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取引先法人との贈与契約に基づき収受した収入金額を事業所得とした事例【確定申告・個人事業主】

ジャガーネコ
ジャガーネコ
法人からの贈与で得た収入については、一時所得で課税が行われるよ。
ミケ君
ミケ君
贈与なら贈与税じゃないの?
ジャガーネコ
ジャガーネコ
その話をすると長くなるのでやめましょうか……。

こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。

収入を得ると一口にいっても、色々な方法があります。

給与・報酬・贈与……等々。

個人間での贈与では、贈与税で課税が行われ、確定申告の時期に贈与税の確定申告が必要になります。

それでは、法人からの贈与を受けた場合にはどうなるのでしょうか。

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。

法人から贈与を受けた場合の確定申告

法人からの贈与は一時所得に該当する

法人から贈与により取得した収入については、基本的に所得税の一時所得に該当します。

あれ、贈与なら贈与税に該当するのでは?と思った方、中々鋭いです。

実は、法人から個人に対する贈与は、贈与税ではなく所得税の一時所得で課税が行われます。

理由は多々ありますが、贈与税は相続税の補完として設けられている税目。法人は相続が発生する事がないため、贈与税で対応するのはちょっと……ということで、一時所得になります。

それでは、法人との贈与契約に基づいていれば、何でも一時所得になるのでしょうか。

じゃあ、役務提供を行った対価として受け取っても、贈与契約なら一時所得になるの?

法人からの贈与は一時所得。一時所得は、以前解説したとおり、多くの優遇規定が設けられています。

それでは、役務の提供を行った対価として受け取っていたとしても、贈与契約を結んでいたとしたら、それは法人からの贈与として一時所得になるのでしょうか。

今回は、それについて争った裁決事例を紹介します。

出典

出典:国税不服審判所ホームページ(令和年月日裁決・争点番号)

なお、裁決事例集には登載されておりません。

令和2年7月13日裁決・取引先法人との贈与契約に基づき収受した収入金額について争った裁決事例

請求人(納税者側)の主張

自分が受けた収入金額は、取引先法人との贈与契約に基づき収受した収入金額である。

また、その収入には対価性がなく、経済活動の実態を有するものではない。

そのため、法人からの贈与として、一時所得に該当する。

原処分庁(税務署側)の主張

所得区分の判定にあたっては、単に契約だけでなく、当該所得に係る利益の内容及び性質、当該利益が生み出される具体的態様を考慮して実質的に判断される。

今回の内容をみると、本件収入金額は、請求人の事業活動を支援する事を目的に、請求人が取引先法人から請け負う解体工事に継続的に従事することを前提に行われている。

また、その支払についても、当該法人の利益が確定するごとに、当該利益の中から請求人の取り分に上乗せして支払われている。

このような実態に鑑みると、本件収入金額は、解体工事という請求人の事業の遂行に付随して生じた収入金額である。

よって、事業に係る収入として事業所得に該当する。

結論

棄却(事業所得に該当する。)

本裁決のポイント

契約上ではなく、実質的な内容で判断を行う

今回のポイントとして、贈与契約に基づいて収入した金額であることが1点あげられます。

また、請求人は、その収入には対価性がないとも主張しています。

しかし、所得区分の判定については、単に契約だけでなく、所得に関する利益の内容や性質、利益が生み出される具体的態様等を考慮して決められます。外注費・給与問題と同じ感じですね。

事業活動を支援することを目的に、取引先法人から事業を請け負っていた

今回は、更に収入の内容についても言及されています。

原処分庁の主張では、本件収入金額は、請求人の事業活動を支援することを目的に、解体工事に継続的に従事する事を前提に行われていることや、利益が確定するごとに上乗せして支払っていたとのこと。

請求人は対価性がないと主張していましたが、客観的に見て、業務委託な感じですね。

上記の理由などから、今回は法人からの贈与ではないとされ、一時所得ではなく事業所得に該当しました。

事業に関連するものならば事業所得

今回は少し特殊なケースではありますが、所得区分は所得税の中では語り継がれるテーマの1つでもあります。

単に契約ではなく、色々な事項を考慮して考えなければいけない都合上、とても内容が難しくなります。

所得区分で税額は大きく変動もするため、必ず確認しましょう。

まとめ

取引先法人との贈与契約に基づき収受した収入のまとめ

・法人からの贈与ではなく事業収入として事業所得で課税

当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
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このページの執筆者

立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史

※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。