こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。
令和4年分確定申告以降、退職手当等の改正が行われ、短期退職手当等が新たに創設されます。
今回は、短期退職手当等を特定役員退職手当等や一般退職手当等に係る勤続期間が重複しており、同一年に受け取った場合の退職所得控除の取り扱いを確認していきましょう。
ただ、実務的にはそこまでない事例ですので、どちらかというと税理士さん向けの研究論点ですね。
※このページで紹介する内容は、令和4年以降施行となります。
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
Contents
短期退職手当等とは?
短期退職手当等とは、役員以外の勤続年数が5年以内の場合で支給を受ける退職金(特定役員退職手当等を除く。)をいいます。
詳細は、以前の記事で紹介しているので、良ければそちらもどうぞ。
複数種類の退職手当等の支給がある場合の退職所得控除の取り扱い
重複期間の退職所得控除をどの退職手当から控除するかで税額が異なる!
例えば、A社に10年・B者に3年勤務し、同時に退職して退職金を受け取った場合、B社の勤続年数3年はA社の10年と重複しています。
退職所得控除額は1年あたり40万円なのですが、この重複期間における退職所得控除額をA社の退職金とB社の退職金のどちらから控除するかによって、税額が異なってきます。(B社は短期退職手当等に該当し、2分の1課税が行われない可能性があるため。)
それでは、重複期間の退職所得控除はどのように取り扱われるのでしょうか。
基本的には按分が行われます。
基本的には、重複期間の退職所得控除は20万円ずつ按分が行われます。
上記の例ですと、重複している3年分はA社B社それぞれに20万円の退職所得控除額を適用し、残りをA社分から控除するという形ですね。
短期退職手当等・一般退職手当等・特定役員退職手当等の3種類の重複がある場合には?
退職所得控除額は1年あたり40万円。もし、上記3つの退職手当等の重複期間(全重複期間といいます。)がある場合、40万円を3で割り切ることができません。
この場合には、特定役員退職手当等に係る退職所得控除額を14万円、短期退職手当等が13万円、一般退職手当等を13万円(一般は差引で求めますが)となります。
特定役員退職手当等が一番不利な取り扱いなので、納税者有利な取り扱いですね。
事例1・短期退職手当等と一般退職手当等の重複期間がある場合
それぞれ重複期間の退職所得控除額は20万円ずつ。なお、一般退職手当等に係る退職所得控除額を差引きで求める。
事例2・特定役員退職手当等と一般退職手当等の重複期間がある場合
それぞれ重複期間の退職所得控除額は20万円ずつ。なお、一般退職手当等に係る退職所得控除額を差引きで求める。
事例3・特定役員退職手当等と短期退職手当等の重複期間がある場合
それぞれ重複期間の退職所得控除額は20万円ずつ。なお、短期退職手当等に係る退職所得控除額を差引きで求める。
事例4・3種類全ての重複期間がある場合
- 特定役員退職手当等:14万円
- 短期退職手当等:13万円
- 一般退職手当等:13万円
全重複期間は、上記の退職所得控除をそれぞれ控除する。なお、一般退職手当等に係る退職所得控除額を差引きで求める。
ちょっとしたところでも、納税者有利な展開になっている面白さ
今回の退職所得控除の取り扱いを見ると、なるべく納税者に有利になるように制定されているのが分かります。
こういった、実務で出てこないようなちょっとしたところでも、納税者に有利になるように制定されているのが面白いところですね。
まとめ
・基本的には、按分して控除が行われる
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
このページの執筆者
立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。