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消費税法第9条・小規模事業者に係る納税義務の免除

消費税増税増税言われていて中々実装されなかった近年。遂に消費税の増税が実施されましたね。

今まで8%だったのが10%にあがったということで、体感的には全ての商品が2%の値上がりを行ったという感じです。

軽減税率があるため、一部のものについては8%で据え置きですが、色々と複雑すぎますね。相続税の規定といい税法は何でこうすぐ複雑になりたがるのでしょうか。

第一弾消費税大幅改変ということで昨年消費税のアップと軽減税率が実施されましたが、第二弾としてインボイス制度が残っています。

すっごくざっくり言うと、消費税の計算上で仕入等に付随して既に支払っている消費税を控除するには、消費税を払ったよーという書類をきっちり保存しておかないといけないという制度ですね。これは約4年後辺りに実装される予定です。

更に、これに伴い消費税を支払わなくてもいい事業者(免税事業者)に対して払った金額については上記の書類を発行できないということになり、付随して払っている消費税(厳密には消費税を払っていない扱い)を控除出来ないということなんです。

この辺りは少し長くなるのでまたいずれ説明するとして、じゃあ前提の消費税を支払わなくていい事業者ってなんなの、ということについて説明していきましょう。

ちなみにその業者のことを免税事業者と呼ぶのですが、観光者向けの免税販売所とかとは全然違うので気を付けてください。

私はめちゃくちゃ長いこと混同してました。免税?ああTAX FREEとか書いてあるやつね、とか思ってました。

目次

1.小規模事業者に係る納税義務の免除
2.消費税を支払わなくてもいい事業者ってどんな場合?
3.俺は消費税を払いたい!という方のために
4.最後に
山積みの書類のイラスト

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1.小規模事業者に係る納税義務の免除

(小規模事業者に係る納税義務の免除)
第九条 事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
2 前項に規定する基準期間における課税売上高とは、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ当該各号に定める金額をいう。
一 個人事業者及び基準期間が一年である法人 基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額(第二十八条第一項に規定する対価の額をいう。以下この項、次条第二項、第十一条第四項及び第十二条の三第一項において同じ。)の合計額から、イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額の合計額(以下この項及び第十一条第四項において「売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額」という。)を控除した残額
イ 基準期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額
ロ 基準期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に六十三分の八十を乗じて算出した金額
二 基準期間が一年でない法人 基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から当該基準期間における売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額を当該法人の当該基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額
3 前項第二号の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
4 第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除されることとなる事業者が、その基準期間における課税売上高(同項に規定する基準期間における課税売上高をいう。第十一条第四項及び第十二条第三項を除き、以下この章において同じ。)が千万円以下である課税期間につき、第一項本文の規定の適用を受けない旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出した場合には、当該提出をした事業者が当該提出をした日の属する課税期間の翌課税期間(当該提出をした日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間である場合には、当該課税期間)以後の課税期間(その基準期間における課税売上高が千万円を超える課税期間を除く。)中に国内において行う課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、同項本文の規定は、適用しない。
5 前項の規定による届出書を提出した事業者は、同項の規定の適用を受けることをやめようとするとき、又は事業を廃止したときは、その旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。
6 前項の場合において、第四項の規定による届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、同項に規定する翌課税期間の初日から二年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、同項の規定の適用を受けることをやめようとする旨を記載した届出書を提出することができない。

8 第五項の規定による届出書の提出があつたときは、その提出があつた日の属する課税期間の末日の翌日以後は、第四項の規定による届出は、その効力を失う。

電子政府の総合窓口 イーガブより引用
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=363AC0000000108#B

さて、実は消費税を支払わなくてもいい事業者のこともしっかり消費税法に記載されているんですね。

1~3が消費税を支払わなくてもいい事業者のことが書いてあり、4~8が支払わなくていいけど消費税を支払いたい事業者のために支払う方法が書いてあります。

ちなみに7番は調整対象固定資産というちょっと複雑な内容が記載されているため今回は割愛しています。

それではまずはざっくりと解説

①2期前(事業年度が1年の場合)の課税売上が1,000万円以下のひとは消費税を支払わなくていいよ

②それでも消費税を支払いたい人は、消費税課税事業者選択届出書を提出してくれれば消費税払ってもいいよ

ざっくり外枠をなぞると上記の2点です。意外とシンプルなことが分かります。

それでは消費税を支払わなくてもいい事業者とそれでも支払いたい事業者に分けて説明してきましょう。

消費税のイラスト文字「+消費税」

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2.消費税を支払わなくてもいい事業者ってどんな場合?

