コラム

税理士試験の問題作成は源泉徴収される?報酬に着目して俯瞰的に考える

ジャガーネコ
ジャガーネコ
源泉徴収は確定申告できちんと精算しないとね。
ミケ君
ミケ君
原稿料は源泉徴収がされるんだよね。……あれ、そういえば税理士試験の本試験問題作成したら源泉徴収されるんだよね!採点とかも!ちゃんと入れてる!?
ジャガーネコ
ジャガーネコ
僕は本試験作成してないから……。

こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。

フリーランスで仕事をしている場合、報酬の種類によっては源泉徴収をされるケースがあります。

原稿料も源泉徴収が必要な報酬となり、漫画家さん等は源泉徴収が必要となります。

ところで、税理士試験の本試験問題は実務家本試験として税理士さんが作成を担当されているとのことです。

この税理士試験の本試験問題作成の報酬(報酬があるのかは不明ですが)には源泉徴収がされるのでしょうか。

当事務所では、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
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不明点等ございましたら、ご検討いただければと思います。

源泉徴収が必要なケースはどんな時?

お給料から天引きされていることで有名な源泉徴収。実は、お給料以外でも、一定の報酬を支払う際には源泉徴収が必要となります。

先日紹介した漫画家さんの原稿料等も含めて代表的な物は以下のとおり

  1. 原稿料・講演料
  2. 弁護士、中小企業診断士、税理士等の士業への報酬(行政書士除く)
  3. ホステス等に対する報酬など

一番身近なもので言うと、やはり1番の原稿料等でしょうか。漫画家さん作家さんだけでなく、本業に係る執筆作業依頼等の場合でも源泉徴収されるケースは多いですね。

ところで、税理士といえば、毎年8月に実施される税理士試験の本試験問題があります。

この本試験問題は現役税理士の方や大学教授、国税庁の方が作成されるのが主です。

それでは、この税理士試験本試験問題作成は源泉徴収の対象になるのでしょうか?

※支払者は源泉徴収義務者、報酬受取人は個人の方を前提にしています。

税理士試験の本試験作成は原稿料……?

問題作成は原稿料ではないので原稿料では源泉徴収されない!

税理士試験の本試験を含め、試験問題の出題料は源泉徴収の対象とはなりません。よって、税理士試験の本試験問題作成は源泉徴収が必要ないということになります。身近なところでは、高校入試や大学入試の問題作成も同じ取り扱いになりますね。

何でそうなるの?と聞かれたら、問題作成は原稿料に該当しない(通達等に記載あり)から、ということになります。

しかし、原稿料と問題作成は何が異なるのでしょうか。

個人的な想像になるので趣旨は異なる可能性がありますが、出来上がったものが所謂「作品・芸術的なもの」か否かで判断しているのではないかなと思います。

原稿を執筆して書籍として発刊されれば作品で芸術的なものという印象がある一方、試験問題を作品とするのは少し疑問が湧くような気がします。

他の例示と比較するのはナンセンスですが、デザイナー報酬や講演料、映画や演劇等の出演料も対象になりますし、作品や芸術的な報酬に対しては源泉徴収の対象としている意向もありますしね。後世まで残るような作品には基本的に源泉徴収を課す、という印象でしょうか。

とはいえ、これは私の想像ですので間違ってるかもしれません。こう書いて、改めて調べてみたくなりましたね。

知っている方いれば教えて下さい!

ちなみに、採点業務も原稿料ではないので源泉徴収されない

試験出題にセットになるのが採点業務。答案に対して適切な結果を反映させる大切な作業ですね。

こちらの報酬も原稿料には含まれないので源泉徴収の必要はありません。採点業務については何となく理由がイメージしやすいですね。

既に出来上がっている物に結果を反映していく作業を原稿料として見るのは何となく違和感もあります。

じゃあ本試験問題作成は源泉徴収必要ないね!

上記のことから、税理士試験の本試験問題作成報酬は原稿料に該当しないことが分かりました!よって、源泉徴収は必要ないですね!

……本当に、必要ないでしょうか?

もしかして:税理士報酬

源泉徴収が必要なものは原稿料だけではない

前述の通り、「税理士試験の本試験問題作成は原稿料に該当しないため、原稿料としては源泉徴収が必要ないこと」が分かりました。

しかし、1点考えなくてはいけないことがあります。

それが、税理士報酬に対しては源泉徴収が必要となるということ。

税理士報酬は実態が報酬ならば名目に関係なく源泉徴収

税理士試験の本試験を作成している方には、現役の税理士さんも含まれています。

もし、税理士さんに対しての本試験問題作成が「税理士報酬」として支払われているのであれば、「税理士報酬として」源泉徴収が必要になることに。

この税理士報酬について、名目等は関係なく、実態が税理士報酬ならば源泉徴収が必要となります。謝礼です!といって支払ってもそれは税理士報酬として源泉徴収が必要となります。

もしかして:お給料

税理士試験の本試験を作成している方には、国税庁の方も含まれています。

国税庁の方に対する本試験問題作成の報酬をお給料として支払っている場合には、一般的なお給料と同じように源泉徴収が必要となります。

試験実施は国税審議会が行っていたり、実情は実はよく分かりませんが、とにかくお給料として支払われているのならば源泉徴収が必要となります。

原稿料には該当しないが、税理士報酬やお給料として扱われるのならば源泉徴収が必要!

簡単なまとめ

上記の内容をまとめると以下のようになります。

税理士試験本試験問題作成の源泉徴収

・原稿料としては源泉徴収は必要なし
・税理士報酬やお給料といった、他の源泉徴収が必要となるものに該当したら必要

個人的には源泉徴収が必要かな

個人的には、税理士試験本試験問題作成は源泉徴収が必要なんじゃないかなぁと思います。

前述の通り、原稿料としてではなく、税理士報酬やお給料に該当して必要となる、ということですね。

大学教授の試験委員に対する支払がどうなるかはちょっと難しいですが、恐らく必要ないのかなとは思います。

1つの論点に対して多角的・俯瞰的に考えたい

上記のように、税理士試験の本試験問題作成は原稿料に該当しないから源泉徴収が必要ない!といったように1点の論点をクリアしても実は後ろに他の論点が控えていることは多々あります。

1つの論点に対して、一方だけの見方をするのではなく、多角的・俯瞰的に考えて、論点のあぶり出しを含めて考えていくことが大切ですね。

これからの確定申告に向けて、1点だけでなく多角的・俯瞰的に考えて適正な申告をするように心がけましょう。

当事務所では、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
また、不動産売却を含め確定申告依頼のサービスも提供しております。
不明点等ございましたら、ご検討いただければと思います。

このページの執筆者

立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史

※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。