こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。
いよいよ迫った確定申告!働き方改革や副業時代等々、時代の移り変わりと共に多様な働き方が出てきました。
税金の規定の中にはこういった時代の変化による新しい職種・働き方の登場を見越して、ある程度範囲をぼやかして規定を行い、税制改正を行わなくても時代の変化に対応出来るように考えられたものがあります。
そのうちの(多分)1つとして家内労働者特例というものがあります。
それでは、この家内労働者特例とはどんなものなのでしょうか
当事務所では、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
また、不動産売却を含め確定申告依頼のサービスも提供しております。
不明点等ございましたら、ご検討いただければと思います。
Contents
所得税(住民税)に係る規定・家内労働者特例とは?
会社員とほぼ同じ働き方にも関わらず雇用形態が結ばれておらず個人事業主になっている場合、経費がほぼ発生せず、会社員と比較して税額が多くなってしまう可能性があります。
それはちょっと不公平だよね、ということで会社員と同じような税額負担にするように規定されたのが家内労働者特例になります。
会社員は給与所得控除という概算経費が使用出来る!それを受けるようにしたのが家内労働者特例!
会社員が使える概算経費と、個人事業主じゃ使えない概算経費
実質同じなのに税負担が異なるのは不平等?
会社員の方の場合、額面金額にダイレクトに税金をかけるのではなく、概算経費をマイナスした後の残額に対して税金が課税されています。会社員でも仕事経費はあるだろうけど、1人1人特定するのは現実的に無理だから収入金額に応じて概算で経費を計上したものとして計算するよ、ということですね。
家内労働者の場合、会社員ではないので上記の概算経費が使えません。
が、客観的に見て会社員とそんな変わらないのに、概算経費が使えず実額経費もほぼかからないから税額が多めになる……それは不平等だから、概算経費を準用しようといった内容になっています。
令和2年の概算経費の改正に伴い家内労働者特例も改正を受けています
上記のように、家内労働者特例はお給料の概算経費との兼ね合いにより規定されたものになっています。
令和2年にお給料の概算経費の額が減少したことに伴い、家内労働者特例の概算経費の金額も同様に減少しています。
家内労働者特例はどういった方が含まれるの?
グループ①・家内労働法に規定する方
所謂、内職ですね。
家内労働者特例のそもそもの仮想対象者として、内職を行っている方への措置として規定されています。最近はあまり聞かない印象ですが、制定当初は内職が盛んだったのでしょうか。
グループ②・外交員や集金人など
特定の会社との契約で、実態はほぼ会社員のような方を想定されているかと思われます。
代表例は保険外交員さん等でしょうか。但し、保険外交員さんは個人事業主分の収入とお給料分の収入と両方もらっているケースもありますのであまり適用できるケースはありません(後述)。
グループ③・特定の者に継続的に役務の提供する方=ぼやかした範囲
個人事業主だが、会社員のように特定の企業等に対してのみ、継続的に労働力を提供する方が該当。ここの部分は、「〇〇という職」のように特定されておらず、時代の変化に対応できるようにぼかされています。
代表例ですと、近年話題のウーバーイーツ等が該当する可能性が高いのではないでしょうか。他にも、個人事業主で特定の会社のみに在中する営業等も該当する可能性がありそうですね。
特定企業のみとの業務委託やウーバーイーツはあまりに新しすぎて前例等はあまり見かけませんが、個人的には使える可能性が高いんじゃないかなと思います。
家内労働者特例を受けた場合の実際の計算
いくらの概算経費を計上出来る?
55万円の概算経費が計上出来ます。お給料の概算経費で言う最低金額ですね。
お給料との概算経費との兼ね合い
お給料を他でもらっている場合、お給料に係る概算経費金額分だけ家内労働者特例の概算経費は少なくなります。お給料に係る概算経費を適用しよう、というものなので、2重に受けられるのはおかしいですしね。
具体的には、103万円以上のお給料をもらっていた場合、家内労働者特例の概算経費を使用することは出来ません。
実際に発生した経費との兼ね合い
実際に経費が発生した場合には、その分だけ家内労働者特例の概算経費の金額は少なくなります。
分かりやすく区分すると、以下のようなパターンに分類
- 実際の経費金額が55万円以下→概算経費55万円のみ計上(実額経費考慮なし。というよりしてもしなくても関係ない。)
- 実際の経費金額が55万円超→実額経費で計算(概算経費適用なし。)
家内労働者特例を適用出来る具体的なケース
家内労働者特例を適用できる具体的なケースとしては以下のような状況です。
- 会社員としてお給料をもらっていない(会社員の副業として行っていない)
- 他の事業含めて経費が全然掛かっていない(55万円以下)
総論としては、家内労働者特例に該当する職種のみを行っている場合に適用できる印象です。意外と範囲が狭いですね。
家内労働者特例を受けるための手続き
家内労働者特例を受ける場合には、確定申告の際に一定の書類を添付しなければいけません。
勝手に考慮してくれるものではないので注意。
家内労働者特例も加味して確定申告を!
家内労働者特例は、範囲がぼかされている分、判断が難しく様々な背景を加味しなければいけません。
とはいえ、経費がほぼかからない場合では、適用するかしないかで税額負担がかなり変わってくるのも事実。
最近流行りのウーバーイーツ等、制定当初は存在せず全く考えられていませんでしたが、時代の移り変わりと共に考慮対象になるものは数多く存在します。
不公平な税額負担を公平にするために定められた多くの規定。これらをしっかりと加味して、適正な税額負担をしましょう。
まとめ
・お給料の概算経費との兼ね合いで特定の方も概算経費55万円を使用出来る
・適用を受けられる方は①内職者②外交員等③その他特定の者のみに継続的に労働力を提供する方
・お給料をもらっていたり、経費が実額で発生している場合には適用がないケースが多い
当事務所では、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
また、不動産売却を含め確定申告依頼のサービスも提供しております。
不明点等ございましたら、ご検討いただければと思います。
このページの執筆者
立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。