どんな科目をどんな時に使用するのでしょうか。
8月下旬。
あの税理士試験から早いもので数週間が経過しました。本当に早いですね。
しかし、税理士試験は長丁場の試験。つい数週間前に本試験が終わったにも関わらず、既に来年の本試験に向けた受講等が既に開始されています。
今年は、本試験の時期が遅かったとはいえ、早いですね。
これから1年間、集中して勉強していく都合上、やはり大切になってくるのが
科目選択
科目選択については、色んな選び方がありますが、1年間の長丁場勉強を行うことですので、色々な条件を加味して慎重に決める方が多いでしょう。
科目選択の1つの選び方として
実務で使用する科目を選ぶ
というものがあります。しかし、何となく漠然と「実務で使う科目」というイメージは出来ますが、どの科目がどんな場面で使用されるのでしょうか。
Contents
どの科目がどの場面で使用されるかを大まかに分別
実務で使う科目を選ぶ!と一口にいっても
- 法人税は法人業務で使用する
- 所得税は個人業務で使用する
- 相続税は相続業務で使用する
のように、何となくは分かりますが、どの科目をどの業務で使用するか結構曖昧なところはあるのではないでしょうか。
科目→業務を連想する場合、科目がメインになってしまいます。
逆に、業務→科目を連想すれば、どの業務でどんな科目が役に立つのかが分かりやすいのではないでしょうか
今回は、業務を下記の3点に分けて、それぞれの業務でどの科目を直接的に使用するかを紹介しますので、科目選択の参考にしていただければ嬉しいです
- 法人業務
- 個人業務
- 相続業務
法人業務ではどんな科目を実務で使用する?
メイン使用科目
法人税・事業税・消費税・(住民税)
やっぱり法人業務は法人税関係が大切
法人業務は簡単に言うと、法人の日々の会計業務の確認や法人税申告書の作成、法人関係のコンサル等になります。
大前提としての法人の日々の会計業務を行うためには、会計(簿記・財務諸表論)の知識に加えて、法人税の考え方も必要になるので、当然ながら法人税の知識は役に立ちます。
また、消費税についても、納税義務の免除の特例や、日々の会計業務に不随する消費税の検討が必要になってくるので、こちらも1年通して役に立つ知識に。
日々の会計業務では、法人税・消費税の知識がかなり役に立ってくると思います。
法人税申告書の作成
法人税申告書の作成に当たって注意しなければならないこととして
法人に係る作成申告書は法人税に係るものだけではない
ということが挙げられます。
法人関係の決算業務と言えば、法人税申告書の作成だけに目が行きがちですが、申告書だけで
- 法人税申告書
- 地方税の申告書(法人事業税・法人住民税)
- 消費税申告書
上記の3点を作成することになります。
法人税申告書・消費税申告書を作成する場合には法人税・消費税の受験勉強で得た知識は役に立つのは分かりやすいですね。
また、地方税の申告書を作成する際は事業税の知識も、役に立ちます。事業税は日々の会計業務で使用する機会は少ないですが、申告書作成時には使用することに。
他にも、法人住民税に係るものは住民税の受験勉強で学ぶとのことですが、事業税との選択になるので、メイン科目からは除外してあります。
法人関係は、やはり法人税と消費税、事業税
法人関係の業務では、やはり法人税と消費税の知識がとても使用する頻度が高いですので、法人関係の実務で役に立つ科目を選ぶという事であれば、この2科目を選ぶのがいいかもしれませんね。
なお、社長さんのお給料を含めた税額シミュレーションなどを考える場合には所得税も使用することになりますが、直接的ではないので、ここでは除外してあります。
個人業務ではどんな科目を実務で使用する?
メイン使用科目
所得税法・消費税・(住民税)
個人の実務と言えば、やはり所得税
個人関係の実務で行う代表的なものとしては、日々の会計業務や確定申告時期の申告書の作成、個人のコンサルなどが挙げられます。
日々の会計業務は法人と同じように、個人に係る会計処理のために所得税が必要で、それに伴い消費税も必要となります。
住民税については、必要な時のみ申告が必要になるもので、毎回必要なものではないので、受験勉強の内容がそこまで実務で必要になる場面は多くはないのではないでしょうか。
申告書の作成業務
個人の確定申告で作成する申告書は以下の通り
- 所得税確定申告書
- 消費税確定申告書
- (住民税確定申告書)
法人とは異なり、所得税の確定申告書を提出すれば住民税確定申告書の提出は必要ありませんので、主に所得税と消費税の確定申告書を提出することになります。この2科目は実務でも非常に使用することになりますね。
個人の場合は、より所得税の知識が実務へ
法人税よりも必要な科目が少ないですが、その分、所得税の中身は多岐に渡り
- 事業所得の業務
- 不動産所得の業務
- 給与所得関係の業務
- 配当関係の業務
- 譲渡所得関係業務
- 所得控除関係
など、お客さんによって全く色の違う内容をオーダーメイドして作業する必要があります。
上記業務を同時に複数行う場合も少なくありません。所得税1つの受験勉強がより実務で使用する内容になります。
なお、個人の場合には所得税だけでなく、健康保険料などにも直結してきます。
税理士試験外でも色々なものが混在する業務ですね。
相続業務ではどんな科目を実務で使用する?
メイン使用科目
相続税・所得税・消費税・(法人税)・(住民税)・(法人税)
相続税業務は、相続税だけじゃない
相続税の業務と言えば、やはり思いつく代表的な物として相続税申告書の作成が挙げられます。
しかし、それだけではなく、以下のように個人関係の業務も一通り必要に。
- 相続税申告書の作成
- 準確定申告書(所得税・消費税)の作成
- 相続人の方の所得税関係の手続き
相続専門の場合、相続税申告書の作成だけで終わりですが、一貫して行うと、所得税関係まで考えなければいけない実務内容です。
また、相続税申告書作成のために法人税関係の実務が必要になったりと、多岐に渡る業務ですね。
相続の場合、相続関係業務+個人関係業務
相続が発生したら、相続税申告書の前に亡くなった方の確定申告をしなければならないため、個人関係の業務が発生します。
また、相続人の方が亡くなった方の不動産賃貸業などを引き継ぐ場合には、それに係る所得税・消費税関係の手続きが必要となります。
上記の所得税関係の実務と、相続税関係の実務も発生してきますので、相続業務では相続税と所得税の受験勉強で得た知識がとても役に立ちますね。
相続業務は、相続税+個人関係
相続業務は上記のように、相続税だけではなく個人関係の業務も必要になってきます。
相続に係る実務では、相続税+個人関係の科目が役に立ちますね。
自分の興味ある科目を勉強しよう!
それぞれの実務でメインで使用する科目としては上記の通りですが、やはり一番は自分の興味のある科目を勉強するのが一番ですね。
楽しいですし、実務で使わなくても無駄になることはないですからね。
これから1年間、改めて頑張っていきましょう
このページの執筆者
立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。