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税理士が行った脱税指南等の報酬は事業所得に該当しないとした裁決事例集【確定申告・個人事業主】

ジャガーネコ
ジャガーネコ
事業所得か雑所得かは悩ましい問題だよね。
ミケ君
ミケ君
税理士さんとかはある程度社会的な地位もあるし、大体は事業所得でいいのかな?
ジャガーネコ
ジャガーネコ
税理士の事業所得と雑所得で争った裁決事例を紹介していこう。

こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。

確定申告の足音が聞こえてくる今日この頃。最近では働き方改革を受け、副業をしている方も多いのではないでしょうか。

そこで問題になってくるのが、事業所得か雑所得か問題。基本的に副業は雑所得ではありますが、法律では明確に定められていないところでもあります。

そんな中、悲しきかな税理士が不整に加担して得た報酬についての所得区分についての裁決事例があります。

参考にしていただければ幸いです。

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。

税理士が行う税理士業は事業所得?雑所得?

基本的には事業所得の場合が多い

税理士が行う税理士業は事業所得である場合が多いです。特に定められている訳ではないですが、国家資格という社会的地位や税理士会という登録機関の存在、後は反復継続等の要件を満たせば、事業として扱っていると客観的に解されやすいことが理由でしょうか。

税理士が行う税理士業は、税理士法という法律で定められており、税理士以外は行えないですしね。

税理士は税理士法の基、その理念に沿って事業を行う

税理士は税理士法という法律の基、その理念に沿って事業を行います。税理士だからといって自分勝手なことは基本的に咎められることになります。

税金と切っても切り離せない違法行為である脱税。

それでは、脱税指南や裏金作りの指南による税理士報酬は税理士業(または不随行為として)事業所得に該当するのでしょうか。

脱税や裏金作りといった不正に加担したことによる報酬は税理士業として事業所得?

脱税指南や裏金作りの指南の報酬。税理士法としても客観的に見てもアウトな内容ですが、これに伴う報酬は税理士業として事業所得となるのでしょうか。

この件について争った裁決事例がありますので、参考に紹介します。

出典

出典:国税不服審判所ホームページ(令和2年9月17日裁決・争点番号200901020)

なお、裁決事例集には登載されておりません。

令和2年9月17日裁決・脱税及び裏金作りを目的として締結された業務委託契約に基づいて支払われた業務委託報酬は事業所得に該当するかで争った裁決事例

請求人(納税者側)の主張

当該脱税及び裏金作りを目的として各顧問先との間で締結された業務委託契約に基づいて支払われた業務委託報酬は、税理士業務を行ったことに付随して生じたものである。

よって、当該業務委託報酬は、事業所得に該当する。

原処分庁(税務署側)の主張

請求人が行った不正の指南等は、税理士法第1条《税理士の使命》、同法第2条《税理士の業務》第1項第2号及び同法第41条の3《助言義務》の各規定に照らして、税理士業務に該当しないことは明らかである。

また、所得税法第27条《事業所得》第1項及び所得税法施行令《事業の範囲》に規定する事業とは、自己の危険と計算において独立して行われる等の性質をもったものである。

また、反復継続して遂行する意思と社会的地位が客観的に認められるものである。

しかし、請求人が行った不正の指南等は、刑罰法規に抵触するもので、そのような行為を反復継続して行ったところで社会的地位を有するとは認められない。

よって、不正指南等は事業に該当しない。

上記のことから事業所得には該当しない。

結論

一部取り消し(事業所得に該当しない)

本裁決のポイント

事業とは、社会的地位とが客観的に認められるもの。不正の指南のような刑罰法規に抵触する行為に社会的地位は有しない

本裁決のポイントとして、事業所得に規定する事業とは、「反復継続して行うことで社会的地位が客観的に認められるものであると解される」というところでした。

脱税指南等は刑罰法規に抵触する行為。それを反復継続して行ったところで社会的地位は有しません。

このような、刑罰法規に抵触するような行為は、事業所得に該当しないようですね。当たり前ではありますが。

そもそも、脱税指南等は税理士法に照らし合わせても税理士の業務に該当しない

請求人は、脱税指南等は税理士業務に付随して行われるものだと主張していました。

確かに、税金に係る内容ではありますね。

しかし、税理士は税理士法の基、その理念そって業務を行います。税理士法に定める税理士の使命や税理士の業務等を見ても「脱税指南をするべし」とは書かれていません。むしろ真逆ですよね。

税理士の使命は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において申告納税制度の理念に沿って、納税義務者の信頼にこたえて租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命としています。

脱税は納税義務の適正な実現を図る訳ではないですからね。

不正、ダメゼッタイ

今回の裁決事例は、脱税指南等のような不正に得た報酬は社会的地位を有しないとして事業所得に該当しないとしています。

不正を行えば、社会的地位は有するどころか失います。事業所得以前に、そのような一時に行為で一生の損失を受けないようにしましょう。

まとめ

税理士が行った脱税指南等は事業所得に該当するかのまとめ

・脱税指南等のような刑罰法規に抵触する行為は社会的地位を有しないとして事業所得に該当しない

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。

このページの執筆者

立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史

※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。