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所得税法第57条の2・特定支出控除

先日服が好きな先輩とぶらぶらと街を散策していた時の出来事。

その先輩はスーツ系の服も好きで、色々スーツで有名なお店に連れて行ってくれました。

スーツとかのファッションにはそんなに詳しくない、というか疎い私。色んなスーツが売っているのを見て、素人ながらかっこいいとかクールとか感じました。

やっぱりスーツはかっこいいよな~とか、これ5万円くらいなのかな~とか思いながらおもむろに値札を確認します。

312,800円

たっか。(トップス3,000円)(ボトムス2,800円)(カバンはフリマ購入品)(靴7,800円)(生地の薄さ)(半袖)(フードで差をつけろ)(圧倒的レッドカラー)

目次

1.特定支出控除
2.経費になる支出
3.実はサラリーマンも経費が考慮されている
4.最後に
ダブルスーツのイラスト(男性用)

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1.特定支出控除

(給与所得者の特定支出の控除の特例)
第五十七条の二 居住者が、各年において特定支出をした場合において、その年中の特定支出の額の合計額が第二十八条第二項(給与所得)に規定する給与所得控除額の二分の一に相当する金額を超えるときは、その年分の同項に規定する給与所得の金額は、同項及び同条第四項の規定にかかわらず、同条第二項の残額からその超える部分の金額を控除した金額とする。
2 前項に規定する特定支出とは、居住者の次に掲げる支出(その支出につきその者に係る第二十八条第一項に規定する給与等の支払をする者(以下この項において「給与等の支払者」という。)により補塡される部分があり、かつ、その補塡される部分につき所得税が課されない場合における当該補塡される部分及びその支出につき雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第十条第五項(失業等給付)に規定する教育訓練給付金、母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)第三十一条第一号(母子家庭自立支援給付金)に規定する母子家庭自立支援教育訓練給付金又は同法第三十一条の十(父子家庭自立支援給付金)において準用する同号に規定する父子家庭自立支援教育訓練給付金が支給される部分がある場合における当該支給される部分を除く。)をいう。
一 その者の通勤のために必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のための支出で、その通勤の経路及び方法がその者の通勤に係る運賃、時間、距離その他の事情に照らして最も経済的かつ合理的であることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもののうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定める支出
二 転任に伴うものであることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされた転居のために通常必要であると認められる支出として政令で定めるもの
三 職務の遂行に直接必要な技術又は知識を習得することを目的として受講する研修(人の資格を取得するためのものを除く。)であることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもののための支出
四 人の資格を取得するための支出で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもの
五 転任に伴い生計を一にする配偶者との別居を常況とすることとなつた場合その他これに類する場合として政令で定める場合に該当することにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされた場合におけるその者の勤務する場所又は居所とその配偶者その他の親族が居住する場所との間のその者の旅行に通常要する支出で政令で定めるもの
六 次に掲げる支出(当該支出の額の合計額が六十五万円を超える場合には、六十五万円までの支出に限る。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもの
イ 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものとして政令で定めるもの及び制服、事務服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服で政令で定めるものを購入するための支出
ロ 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出
3 第一項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書(次項において「申告書等」という。)に第一項の規定の適用を受ける旨及び同項に規定する特定支出の額の合計額の記載があり、かつ、前項各号に掲げるそれぞれの特定支出に関する明細書及びこれらの各号に規定する証明の書類の添付がある場合に限り、適用する。
4 第一項の規定の適用を受ける旨の記載がある申告書等を提出する場合には、同項に規定する特定支出の支出の事実及び支出した金額を証する書類として政令で定める書類を当該申告書等に添付し、又は当該申告書等の提出の際提示しなければならない。
5 前三項に定めるもののほか、第二項に規定する特定支出の範囲の細目その他第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

電子政府の総合窓口 イーガブより引用
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=340AC0000000033#V

さて、個人事業主よりも所謂サラリーマンが圧倒的に多い日本社会。昔から冗談草としてこんなセリフがあります。

「ここの飯は個人事業主の俺がおごるよ。経費になるからさ!」

私はこんな言葉聞いたことないので、正直都市伝説の類や木村拓哉さんの「ちょ、まてよ!」みたいな感じだと思ってます。そもそも経費で落ちないですし。

そんな私でもこんな感じのセリフを知っているあたりそれなりに心の中にある言葉ではないでしょうか。

しかし、そんな言葉を聞くとサラリーマンの方は不平等に感じるかもしれません。サラリーマンの方だって仕事のためにお金を使うことがあるのに、それは経費で落ちないのかと。

そんな声にも対応するのが所得税! 実はそんなサラリーマンの方々を対象に、仕事に関連する経費で一部のものについては条件を満たせば経費に出来るって規定があるんですね。

それがこの特定支出控除! 内容としては、給与所得控除の半分以上仕事に関連する経費を払ったら超えた分だけ経費にしていいよ、って内容ですね。

でも、何でもかんでもではなくて特定の経費だけだよ~ってことも言ってます。

じゃあ一体どんな経費がなるのでしょうか!

