ネコの配偶者
前回は申告要件規定の概要や、適用を受けるためのルールについて解説していきました。
それでは、申告要件規定の内容はどのようなものなのでしょうか
Contents
トップクラスの税額優遇規定!配偶者に対する相続税額の軽減
概要
申告要件規定のうちの1つ「配偶者に対する相続税額の軽減」
その名の通り、配偶者に対して相続税額を軽減する規定です。
適用を受けることの出来る方
亡くなった方の配偶者(妻・夫)
適用を受けることの出来る財産
配偶者が取得した全ての財産
土地、家屋、預貯金、車、生前贈与……
財産の種類に係らず、配偶者が取得した全ての財産について適用を受けることが出来ます。
但し、意図的に財産を隠していて、調査で指摘されたなど悪質な場合には適用を受けることができません。
軽減相続税額
配偶者が取得した財産のうち、次のいずれか大きい金額まで相続税がかかりません
- 1億6千万円
- 遺産総額のうち配偶者の法定相続分に係る金額
正式な配偶者しか適用は受けられない!
受けられるのは配偶者のみ!
この規定の適用を受けることが出来るのは、亡くなった方の配偶者だけです。
この手にありがちな救済措置として、よく「一定の条件を満たす親族もOK!」みたいなものがありますが
この規定についてはありません。配偶者だけです。
内縁関係・事実婚(籍を入れない関係)・同性婚は受けられない
多種多様な関係性が認められる時代へと移り変わってきましたが、相続税の配偶者軽減については、正式に役所に婚姻届けを提出して籍を入れている関係ではないと適用を受けることが出来ません。
というより、前提として上記のような関係性の場合は相続人になりませんので、遺言がなければ財産はもらえません
逆に、籍さえ入っていれば適用を受けられる・相続人になることが出来ます。
配偶者とは完全に関係性は冷え切っており、完全別居の状態
配偶者の他に愛している内縁関係の人がおり、完全同居の状態
上記の場合でも、財産をもらえる・配偶者の税額軽減の適用を受けられるのは
愛していて同居している内縁関係の方ではなく、関係性が冷え切っており完全別居の配偶者
なので注意です。
内縁関係や事実婚は各々の選択だから良いとして、同性婚については救済措置があってもいいですよね
どれだけ相続税安くなるの?
概要
どれだけ相続税が安くなるかは、亡くなった方に係る遺産総額・相続人の種類によって異なります。
今回は簡略化のため、相続人は配偶者&子供のみという前提とし、以下の3パターンに区分して説明します
- 遺産総額1億6千万未満
- 遺産総額1億6千万以上3億2千万円未満
- 遺産総額3億2千万以上
遺産総額1億6千万未満
財産を取得しても配偶者には相続税はかかりません。
配偶者が5,000万円取得しても1億円取得しても、配偶者に発生する相続税額は0円です。
なお、この規定を受けられるのは配偶者だけですので、遺産総額1億6千万未満であっても、子供が取得した財産に対しては子供に対して相続税が発生します。
遺産総額1億6千万以上3億2千万円未満
1億6千万円までは財産を取得しても配偶者に相続税はかかりません。
1億6千万超取得した場合でも、その超えた分しか相続税はかかりません。
例
配偶者が1億取得→配偶者の相続税0円
配偶者が2億取得→1億6千万を超えた分の4千万に対して相続税発生
遺産総額3億2千万以上
遺産総額の半分までは財産を取得しても配偶者に相続税はかかりません。
遺産総額の半分超取得した場合でも、その超えた分しか相続税はかかりません。
例
遺産総額4億の場合
配偶者が2億取得→配偶者の相続税0円
配偶者が3億取得→2億を超えた分の1億に対して相続税発生
愛している方に財産を遺したい場合は婚姻関係を結ぶこと
上記の通り、愛している方に財産を遺す場合には、婚姻関係を正式に結ぶことが不可欠になります。
遺言を遺せば財産自体は挙げることが出来ますが
税額軽減を受けられない・遺留分問題・2割加算で税額負担増
等々、正式に婚姻関係を結んでいる場合に比べて税額の重さも段違いになるうえ、問題点も多く出てきます。
このような状況にある場合には、必ず婚姻関係を結ぶようにしましょう
次回予告
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このページの執筆者
立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。