消費税を支払わなくてもいい事業者というのは、基準期間における課税売上高が1,000万円以下の人を言います。

課税売上高というのは、単純に売上等の消費税の発生する売上から返品とか値引きとかの額を除いたものですね。通常の場合で2,000万円売り上げてても返品で1,800万とかされてれば課税売上高が200万円になるので、消費税を支払わなくてもいいということになります。

消費税が非課税のものは考慮しなくて大丈夫です。具体的には薬局屋さんの調剤薬局とか市区町村指定のゴミ袋とかですね。

ざっくりと消費税がかかる純売上が1,000万円か否かという理解でも大体大丈夫です。

じゃあその1,000万円の判定する基準期間ってどこの期間かを見ていきましょう。

基準期間は、個人の場合は2年前の1年間、法人の場合は2期前の事業年度1年間のことを言います。

例えば、今年2019年の消費税の判定になったのは2017年の事業年度ということになります。

ちなみにこの基準期間は消費税法に規定された由緒正しき期間だったりします。

十四 基準期間 個人事業者についてはその年の前々年をいい、法人についてはその事業年度の前々事業年度(当該前々事業年度が一年未満である法人については、その事業年度開始の日の二年前の日の前日から同日以後一年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間)をいう。

電子政府の総合窓口 イーガブより引用
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=363AC0000000108#B

じゃあ、今年初めて新規開業した場合は? うち基準期間ないですけど~~!!!??? となりますが、法人の場合は基準期間ないので消費税支払う必要はないです。

個人の場合は、新規開業とか関係なく2年前で判定をします。2年前は会社員だったので課税売上ないですけど~~!!!??? とかだったら課税売上高0円なので消費税払う必要ないです。

意外と良心的だったりします。

とはいえ、例外はいくつかあったりするのですが、それはまたいずれ。そんなに出てこないですし。

消費税のイラスト文字「税抜き」

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3.俺は消費税を支払ういたい!! という方のために

消費税払わなくてもいいけど、消費税支払いたい!! えーでもそんな人いるのーって感じになるじゃないですか

結構います。

最大の理由としては、仕入とかに付随して払った消費税の額が売上でもらった消費税の額を超えてれば還付を受けられるからなんですね。

これは特に新規設立時に多いです。新規設立なので多量に設備投資をしてたくさん消費税払ったので還付を~~という話はままあります。

とはいえ、その場合その次の年度も消費税を支払わないといけないので、単純にその1期だけ見ればいい訳ではなくかなり未来まで考えて行わなければいけないので高度な内容だったりします。

消費税を払わなくてもいいけど払いたい!という方は消費税課税事業者選択届出書を、消費税を支払いたい事業年度が始まる前に税務署に提出する必要があります。

但し、1期目の新規開業の場合は1期中に提出すれば大丈夫です。1期の内容を見てから消費税を支払うかどうか決められますね。

後は、消費税を支払うことが出来るというのがポイントです。免税事業者だと消費税を支払うことが出来ないところを支払うことが出来るようになります。

これが冒頭のインボイス制度に繋がってくるのですが、免税事業者は消費税を支払う義務がないのでインボイスな書類を発行出来ないんですね。

そこを、消費税を支払う人になることでインボイスな書類を発行出来るようにすることができるということになります。

これから先はこの辺りまで考える必要が出てきそうですね。先見の明がこれだけ必要になる消費税法さんは精神も消費させられそうです。

消費税のイラスト文字「税込み」

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4.終わりに

消費税は結構届出関係が厳しいものだったりします。

上記の消費税課税事業者選択届出書の他に、免税事業者→課税事業者になったら消費税課税事業者届書を提出しなければいけないし、課税事業者→免税事業者になったら消費税の納税義務者でなくなった届出書を提出しなければいけなかったり。

消費税課税事業者選択届出書とかは、基本的に提出期間に出すのを忘れると適用を受けられないので出し忘れも天敵です。

馴染み深いようで実は奥が深い消費税法。これからピックアップされていく感じがしますね。

これからは消費税のショウ・タイムですね!!

消費税増えたら消費タイム少なくなったりするんですけども