フリーランス

会社員は負担税金が高いって本当?給料税金について解説!【年末調整】

こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。

年末調整のこの時期、会社員の方々は、日々お給料から天引きされている納税額を改めて認識する時期ではないでしょうか。

先日、ふと本を読んだ際、このような文言を見受けられました。

年収1,000万円の場合、税率が43%になるので、ほぼ半分近くを税金で持っていかれる!

……本当にそうなのでしょうか。

当事務所では、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
また、確定申告依頼のサービスも提供しております。
不明点等ございましたら、ご検討いただければと思います。

お給料に対する税金の計算システム

所得税は、超過累進税率

ある意味身近な税金・所得税は、超過累進税率という制度で税金を計算しています。

超過累進税率とは、たくさん収入を得ている方には、より多くの税率(=税負担)を乗じる方法のことです。

例えば、年収が500万円と3,000万円の方を単純に比較してみましょう。年収は単純に6倍の差があるので、税額も単純に6倍なのでしょうか?

年収500万円→約28万の所得税

年収3,000万円→約840万の所得税

なんと、約30倍近くの税額の差が!(所得控除は無視しています。)

このように、所得の金額によって税率が上昇していくのが、超過累進税率ですね。

勘違いしやすいですが、ある一定金額を超えたら、そこの所得金額に対して課される税率だけを乗じるのではなくて

195万円までは5%の税率が課税され、そこを超えて330万円までのラインは10%、更にそこを超えた分は……という形で、それぞれの範囲内でそれぞれの税率が適用される形になります。

住民税は、10%で一定額

住民税は、年収に関わらず、課税される金額に10%を乗じて計算されます(+必ず発生する一定額の均等割り)。

先程の例で言うと、年収500万円の方も3,000万円の方も同じ10%を乗じて計算することになり、所得税よりは税額の差が小さくなります。

先程の例では……

本当に43%も税金が課税される?

最初に挙げた例・年収1,000万円だと税率が43%になり、ほぼ半分が税金として課税されるというものですが、本当にそうなのでしょうか。

年収1,000万円の場合、所得控除を全く考慮しない場合には、課税される金額は約800万円となります。この前提で計算してみましょう。

所得税の計算

所得税の計算では、195万円までは5%、それを超えたら超えた分だけ330万円までは10%……という計算を行いますが、それぞれの金額の範囲で計算をしていくと大変なので、この計算を自動的にやってくれる速算表を用いて計算します。

計算:800万円×23%-63万6千円=約121万円

所得税は、約121万円課税されることが分かりました。

住民税の計算

住民税は、一律で10%ですので、800万円に10%を課税しましょう。

計算:800万円×10%=約80万円

住民税は、約80万円課税されることが分かりました。

実際の税率としては、約20%

所得税121万円+住民税80万円=年収1,000万円の場合には約201万円の税額が課税されることが分かりました(実際は、ここから所得控除などを考慮するため、もっと少なくなります。)。

実際に1,000万円に対してどれくらいの割合が税金になるかというと

200万円/1,000万円=0.2→1,000万円のうち約20%が税金になることが分かりました。

43%も税金で取られている訳ではないので注意しましょう。

43%の税金が課税されるという数字の根拠

さて、ではどうして43%という数字が出たのでしょうか。

恐らく、数字の根拠としては、所得税の1,000万円範囲に課税される税率33%+住民税10%=43%というものなのかな、と思います。

実際に見てみると、結構乖離しているので注意しましょう。

ざっくりと税額計算をしてみよう!

自分に本当に課税される税金をざっくり確認する!

前述の通り、パッと見の税額と実際の税額は結構乖離していることが分かりました。

それでは、自分の税額を計算するにはどのようにすれば良いのでしょうか。

給与所得控除を確認する

まずは、給与所得控除というお給料をもらっている方に対しての減税規定の概算経費を確認します。

お給料-給与所得控除=課税されるお給料の所得金額になります。

給与所得控除後の課税されるお給料の所得金額は、年末調整後にもらえる源泉徴収票で確認出来ます。

所得控除の額を確認する

上記の、課税されるお給料の金額から、各人に対して考慮される減額規定を適用します。

有名な103万の壁で言われる配偶者控除などは、ここ。

こちらも、年末調整後にもらえる源泉徴収票で確認出来ます。源泉徴収票、有能。

所得税の計算

上記2つを控除した残額に対して、所得税の速算表を用いて計算します。

こちらは、国税庁HP等で確認が可能です。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

(国税庁HP)

住民税の額の計算

上記2つを控除した残額に対して、住民税の税率10%を乗じることで、住民税を確認することが可能です(厳密に言うと、所得税と住民税で所得控除の金額が異なるので少しずれます。)。

自分に対して課せられる税額計算のルールを確認し、情報に振り回されないようにしよう

年収1,000万円だと所得税の税率は33%!住民税も併せて43%も課税される!

一見、正しいように見えがちですが、実は間違いな上記の数字。

日本の税法では、過重な負担が起き過ぎない用にケアされています。

情報化社会の今日では、調べれば様々な情報を確認することが出来ます。

一見正しいような表面的なものに振り回されず、正しい知識を簡単に認識して、情報に振り回されないように注意しましょう!

まとめ

給与所得者の税額計算まとめ

・所得税は超過累進税率・住民税は10%で課税される。
・給与所得控除や所得控除を確認する。
・表面的な情報に振り回されず、正しい知識を駆使して取捨選択する。

当事務所では、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
また、確定申告依頼のサービスも提供しております。
不明点等ございましたら、ご検討いただければと思います。

このページの執筆者

立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史

※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。