借りてきたネコ
前回までは帳簿書類の種類について確認していきました。
青色申告特別控除65万を受けるために必要な主要簿
どちらかというと、事業主が経営状態を確認しやすくするために作成する補助簿
これらを見ていき、自分に必要な補助簿をまず作成し、その後主要簿の2つを作成すれば良さそうですね!
……ちょいちょい出てきた青色申告特別控除65万とは何でしょうか
Contents
青色申告特別控除65万とは!
青色申告を行った事業者に対する特典の1つ。青色申告を行う目玉の1つといっても過言ではないですね。
内容としては
事業所得(不動産所得)の利益から最大65万円を控除出来る
というもの。
パッと言われても中々イメージが付きにくいと思います。
青色申告特別控除ってどんなもの?
青色申告特別控除を理解する前に、簡単に税金の計算方法を知っておくと理解が早いです。
税金は、総収入から必要経費を差し引いた純利益に対して課税されます。
つまり、経費が多ければ多い程税金が少なくなるってことですね。
青色申告特別控除は、その純利益から更に65万円をマイナスして、残った残額に課税します!というものです。
厳密には結構異なりますが、架空経費が65万増えるというイメージでも大丈夫です。
但し、青色申告特別控除で損失にはならないので注意。
青色申告特別控除の例
例①・所得が出る場合
総収入200万/経費100万/青色申告特別控除65万
課税対象:200万-100万-65万=35万
例②・所得が控除額以下の場合
総収入200万/経費150万/青色申告特別控除65万
課税対象:200万-150万-50万(65万マイナスしたら損失になるため、0が限度)=0円
例③・損失の場合
総収入200万/経費250万/青色申告特別控除65万
課税対象:200万-250万-0円(既に損失のため)=-50万
青色申告特別控除を受けるための要件
事業所得or不動産所得or山林所得で青色申告を行い、帳簿書類を作成・保存していること
青色申告をしているフリーランスや個人事業主なら大体オッケーですね。
青色申告特別控除の種類
青色申告特別控除65万青色申告特別控除65万と言ってきましたが、実は青色申告特別控除には3種類の金額があります。
重複適用は出来ず、自分の条件に合う以下のいずれかを金額を控除することが出来ます。
- 青色申告特別控除10万円
- 青色申告特別控除65万円
- 青色申告特別控除55万円
青色申告特別控除10万円
概要
青色申告特別控除の中でも最も金額の少ない10万円。
控除出来る金額が少ない(=税金が最も高くなる)分、摘要自体は3つの中で最も手軽です。
事業所得の場合
主要簿の2つである
- 総勘定元帳
- 仕訳帳
を作成しない場合には青色申告特別控除が10万円しか受けられません。
前回までに紹介した帳簿書類作成しなくてもいいなら、めっちゃ楽じゃん!と思われがちですが、作成しなくても良いのは上記2点の主要簿だけ。
現金出納帳や固定資産台帳といった一部の補助簿は作成・保存が必須になるので注意です。
複式簿記をしなくても済むので手間はだいぶ楽になるように見えますが、正直なところ、あんまり変わらないような気がします。会計ソフトって大体複式簿記前提で作成されてる物が多いですし
不動産所得の場合
主要簿2点を作成しなければいけないのは事業所得と同じですが、不動産所得の場合はより条件が厳しく
事業的規模で不動産賃貸業を行っていないと青色申告特別控除は10万円
になります。
事業的規模の判断はかなり複雑ですが
5棟以上貸付けているor10室以上貸付けている
が1つの目安となります。
5棟以上貸付けているというのは、その名の通り戸建等を5棟以上他の方に貸付けて不動産収入を得ていること
10室以上貸付けているというのは、マンション等の部屋を10室以上所有し、不動産所得を得ていること
ですね。
過去には、年間約950万円の不動産収入を得ていても事業的規模じゃないという判断をされたこともあるので、一概に金額だけで判断も出来ないので注意です
山林所得の場合
山林所得の場合、青色申告特別控除は10万円のみとなります。
65万控除や55万控除は使用できないので注意。
青色申告特別控除65万円
概要
青色申告特別控除の中で最も金額の多い(最も税金が安くなる)65万控除
その分、条件は一番厳しい……ように見えますが、実はそんなに厳しくもなかったりします。
条件
- 主要簿2点(複式簿記による帳簿作成)を作成・保存
- 期限内申告を行う
- 電子申告を行うor電子帳簿保存を行う
事業所得の場合
事業所得であれば、上記の条件を満たしていれば65万円控除を受けることが出来ます。
規模や売上の制限とかは特にありません。年間収入が100万でも受けることが出来ます(限度は0までですが)
不動産所得の場合
上記の条件+事業的規模を満たしていれば、適用可能です。
事業的規模というのは、先程の5棟10室基準が1つの目安になります。
マンション1室しか貸していないのに65万控除!は基本的に出来ないので注意
山林所得の場合
65万控除は受けられません。10万のみです
55万控除の場合
概要
最近現れたニュースター55万控除
65万控除の条件のうち、③の
電子申告を行うor電子帳簿保存を行う
を満たしていない場合に55万控除になります。
難しそうですが、すごくざっくり言うと
65万控除の条件を満たした上で、申告書を紙で窓口提出・郵送提出した場合には55万控除になります。
電子申告を行えば良いのですが、一般的にはちょっとハードルが高いかもしれません。
なお、電子帳簿保存はもっとハードルが高いので、基本は電子申告しなければ55万控除になるってイメージで大丈夫です。
電子帳簿保存できる方は電子申告も出来ます。
重複適用は出来ない!
事業所得、不動産所得、山林所得の3所得が青色申告特別控除を適用出来ますが
それぞれ65万控除を受けられるのではなく、全部合計で65万控除なので注意
事業所得と不動産所得があるから、合計130万の青色申告特別控除を受けられる!という訳ではなく、合計65万までなので注意
次回予告
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このページの執筆者
立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。