こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。
消費税の確定申告において重要なウェイトを占める仕入税額控除の計算。
単純な課税仕入れ等の区分や判定の他に、その仕入税額控除の時期がいつかも論点になります。
それでは、仕入税額控除の時期はいつになるのでしょうか。
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
Contents
課税仕入れを行った日の意義
原則的な課税仕入れを行った日の判定
課税仕入れを行った日の判定については、資産の譲渡等の内容により、下記のように異なります。
・資産の譲受及び借入→その資産の引渡し日や期間対応
・役務の提供を受けること→役務の提供を受けた日
基本的には、売上側である資産の譲渡等の認識時期と同じタイミングになるります。
それでは、契約内容が単純に引渡だけではない時は?
資産の譲渡については、単純に資産の移転だけではなく、設置や取付・使用可能状態にするところまで含めた契約内容のものもあるでしょう。
その場合は、どこのタイミングで課税仕入を行った日の判定を行うのでしょうか。
参考に、課税仕入れを行った日の判定で争った裁決事例を紹介します。
出典
出典:国税不服審判所ホームページ(令和3年11月26日裁決・争点番号500601020)
なお、裁決事例集には登載されておりません。
令和3年11月26日裁決・太陽光発電設備の課税仕入れを行った日について、代金支払時ではなく売電可能状態になった時とした事例
請求人(納税者側)の主張
太陽光発電設備の譲渡に係る契約を行った。
本契約は、単に本件発電設備の譲渡を内容とするものではなく、本件発電設備によって発電した電力を売電できる状態とすることも内容とする趣旨の契約であると認められる。
そのため、本件発電設備が売電できる状態となった時を持って、本件契約に係る付加価値が移転したというべきであり、課税仕入れを行った日については、本件発電設備を作動させる工事が完了した日(平成30年7月10日・令和元年6月課税期間)とするべきである。
原処分庁(税務署側)の主張
本件発電設備の所有権は、代金の支払を完了した日において既に移転していると考えられる。
そのため、代金の支払を完了した日(平成30年5月25日・平成30年6月課税期間)が課税仕入れを行った日とするべきである。
結論
全部取消し(本件発電設備を作動させる工事が完了した日(平成30年7月10日・令和元年6月課税期間)を課税仕入れを行った日とする。)
本裁決のポイント
契約内容について、どこで付加価値が請求人に移転したのか
今回の内容について、それぞれが課税仕入れを行った日の判定時期とする主張としては、下記のとおりでした。
請求人:売電可能状態とするところまで契約内容の趣旨であるのだから、売電可能状態となった工事完了日が付加価値の移転日
原処分庁:資産である太陽光発電設備の所有権の移転日と考えられる代金支払完了日
今回の契約内容を鑑みると、単純な太陽光発電設備の譲渡だけでなく、それを設置・発電状態完了・売電できる状態にする、というところを含めて一連の契約だったことが伺えます。
そのため、今回の課税仕入れを行った日の判定としては、契約内容の趣旨に照らし合わせて、売電可能状態にするための工事完了日を持って、太陽光発電設備の付加価値が移転したとし、その日をもって課税仕入れを行った日とする判断でした。
難しい事例
今回の事例は、単純に資産の譲渡だけの内容の契約ではないことから発生した事例かと思います。
資産の譲渡の場合、その資産の引渡日が判定日となるため、明確に見えますが、確かに、単純な資産の譲渡だけでなく、それを使用できるようにするところまでを含めての契約も少なくありません。
今回の事例が全てに繋がる訳ではありませんが、より契約内容の重要性を感じた事例でした。
まとめ
・契約内容の趣旨に沿って付加価値が移転した日とする
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
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このページの執筆者
立川のネコ好き税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。