相続税

相続税法第15条・基礎控除額

毎日暑い日が続きます。お盆が終わったのにまだまだ暑いですね。残暑なのか真夏真っ最中なのかどちらなのでしょうか。

さて、相続関連での大きな悩みの1つに「相続税が発生するか否か」というものがあります。

相続税が発生しないのであれば難しい申告期限やら小規模宅地等の適用や何かも関係なく申告書の提出や納付といった負担もなくなる上に税理士等に依頼する負担もなくなります。

その一方、もし相続税が発生するのであれば税理士等に依頼をしたり納税資金を確保したりと早目早目の動きを行わないと時間に余裕がなくなり負担が大きくなります。

税務署からの「相続税についてのお尋ね」が送付されてきて焦るという事態もしばしば。

そんな時、自分で相続税が発生するかどうかをある程度判断出来るようになると便利ですし精神的にも負担が少なくなります。

相続税にも基礎控除額という相続税の計算上、遺産額からマイナス出来る金額が定められていて、基本的に基礎控除額以下の場合相続税は発生しないこととなります。

そんな訳で今回は相続税の発生の境目の1つとなる基礎控除額について紹介しましょうそうしましょう。

分かれ道で迷う人のイラスト(女性)

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第十五条 相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格(第十九条の規定の適用がある場合には、同条の規定により相続税の課税価格とみなされた金額。次条から第十八条まで及び第十九条の二において同じ。)の合計額から、三千万円と六百万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて算出した金額との合計額(以下「遺産に係る基礎控除額」という。)を控除する。
2 前項の相続人の数は、同項に規定する被相続人の民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人の数(当該被相続人に養子がある場合の当該相続人の数に算入する当該被相続人の養子の数は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める養子の数に限るものとし、相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人の数とする。)とする。
一 当該被相続人に実子がある場合又は当該被相続人に実子がなく、養子の数が一人である場合 一人
二 当該被相続人に実子がなく、養子の数が二人以上である場合 二人
3 前項の規定の適用については、次に掲げる者は実子とみなす。
一 民法第八百十七条の二第一項(特別養子縁組の成立)に規定する特別養子縁組による養子となつた者、当該被相続人の配偶者の実子で当該被相続人の養子となつた者その他これらに準ずる者として政令で定める者
二 実子若しくは養子又はその直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため民法第五編第二章の規定による相続人(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人)となつたその者の直系卑属

電子政府の総合窓口 イーガブより引用
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC0000000073#G

色々と書いてありますが、要約するとこんな感じです。

1.相続税の基礎控除額は3,000万円と相続人(法定相続人)の数×600万だよ。

2.相続人の数は民法に準じるけど、放棄してもカウントされるよ。

3.亡くなった人の子供が既に亡くなっている場合は、亡くなった人の孫がとかが相続人となるよ

最初の段落で基礎控除額の金額の説明。次以降の段落で相続人の数について説明されていますね。

ちなみに第15条の規定の最初の段落の中に「第19条の適用がある場合には~」と書いてありますが、ざっくり言うとこれは亡くなった日から3年前までに亡くなった人から贈与された金額も加算してね~ってことです。生前贈与というのですが、これについてはまたそのうち。

ツラツラと並べてきましたが、一番知りたいのは「結局相続税が発生するラインはどこなの?」ということです。

すっごく簡単に判断できる相続税が発生する1つのラインとしては遺産総額3,000万円超か否かです。

分かれ道に立つ人のイラスト(女性会社員)

この3,000万円というのは亡くなった人に相続人が居てもいなくても基本的に絶対適用される基礎控除額です。最低ラインの1つですね。

そのため、亡くなった人の土地や家、預貯金等の合計が3,000万円以下かどうかか相続税の発生する1つのポイントとなります。3,000万円以下ならまぁ相続税はかからないし申告書の提出も必要ないでしょう、という感じになります。

うちはお金ないから相続税は大丈夫よ~といった発言をよくされた方は「うちは遺産総額3,000万円以下だから大丈夫よ~」に変更していきましょう!!

基礎控除額の計算としては、上記の3,000万円に更に相続人の数×600万円を乗じた金額が加算されますが、相続人の数の算定は各個人によって違う個別事情が大きな項目でもあるため、遺産総額が4,000万円とか5,000万円とか見込める方については一度税理士に相談をするのもいいかもしれませんね。

ちなみに基礎控除額の比較として、個人に身近な所得税は基礎控除額38万円です。ついでに贈与税は110万円です。

贈与税と相続税で35倍くらい、所得税と相続税では75倍くらい基礎控除額に差がある当たり、相続税の基礎控除額3,000万円という金額の飛び抜てる感が伺えます。

ちなみに、参考にアメリカの相続税(向こうでは連邦遺産税とか米国遺産税等と呼ばれます)の基礎控除額は約12億円です。

基礎控除額のぶっ飛び感が半端じゃないですね。