ネコは3日で忘れる
前回はこちら
前回は青色申告特別控除を確認していきました。
利益が出ている場合、青色申告特別控除により税金が安くなります。
しかし、0円が限度になっているので、元々損失の場合には青色申告特別控除の効果はありません
それでは、損失が出ている方には特典は全然ないのでしょうか。
Contents
青色申告の特典・繰越控除
損失が出ている場合にも青色申告の特典はしっかりあるのでした。
損失が出ている場合、その年で発生した他の所得と通算(マイナス)することが出来ます。
例:事業所得・損失80万/給与所得100万
課税対象額:100万-80万=20万
とはいえ、事業所得一本でやっており、アルバイトや他の収入が一切ない方もいるでしょう。
その場合、翌年以後3年に渡って損失を繰り越して、来年以降の利益と通算することが出来ます。
これを、純損失の繰越控除と言います。
純損失の繰越控除とは
概要
収入から経費を差し引いた利益が純利益なら、収入から経費を差し引いた損失は純損失
その名の通り、純損失を来年以降に繰り越して、来年以降の利益からマイナスすることが出来ます。
繰越控除の例
令和元年に事業所得で純損失が100万・令和2年に事業所得で純利益が150万円
令和2年の課税金額:150万-100万=50万
繰越期間
翌年以後3年間に渡って繰越が出来ます。それ以上経過すると消滅するので注意。
ちなみに、法人の場合は10年間繰越出来ます。すごい差ですね。
事業所得の場合
総収入金額より必要経費が多く、純損失が出た場合には、他の所得と通算して通算しきれない部分について来年以降に繰り越して控除が出来ます。
収入の安定しにくい開業初年度での損失を来年以降に繰り越せるので、便利ですね
不動産所得の場合
総収入金額より必要経費が多く、純損失が出た場合には、他の所得と通算して通算しきれない部分について来年以降に繰り越して控除が出来ます。
空室率が高く損失が出た場合に、来年以降に繰り越せるので便利ですね
山林所得の場合
総収入金額より必要経費が多く、純損失が出た場合には、他の所得と通算して通算しきれない部分について来年以降に繰り越して控除が出来ます。
山林所得自体ほとんどないんですけどね
譲渡所得の場合
概要
譲渡所得についても、特定のものについては3年間繰越控除が出来ます。
ちなみに、この場合は青色申告じゃなくても可能です。譲渡所得しかない人、青色申告出来ないですし
上場株式の譲渡
主に、源泉徴収口座内で発生します。
その年の配当と通算しても通算しきれない場合には、来年以降の上場株式の譲渡損や配当と通算出来ます。
上場株式の譲渡損という一見エンカウント率がめっちゃ低そうにも関わらず、意外とエンカウント率が高いので注意
ちなみに、めっちゃ細かい注意点として、源泉徴収口座内の上場株式の譲渡損を損益通算(と来年以降の繰越)するために申告する場合、同じ源泉徴収口座内の配当も申告が強制されるので注意(配当だけ申告不要には出来ない)
配当の金額によっては、敢えて損益通算(と来年以降の繰越)しないで、申告不要にする選択も考えられますね。
マイホームの場合
マイホームを売って、譲渡損が出た場合には、条件下で他の所得と通算・繰越控除出来ます。
結構条件は厳しいので注意
総合譲渡の場合
場合によって、損益通算や翌年の総合譲渡の金額と通算出来ます。
配偶者居住権の譲渡で発生した譲渡損とか通算したり出来るのでしょうかね。
配偶者控除や扶養控除等は繰越適用前の金額で判定
概要
配偶者控除や扶養控除は、合計所得金額が48万円以下といった金額の条件があります。
この48万円の判定については、繰越控除適用前の金額で判定するので注意
判定例
繰越控除適用前の所得金額60万円/繰越控除額-60万円
→判定は控除前の60万円で判定するため、これらの規定は適用できない
次回予告
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このページの執筆者
立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。