税理士試験

【税理士試験】消費税法での簡易課税判定・原則判定をうまく行う方法

2題形式の判定は気を使います

遂に本試験まで1ヶ月を切った税理士試験。

ここのブログでも、手首サポーターを公的に使用した体験談やスーパーベジータ方式かカカロット方式かといった、

めちゃくちゃピンポイントすぎる本試験対策を紹介してきました

税理士受験生の方とお話する機会がたまにあるのですが、その際に多く受ける相談の1つとして

消費税法の試験で2題形式の際、簡易判定と原則判定を間違えてしまう

というものがあります。

簡易・原則判定は消費税法の計算の入り口のため、ここを間違えると後の計算に無視できない程影響を及ぼします。

そこで、実際に私が行っていた体験談で、ここでの判定を少しでも楽に出来るような本試験対策を紹介します

……ピンポイントすぎやしませんか

簡易・原則判定って何?

消費税法を受験した方なら大体分かるのでざっと説明すると、消費税には簡易課税方式と原則課税方式の2パターンの計算があります。

その2パターンの計算は、全然方法が異なるので、税金計算入る前に、どっちのパターンで計算するかを間違えると、解答内容が全然異なっちゃうんですね。

日本史の試験で世界史の解答するみたいなものです。

私の受験年代の簡易・原則判定の環境

私が受験した平成29年の答練や模試については

  • 明らかに5,000万円超えてて絶対原則
  • そもそも売上割合の欄がなくて簡易でしかできない
  • 控除過大調整税額記載欄が貸倒回収に係る消費税額記載欄になっている

など、ぱっと見で明らかに原則か簡易か分かるような答練ばかりでした。

あ~簡易判定と原則判定は楽々なんだな~と思っていた平成29年本試験

  • 第1問第2問共に判定売上が5,000万円以下
  • 売上割合欄と控除対象仕入税額欄が合体・簡易課税の場合には売上割合の記載必要なしとの解答欄での指示
  • 控除過大調整税額・貸倒回収に係る消費税額関連、出題無し

受験番号書く際の解答用紙確認時、死んだ目の魚になってましたね。

初見で結構複雑な簡易原則判定を乗り越えられたので、参考になる……のではないでしょうか

そもそも簡易原則判定抜きにしても、売上割合と控除対象仕入税額欄が合体した様式が本試験で初見

簡易・原則判定を乗り越えるその1・納税義務判定と簡易課税判定から解答

判定で躓くなら先に判定から行ってしまう

個人的に一番良いと思っている解答方法。私はいつもこの方法で解答を行っていました。

簡易原則判定対策としてやっていた訳ではないですが、結果としてかなり効果的な解答方法だった気がします。

解答の方法としては

まず問1の納税義務・簡易判定→問2の納税義務・簡易判定→区分経理など消費税額の計算

問1と問2の判定は順不同で、まず、消費税額の計算に入る前にそれぞれの納税義務・簡易判定だけ先に終わらせます。

ここで、両方簡易や両方原則という風になったら一度立ち止まって内容を検討。

納税義務判定・簡易課税判定については、入り口部分故かなり慎重にやらなければいけないので、多少時間をかけてでも必ず方向性はあっていた方がいいところです。

個別問題感覚で、まずは納税義務・簡易判定を終わらせて問題の全体像を把握するところからスタートし、出題者の意図や問題のバランスを見ていきましょう。

ここで軌道修正出来れば、転記の時間や修正時間等もそこまでかからないですし、リカバリーは十分に可能です。

私は当時から狙っていた訳ではありませんが

計算の納税義務・簡易判定・中間納付・区分経理のメモ(転記なし)→理論→計算区分経理

という流れでいつもやっていたので、結果的に上手く簡易原則判定を行うことが出来ました。

当時、問1問2共に税抜きにすることで判定金額約4,900万になるというギリギリ判定……というかどっちもギリ5,000万を下回る問題でした。

税抜きの100/108しなくていいのか?売上返還実はない?

とか、先に判定だけやったので、それぞれの判定を比較しながら色々悩めてとても良かったですね。

結局、区分経理だけメモして後回しにして理論だけ終わらせて、ここの判定で15分くらい悩みました。

簡易・原則判定を乗り越えるその2・問題内容からメタ的に読む

もし、簡易だった場合の論点と原則だった場合の論点を考える

簡易課税と原則課税は、計算方法が全然異なるので、問題内容の論点が全く異なります。

例えば、私が受験した平成29年の問1では、以下のような論点がありました。

  1. 獣医が廃業して廃業時に同業者に棚卸資産を譲渡
  2. 廃業前にペットフードを消費者に譲渡
  3. 建物の負担付贈与
  4. 獣医業での売上

経費関係はよく覚えてませんが、売上関係の論点は上記の通り。

では、これがどのような論点になるのでしょうか

簡易の場合の論点

  1. 廃業時の同業者に棚卸資産を譲渡→売上になるのか?業種区分は何か?
  2. 廃業前ペットフード譲渡→業種区分は何か?
  3. 建物の負担付贈与→売上になるか?業種区分は何か?
  4. 獣医業の売上→業種区分は何か?

原則の場合の論点

  1. 廃業時の同業者に棚卸資産を譲渡→売上になるのか?
  2. 廃業前ペットフード譲渡→なし
  3. 建物の負担付贈与→売上になるか?
  4. 獣医業の売上→なし

仕入関係の論点が確かほぼなかった記憶があり、簡易については上記のように、明らかに業種区分を意識した論点が出ているので、恐らく簡易だろうな~とメタを読んだ記憶があります。

問2の場合

問2の場合、売上関係3つか4つ程度しかなく、逆に仕入関係は、

店舗は〇〇のみ、接待交際費の論点

といった風に論点がたくさんあった印象があります。

ここで、問2が簡易だったら、売上しか見ないのでほぼ論点がなくなってしまうので、まぁ問2は原則だろうなと当たりをつけていました。問1は簡易課税でしたし。

とりあえず残り10分になるまでは原則の根拠を探し回って、見つからなかったらとりあえず原則でやってしまおう、まで考えてました。

15分くらい探し回って、問題文読み違えてて高額特定資産の制限受けることに気が付けました。

あ、これ高額特定資産じゃん!原則だ!!

まぁ高額特定資産じゃなくて調整対象固定資産の制限だったんですけどね

絶対高額特定資産意識して出題したって

出題者のメタを読むのは少し危険なところもありますが、結構有効です。正直、作成側からしたら全く使わない資料に力入れたくないじゃないですか

簡易・原則判定を乗り越えるその3・圧倒的な知識で乗り越える

理論マスター等を読み込んで、どんな判定だろうと圧倒的な知識で乗り越えます。パワープレイ

これが一番なんでしょうが、知識面だけで本試験でもぶれないメンタルを身に着けるのは結構大変だったりします。

テクニックに頼りすぎるのもあれですが、テクニックに頼ってもいい部分もありますよ

入り口部分は大切に!

消費税の計算パターンの入り口部分は、試験はもちろん実務でも重要なところです。

試験では、ここで多少時間かけてでも合わせることがとても大切なので、メリハリをつけていきましょう。

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このページの執筆者

立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史

※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。