税理士会が行っている活動の1つに、租税教室というものがあります。
ここ数ヶ月参加させてもらったのですが、生徒さんの様々リアクションなどから、私自身もたくさんのことを学ばせてもらいました。
今回は、コミュニケーションにおいて混合しやすい、伝わっていないことと、理解できていないことは別物であることと、伝わっていなければ楽しさは生まれないということを実感した内容です。
Contents
授業を通して得たリアクションから感じるもの
租税教室は小学校~専門学校など幅広く行っており、その中で小学校と専門学校については何度か体験させてもらいました。
世代毎に色々な見え方があって、勉強になったことやそんな見え方もあるんだなと反省したことなど、様々なことを感じました。
小学生の純粋なリアクション
あ、これ伝えられていないな、というのが分かる
自分が話した内容が相手にうまく伝わっていない時は、相手が誰であれ何となく分かります。
その中でも、小学生はそのリアクションが特に分かりやすく、上手く伝わっていない場合、表情にすごく出ているのでとても分かりやすいですし、早めの方向転換を行うことが出来ます。
私がここで感じた点として、相手が理解していないことと、上手く伝わっていないことは同じではないということです。
うまく伝わっていない=相手が理解していない、ではない
混合しやすいが、話が伝わっていないことと、内容を理解していないは全然違う
私も最近まで勘違いしていたのですが、相手にうまく伝わっていない=相手が話の内容を理解していない、ではないということが往々にしてあることです。
相手が話の内容を理解していない、という段階で相手に起こっている状況としては「話の内容や伝えたいことは伝わっているが、話の内容が難しい・情報が足りない・点が結びつかずに理解が出来ない」という状況が多いです。
内容自体は伝わっていて、自分なりの整理や理解をしている状況なんですね。
それに対して、うまく伝わっていないというのは、相手が理解をしようとしている段階とかではなく「そもそも話が伝わっていない」という状況です。
「え、この人何を言っているの?」状態になっていて、「内容」の理解の前に「コミュニケーションが取れていない」状態になります。
相手に伝える、コミュニケーションを取るというのは、発信側がやるべきことであり、受け手側が無理に行う場合、負担がとても大きく疲れます。
大前提として、相手にしっかりと伝えることを意識することがとても大切ですね
小学生の場合、「うまく伝わっていない」と「伝わっているがまだ理解していない」の境目がとても分かりやすい
大人になってくると、「うまく伝わっていない」と「伝わっているがまだ内容を理解していない」の境目が曖昧になる方が多いのではないでしょうか。
私も自身も、他の方から話を聞く際には 「この人は何を伝えたいんだろう」 と考えることと「この話の内容はどういうことなんだろう」と考える2点を最近まで混合していた覚えがあります。
小学生の場合、この2点のリアクションがとても分かりやすく
伝わっているがまだ理解していない場合、子ども達の性格によって
- 内容を理解しようと考えこむ子
- パッと発言して質問し、理解しようとする子
- 資料などを注視して考える子
- 周りと相談し始める子
など、様々なリアクションを取ってくれます。みんな、頑張って理解してくれようと努めてくれてとても嬉しいです。
それに対し、上手く伝わっていない場合、大体の子が
首をかしげるような、虚を得たような表情をします。とにかく、リアクションが皆無という状況に。
この2つの状況を理解し、今ある受け手側の問題を解消することが大切なんですね。
うまく話が伝わっていないなら、相手に伝わるように改めて話直す
内容が理解できていないのなら、内容を理解出来るように導き直す
小学生の純粋な反応から、このことに気が付くことが出来たのはとても嬉しいですし、本当に勉強になりました。
より社会人に近い専門学生になると、リアクションも全然違ってくる
専門学生はやはり大人のリアクション
小学校の他に、専門学校にも何度か行かせてもらったのですが、やはり小学生と専門学生では、リアクションの内容が全然異なります。
税金に対するイメージは、大体良くない
専門学生の場合、税金に対してより近い場所にいるので、良くも悪くも……というよりも税金に対して悪い印象を持っている方が少なくありません。
