こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。
日本が誇る終身雇用の福利の1つ、退職金。
退職金は、長年の勤続による功績を称え、老後の生活や勤務時代の給与の後払い等の性質として支給される金品の1つですね。
長年の成果を一度に得ることから、退職金については手厚い税制優遇があります。
しかし、時代と共に概念は変わりゆくもの。
退職手当等を取り巻く環境も変わっており、令和4年分確定申告から新たな取り扱いが誕生することになりました。
※このページで紹介する内容は、令和4年以降施行となります。
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
Contents
新しい退職手当等の概念・短期退職手当等の改正
新しい概念・短期退職手当等
退職手当等の概念では、一般的な退職手当等と特定役員退職手当等の2種類がありました。
特定役員退職手当等は、役員として入社後、5年以内に退職し、退職金の支給を受けた場合のその退職金をいいます。
一般退職手当等は、上記のような特殊な退職金以外のものを指す受け皿的な概念ですね。
ここに、新しく「短期退職手当等」が誕生することになりました。
短期退職手当等の意義
短期退職手当等とは、退職手当等のうち、退職手当等の支払をする者から短期勤続年数(勤続年数のうち、役員等以外の者としての勤続年数が5年以下であるものをいう。)に対応する退職手当等として支払いをうけるもののうち、特定役員退職手当等に該当しないものをいう。
つまり、役員以外で勤続年数5年以内に受ける退職金のことですね。
短期退職手当等改正の趣旨
時代が移り変わり、短期的な入社を前提としている方が増加する今日。
毎月の給与額を低くし、その分を退職金にすることで、退職所得の税制優遇を使用するという、趣旨にそぐわない適用に対する適正化を図っての改正です。
後述しますが、勤続年数5年の場合には500万円以上の退職金が今回の改正の影響を受けることになります。これは、経団連の実質調査における勤続年数5年のモデル退職金の額である126.7万円を大きく上回る水準。
今回の改正の適用を受ける退職金の額の大きさが分かりますね。
短期退職手当等の取り扱い
短期退職手当等を受け取った場合、短期退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額が300万円以下の場合には、一般的な退職手当等と同じように2分の1課税が行われます。
それに対し、300万円超の場合には、300万円部分のみ2分の1課税が行われ、残りの部分は2分の1課税が行われません。
概念として語弊がありますが、短期退職手当等に係る退職所得の金額のうち300万円部分のみ2分の1課税が行われるということですね。(退職所得は所得金額の最終値なので、この表現はそもそも間違っていますが。)
取扱いの具体例
短期退職手当等の収入から短期退職所得控除額を控除した残額が300万円以下の場合
収入金額200万円・短期退職所得控除額40万円の場合
(200万円-40万円)×1/2=退職所得の金額
短期退職手当等の収入から短期退職所得控除額を控除した残額が300万円超の場合
収入金額500万円・短期退職所得控除額40万円の場合
150万円+500万円-(300万円+40万円)=退職所得の金額
上記の150万円と300万円が2分の1に対応する箇所でですね。(上記算式は条文ベースで作成しています)
短期での重役入社を行う場合には要注意
今後、自身のキャリア等を活かして短期での重役収入を行う場合には、今回の改正が影響してくる可能性があります。
せっかくのキャリア入社。変に税制優遇を受けるのではなく、給与も退職金も、適正額の支給を心がけましょう。
まとめ
・収入から控除額を控除した残額のうち、300万円までは2分の1課税が行われ、それ以降は行われない。
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
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このページの執筆者
立川のネコ好き20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。