こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。
確定申告時期の足跡も聞こえてきましたね。
確定申告といえば、事業所得や不動産所得に係るものが代表的なものですが、それに双璧をなす論点として譲渡所得の論点があります。
不動産や株式等の譲渡に係るものですね。
それでは、これらの譲渡については、どのような論点があるのでしょうか。
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
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Contents
不動産や株式の譲渡に係る所得は、分離課税として課税が行われる。
総合課税ではなく分離課税で一定税率
不動産屋株式の譲渡に係る所得は、他の所得と分離して15%(短期譲渡の場合には30%+復興税)の税率により課税が行われます。
事業所得や不動産所得の場合には、総合課税で超過累進税率(課税される所得金額により適用税率が変化)により課税が行われるため、所得税の中で異なる計算方法が採用されている形ですね。
じゃあ不動産等の譲渡を総合課税では出来ないの?
譲渡所得の中でも、車両の譲渡と言った、上記の分離課税で規定されている一定の資産の譲渡以外は、総合課税の譲渡所得として課税が行われます。
それでは、不動産や株式の譲渡に係る所得を総合課税により計算することは出来ないのでしょうか。
今回は、そちらで争った裁決事例を紹介します。
出典
出典:国税不服審判所ホームページ(令和4年6月28日裁決・争点番号202706990)
なお、裁決事例集には登載されておりません。
令和4年6月28日裁決・不動産や株式の譲渡を総合課税には出来ないとした裁決事例
請求人(納税者側)の主張
私が行った土地及び建物並びに上場株式の譲渡による各譲渡所得金額については、租税特別措置法に規定する分離課税の譲渡所得ではなく、所得税法に規定する総合課税の譲渡所得により所得税額の計算をすべきである。
原処分庁(税務署側)の主張
土地及び建物並びに株式の各譲渡所得については、租税特別措置法において、所得税法に規定されている税率及び総合課税に係る所得税の課税標準、税額等の規定に関わらず、他の所得と区分して課税長期譲渡所得の金額の100分の15及び課税短期譲渡所得の金額の100分の30並びに上場株式等に係る課税譲渡所得の金額の100分の15に相当する金額に相当する所得税を課すこととしている。
上記のように、不動産や株式等に係る所得については、所得税が、その基本とする総合課税によることなく、分離課税により所得税額が課されることは、分離上明らかである。
更に、分離課税が採用されることとなった経緯からも、請求人がした、総合課税により計算する方法を行うことは出来ない。
結論
棄却(分離課税により計算を行う。)
本裁決のポイント
分離課税で計算することは法律で定められている
根も葉もないことではありますが、不動産や株式等の譲渡所得は、分離課税で計算すると法律で規定されています。
税金計算は、租税法律主義の基、法律に従って計算することが大前提となっていますので、法律でそう定められていたらそれに従って計算しなければいけません。
そのため、勝手に自分だけ総合課税により計算……などはできません。
分離課税で計算する趣旨からしても総合課税により計算出来ない
そもそも、どうして不動産や株式等の譲渡が分離課税になっているのでしょうか。
分離課税は、他の所得と分離して課税が行われるものですが、仮にこれが総合課税で超過累進税率になるとどうなるか。
臨時的に行われた自宅の譲渡などにより多額の利益が出た際、それを総合課税に加えてしまったら給与所得や事業所得に対して適用される税率まで高くなってしまいます。
こういったことを防ぐために、臨時的に出現する多額の所得に対しては、経常的な所得に影響を与えないように分離課税が定められているのですね。
譲渡所得は臨時的な確定申告
譲渡所得は毎年のように発生するものではなく、臨時的に発生するものになり、馴染みがあまりないものになります。
計算方法も少し特殊ではあるので、不動産等を売却した際には確定申告に注意しましょう。
まとめ
・不動産や株式等の譲渡は、分離課税により行われる。
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
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このページの執筆者
立川のネコ好き税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。