こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。
時代は令和。つい10年程前に比べると非常に多彩な投資の方法が出てきました。
投資で利益を得れば当然発生するのが納税・確定申告。
それでは、どんな計算方法を行うのでしょうか。
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
Contents
先物取引に係る確定申告の計算
基本的には一般的な計算と同様に収入-経費
所謂FXとも呼ばれる先物取引。国内の取引所を経由していれば分離課税になるといった特別な取扱いがあるのも特徴的ですね。
先物取引の計算方法は、他の一般的な計算と同じように収入から経費を差し引いた金額に対して課税が行われます。
収入は分かりやすい反面、悩ましいのが経費。
どんなものが経費になるのでしょうか。
自宅費や水道光熱費、通信費の一部は経費算入できるの?
自宅でFX業務を行っている場合、以下のような考えが生じます。
・自宅の一部を使用しているから自宅費の一部はFX収入に対する経費
・FX取引をする際に電気を使用しているから電気代の一部は経費
・FX取引をする際に通信を行っているのだから通信費の一部は経費
等々。
今回は、先物取引に係る上記のような経費性について争った裁決事例を紹介します。
出典
出典:国税不服審判所ホームページ(令和3年3月2日裁決・争点番号201504990)
なお、裁決事例集には登載されておりません。
令和3年3月2日裁決・先物取引に係る経費性について争った裁決事例
請求人(納税者側)の主張
自分は、先物取引を行うため、自宅の一室及び電話等を使用していた。
そのため、自宅の取得価額(減価償却費)、管理費、水道光熱費及び通信費等といった自宅に係る費用の一部は先物取引に係る経費として計上することが出来る。
また、投資情報等の入手に係る費用についても必要経費に計上出来る。
原処分庁(税務署側)の主張
自宅に係る上記費用については、取引の遂行上必要な部分を明らかに区分することが出来るとは認められない。また、投資情報の入手に係る費用についてもその支出があったとは認められない。
よって、上記費用は先物取引に係る雑所得の金額の計算上必要経費に算入されない。
結論
棄却(必要経費に算入できない。)
本裁決のポイント
業務の遂行上必要な部分を明らかに区分するとは認められなかった
所得税法第45条において、家事関連費については雑所得(と事業所得等)の計算上必要経費に算入しないこととされています。
そのため、前提として自宅に係る費用は経費計上が出来ません。
この家事関連費として、家事上の経費及び一定の経費が規定されています。
一定の経費とは、所得税法施行令第96条において、家事上の経費に関連する経費の主たる部分が雑所得等を生ずべき業務の遂行所筆世であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することが出来る場合におけるその経費部分以外の経費と規定されています。
つまり、家事上の経費に関連する経費であっても、その主たる部分が業務の遂行上明らかに区分出来れば、その部分は家事関連費には該当しない(=必要経費に算入できる可能性がある。)ということになります。
本裁決における経費については、先物取引の遂行上必要な部分を明らかに区分することが出来なかった(していなかった?)ので経費性がなかったという判断ですね。
認められれば経費算入の可能性も?
本裁決では前述のとおり、先物取引の遂行上必要な部分を明らかに区分することが出来なかったため経費算入が出来ませんでした。
とはいえ、先物取引の性質上、通信費等は必須であるとは言えます。
そのため、しっかりと自宅部分と業務部分を明らかに区分していれば、その部分については経費性が認められる可能性もなくはないのではないでしょうか。
難しいところではあるかもしれませんが、合理的な理由があればまた違った結末になるかもしれませんね。
まとめ
・先物取引の遂行上必要な部分を明らかに区分出来ていなければ経費算入は出来ない
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
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このページの執筆者
立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。