税理士がこんなこと言うのも何ですが、正直な話、税金に対する悪い印象を与えるようなニュースは私自身も何度も見かけています。
最近よく話題になる、会社員が税金を払うのは良くないから、副業赤字で得しよう、なども税金に対する悪い印象を利用し派生してきた内容の1つですよね。
全員がそうだとは言いませんが、巷に溢れる税金に対する悪い印象を何度も刷り込まれてしまえば、少なくとも良い印象を持たないのは当然だと思います。
逆に、税金支払いに対する良い話題はほぼないですしね。
それでも、きちんと相手とコミュニケーションを取れば話を聞いてくれる
元々悪いイメージを持っていた方は多いですが、税金についてきちんと伝えることが出来ればイメージは皆さん変わってくれた印象です。理解しようと努めてくれて、とても嬉しいです。
ここでも大切だと感じたのは、相手のリアクションを見て、どんな風に対応をすれば良いのかを考えること。
相手に伝わっていない場合、そこを無視してどんどん話の内容を進めて行ってしまうと、受け手としては非常につまらなくなってしまい、疲れてしまうので話の拒絶を行うことも少なくありません。
元々悪いイメージも持っている訳ですから、「やっぱり税金って良く分からないな……」という印象を強く与えて拒絶されてしまう訳です。
相手がきっちり理解出来るように対応すれば、元々悪いイメージを持っていたとしても、内容を理解し、自分なりの考え方を出してくれます。
話していくうちに、リアクションが変わってきたのが何となく感じることが出来て、嬉しかったですね。
本業以外のことに対する興味を持って聞いてくれる嬉しさ
専門学校ですから、将来は手に職をつけたい方が多くいらっしゃいます。
本業に関すること以外のことって、やはりそこまで興味を持てることではないのではないでしょうか。
コミュニケーションは発信側が大切なのは言うまでもありませんが、受け手側に拒絶されてしまっては、伝えることはとても難しくなってしまいます。
自身の本業にそこまで関係のない税金に対して、興味を持って私の話を聞く姿勢を持ってくれたのはすごく嬉しいことですし、ありがたく、尊敬します。
私自身も、最近は少しそんな感じを忘れていたかもしれません。
生徒さんが考えて、たくさん質問してもらえた時は嬉しい
生徒さんがこちらの問いかけに対して様々な形で考えてくれたり、分からなかったところを質問してくれるのですが、とても嬉しいです。
まず、話の内容は伝わっていることも嬉しいですし、難しい内容を理解しようと努めてくれるところもとても嬉しいですね
やっぱり考えてくれたりすると、講師冥利に尽きるなぁという印象です。
私自身、本業以外に関する情報の取得には億劫になっている部分が少なくありませんでした。好奇心旺盛の大切さを逆に教えてもらった形になりましたね。
税理士はエンターティナーではないけれど
楽しい授業=良い授業?
租税教室を通じて感じたもう1つのこととして、楽しい授業=良い授業ではない、ということです。
どんなに盛り上がって楽しんでくれても、内容が税金と全く関係ない内容では意味がありません。
本質は一貫して伝える必要があります。
どうせ時間をもらうなら楽しんで!でも、本質を一貫して伝える難しさ
税金の内容というのは複雑で、楽しく学んでもらうのはとても難しいです。
それでも、せっかく時間をもらっている以上、楽しんで学んでもらいたいというのは常に考えています。
税理士はエンターティナーではないけれど、せっかくならば、思い出に残るような楽しい授業にするように常に心掛けることは悪いことではないですからね。
本質を一貫しつつ楽しんでもらう、それを模索しながら前に進んでいきましょう。
相手に伝えることが出来て、初めて楽しいコミュニケーションになる
楽しい・良いコミュニケーションの大前提としては、やはり相手にきちんと伝わっていることが大切です。
何を言っているか分からない内容では、楽しくも良くもないですから。
相手に対して、しっかりと話の内容を伝えることは大前提とし、その上で、相手に楽しんでもらうコミュニケーションを大切にしていこうと改めて感じました
このページの執筆者
立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。