所得税と相続税でダブル控除可能です
親族が亡くなる精神面だけではなく、金銭的な負担も大きい
先日、知り合いの方との会話で親族がお亡くなりになったというお話を伺いました。
気持ちの整理ももちろんですが、現実的な一面として、その方が気にされていたのが
お亡くなりになった方に係る葬式費用等は税金で考慮出来るの?
ということでした。
初めてのお葬式でこんなに負担が大きいとは思っていなかったとのことで、今日のコロナ情勢で収入自体も減っていることもあわせて、金銭的な面でかなり負担が大きかったとのこと。
精神的な負担はもちろんですが、金銭的な負担も大きく、それに伴い更に精神的に負担が大きいのは想像に難くありません。
そこで、何かしらの税金の軽減で使用出来ないか、という話がありました。
何か、税金的に軽減出来ることはあるのでしょうか?
Contents
お亡くなりになった際に発生する主な金銭的負担
親族がお亡くなりになった際、発生する金銭的な負担として、主なものとしては以下のようなものがあります。
- 被相続人に係る入院費等の医療費
- 被相続人に係る葬式費用
今回は、上記2点に加えて、他にも税金的に軽減出来ることを確認していきます。
被相続人に係る入院費等の医療費
概要
お亡くなりになった方が病気や通院をしていた場合や、亡くなる直前に入院等をされていた場合には、その方が亡くなった後、相続人の方が病院等に対して支払う未払医療費があります。
この支払について、何か軽減措置はあるのでしょうか。
お亡くなりになった方の相続税
この未払医療費については、お亡くなりになった方の相続税の計算の際、プラスの財産から控除して軽減することが出来ます。
例
被相続人の財産:預貯金5,000万円 未払医療費:100万円
→相続税の課税金額:5,000万円-100万円=4,900万円
これらは、被相続人が支払うべき費用(=債務)なので、相続人が代わりに負担したことにより、相続税を軽減することが出来るものですね。
お亡くなりになった方の所得税(準確定申告)
被相続人の確定申告たる準確定申告については、考慮出来ません。
但し……
相続人の来年分の所得税・住民税(確定申告)
その未払医療費を支払った方の来年分の確定申告では考慮出来ます。
名目としては、医療費控除として、被相続人に係る未払医療費について、所得から控除することが出来ます。但し、医療費控除の条件は満たしている必要があるため
被相続人が生計一の親族
であることが1つの条件になってきます。
条件を満たしていれば医療費控除を当然のように受けることが出来、来年の所得税・住民税負担を減らすことが可能なのですが、相続のお仕事に携わった際に、意外とアドバイスをしてもらえていない方が多い印象を受けました。
勿論、相続税との重複適用も可能なので、忘れないようにしましょう。
葬式費用
概要
親族がお亡くなりになった場合、大抵の場合にはお葬式をあげることになります。
この葬式費用については、何か税金で軽減できるものはあるのでしょうか。
お亡くなりになった方の相続税
この葬式費用については、お亡くなりになった方の相続税の計算の際、プラスの財産から控除して軽減することが出来ます。
例
被相続人の財産:預貯金5,000万円 葬式費用:100万円
→相続税の課税金額:5,000万円-100万円=4,900万円
お亡くなりになった親族に対して行える最後の費用で相続税負担が軽くなるので、ある意味一番重要な節税かもしれませんね。
お亡くなりになった方の所得税(準確定申告)、相続人の所得税・住民税(確定申告)
葬式費用については、所得税関係の考慮は出来ません。
準確定申告・確定申告ともに軽減は出来ないので注意しましょう。
お香典
葬式費用を行った際に参列者からいただいたお香典については、税金は発生しません。
たくさんもらったからといって、税金を考慮する必要はありませんので、ご安心下さい。
その他・扶養控除等
年の途中で亡くなった場合であっても、扶養控除としての条件を満たしていれば
相続人等のその翌年の確定申告(年末調整)において、亡くなった方を扶養親族として扶養控除等の適用は受けることが可能です。
こちらも意外と忘れやすいので注意です。
相続関係の依頼をするなら、所得税まで見てもらいましょう
親族がお亡くなりになった際、精神的な負担は勿論のこと、金銭的な負担も過大となります。
金銭的な負担が大きくなれば、精神的な負担もより大きくなってしまいます。
上記のように、相続税だけではなく、亡くなった方の所得税や相続人の方の所得税まで考慮して、税金負担を最大限軽減し、少しでも負担を軽くすることが大切です。
弊事務所では、相続専門ではなく、所得税まで含めた相続関連の業務をワンストップで行っております。
相続をお考えの際は、是非一度ご相談くださいませ。
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このページの執筆者
立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。