産例としては以下のものが考えられます。
- タンス預金等の金額が把握しにくいもの
- 遺言作成時に所有していなかった財産(車買い替えたー等)
- 所得税や社会保険料の還付金といった、遺言者が相続財産として一般的に思いつかない細かい財産。
特に、所得税や社会保険料の還付金等が相続財産になるというのはかなりイメージしにくいですが、かなりの頻度で計上します。
これらの財産を個別で記載していくのは不可能に近いので
上記に記載されている遺言者に係る一切の財産は全て〇〇が取得する。
といった、一括での表記で対応しましょう。
税理士は遺言書の作成は出来るの?
税理士も遺言書の作成は可能です。遺言書を作成出来る士業の方の中でも、相続税を踏まえた作成は税理士の舞台です。
弊事務所でもお受け致しますので、お気軽にお申し付けください
次回予告
このページの執筆者
立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。