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2.経費になる支出

1 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)
2 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出(転居費)
3 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出(研修費)
4 職務に直接必要な資格を取得するための支出(資格取得費)※平成25年分以後は、弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費も特定支出の対象となります。
5 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出(帰宅旅費)
6 次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの (勤務必要経費)(1) 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
(2) 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
(3) 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)

国税庁HPより  https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1415.htm

一つ一つ解説していきましょう。

①通勤費

これはとても分かりやすいしサラリーマンの方はほとんどの方が支払ってますね! じゃあ通勤費分税金安くなるじゃん!! これだけですごい規定だ!!

但し、勤務先から交通費を支給されている場合は使えません。

税金安くなるより交通費支給された方が圧倒的にいいです。

②転居費

転勤等があった時の転居費用についても経費になりますね。転勤はそう頻繁にあるものではないですが、これは使える場面はあるのではないでしょうか。

③研修費

仕事に関連した研修費についても経費対象になります。但し、これも研修費を勤務先に負担してもらったりしている場合はNG。

④資格取得費

これは主に士業の方が中心になる経費ですね。弁護士や公認会計士、それに我らが税理士の資格を取得するために支払ったものは経費になるそうです。

専門学校等に支払った講義代が該当しますね。未来有望な士業の卵に対して粋なものです。

って私この規定知らなくて使ってなかったんですけどね。

どんな規定も知らなければ使えないというのを身をもって体感しました。

⑤帰宅旅費

①と被りそうですが、こちらは単身赴任先から実家とか勤務先とかに戻るために払った交通費が対象となります。

例によって勤務先から支給されたものは対象外です。

⑥勤務必要費

おそらくこの規定で一番の目玉ポイント。仕事に関連する本、スーツ含む衣服類、取引先等の接待費等が経費とすることが出来ます。

冒頭のスーツ30万を買ったらここで経費に出来るということですね。と思いましたが、流石に高すぎるから仕事に必要なものと認められないんじゃないかと思ってきました。

本や取引先との接待も対象になります。「ここは個人事業主の俺が払うよ。経費になるからさ!」そう言われたらこう返しましょう。

「ここはサラリーマンの俺が払うよ。特定支出控除の対象になるからさ!」

まぁ仕事に関連なければ経費にならないんですけどね。

上記①~⑥の経費が勤務先の人に仕事で必要な経費と証明されて、確定申告書を出せば給与所得控除の半分を超えていればその分を経費に出来ます。

では、給与所得控除とはなんぞや、という話になるわけです。

本のイラスト(緑)

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3.実はサラリーマンも経費が考慮されている。

給与所得控除ですが、簡単に言うとサラリーマンの方全員に適用される概算の経費金額です。

実はサラリーマンの方は例外なく全員が経費のことを考慮されていたんですね。

とはいえ、個々の職種や状況により経費は異なるものですから、給料の金額に応じて一律の決まった金額を定めています。給料の額によって異なるため、それぞれの最低金額だけを紹介すると

①180万円以下→給料の40%:最低経費金額65万円

②180万超360万円以下→給料の30%と18万円:最低経費金額72万円

③360万円超660万円以下→給料の20%と54万円:最低経費金額126万円

④660万円超1000万円以下→収入金額10%と120万円:最低経費金額186万円

⑤1000万円超→220万円

となります。元々数十万円~数百万円までは経費が考慮されていたんですね。

じゃあこれを特定支出の額と照らし合わせて、いくら以上使えば経費になるかを確認しましょう!

①→32.5万円

②36万円

③63万円

④93万円

⑤110万円

給料の額に応じて上記金額を仕事のために使えば経費に出来ます!!

これだけでこの規定の使用率の低さを語るに及ばずだと思います。

そもそも、そういった内容をまとめて概算で経費を出してくれているんですね。

領収書のイラスト

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4.最後に

意外と知られていないサラリーマンの支出も経費になるという規定。

実はきっちり考えられていて概算で経費を出してくれていたからこそなんですね。

ですが、実は来年から給与所得控除たる概算経費の額が全員一律で10万円引き下げられます。

なんでだ! という感じですが、本当になんでなのでしょうか。一応特定支出控除のラインも引き下げられますが、そもそもそんなに使うものでもないし複雑です。

ちなみに米国との比較をすると米国では給与所得に対する概算経費、ということではなく個人事業主も含めた概算経費としてstandard deductionが設定されているのですが、これが大体120万ぐらいとなってます。

そう考えると、ジャパンの給与所得に対する概算経費は結構な寛大さがある感じがしますね。

それにしても30万円のスーツとはすごいですよねぇ。いつか私もそれを着こなせる税理士になりたいものです。

コンビニで買ったネクタイつけてたら流石にその先輩に怒られたのを教訓にします!