青い紙だから青色申告
前回までは、青色申告の特典や青色申告の場合に作成する帳簿書類等について確認していきました。
青色申告出ない場合には、白色申告となります。
青色申告とか白色申告とか、言葉では聞きますけど、実際、どんな違いがあるのでしょうか。
Contents
青色申告と白色申告の違い
概要
所得税の申告の種類は、青色申告と白色申告がありますが、ざっくりと以下のような違いがあります
- 申告種類の選択方法
- 税務署への提出書類
- 作成帳簿書類
- 特典(税額計算での優遇措置)の有無
青色申告と白色申告の違い①申告書類の選択方法
概要
青色申告で申告するか白色申告で選択するかは、開業時に料理を選ぶかの如く「どっちにしようかな~」と同列に並べて選ぶのではなく、青色申告の場合には、青色申告となり、それ以外の場合には白色申告という風になります。
青色申告で申告したい場合
青色申告で申告したい場合には、青色申告で申告をするための特別な手続きが必要となります。
青色申告承認申請書を所轄税務署に提出することで、その年から青色申告により申告することが出来ます。
但し、適用を受ける年の3月15日までに提出をしないといけません。例えば、令和2年1月1日~令和2年12月31日までの期間から青色申告で申告したい場合には
令和2年3月15日まで(今年は新型コロナウィルスの影響で伸びてますが、考慮外)に提出しなければなりません。
よくある質問として
- 確定申告書の提出と同時に青色申告承認申請書を提出すれば、その提出する確定申告書も青色でいい
- 3月1日に提出したら、その年の1月と2月は白色申告で3月以降が青色申告になる
などがありますね。
1番は適用を受ける年の3月15日までに提出しなければならないので、確定申告書の提出段階で、その提出する確定申告書を青色申告にすることは出来ないので注意です。
また、3月1日に提出しても、その年から1年間適用されるので安心
白色申告で申告したい場合
白色申告で申告したい場合には、何もしなければ白色申告になります。
何もしないことが手続き、というより、何も手続きをしない方の受け皿的なものが白色申告でしょうか。
青色申告の手続きをしなかった場合、自動的に白色申告に該当します。
相続があった場合
相続があり、亡くなった方が行っていた個人事業や不動産賃貸業を引き継いだ場合、相続人の方が青色申告の適用を受けたい時は、適用を受けたい相続人が改めて青色申告の手続きをしなければいけません。
亡くなった方が青色申告であっても、相続人の方が何もしなかったら相続人は白色申告になるので注意。
青色申告の手続きの期限も結構シビアなのです。
税理士さん等に相続の相談をした際に、亡くなった方が不動産賃貸業を行っているのに、青色申告の案内がない場合には、少し注意が必要ですね。
税務署への提出書類
青色申告の場合
通常の申告書2枚と、青色申告決算書として以下の書類を提出します。
- 損益計算書2枚(と、月別の売上や仕入、人件費等の記入)
- 減価償却費の計算書
- 貸借対照表
このうち、貸借対照表の作成の有無が青色申告65万控除と10万控除の境目の1つだったりします。
決算書、と聞くだけですごく難しそうに感じますが、内容は案外シンプルなので分かりやすいです。
持続化給付金の必要書類の1つとして、青色申告決算書と損益計算書は一躍有名になりましたね。
月別の売上が損益計算書に載っているので、前年の金額の把握への需要が一致したことでスポットを浴びたのではないでしょうか。このおかげで、資料提出が少し楽になった感じがします。
白色申告の場合
通常の申告書2枚と、収支内訳書2枚を提出します。
青色申告決算書に比べると、簡単になったというよりは1枚に情報が詰め込まれた感があります。
また、合計額表示が多く、内訳を記載する場所はあまりありません。
売上も月別での表示ではなくなりました。持続化給付金の際は、前年の月別売上が分からないので、白色申告の場合には、合計額を月平均にして判定する、という処置がされていましたね。
特に使用用途がなかったのか、持続化給付金の添付書類には指定されていません。
作成帳簿書類
青色申告の場合
青色申告の場合、正規の簿記の原則に従って帳簿書類を保存しなければいけません。総勘定元帳や仕訳帳ですね。
ただ、現金出納帳や売掛帳といった簡易帳簿でも大丈夫とのこと。その場合には、青色申告特別控除が10万円になります。
白色申告の場合
この帳簿が必要!とははっきり書いていませんが、収入金額や必要経費を記載した帳簿書類の作成が義務付けられています。
以前は、白色申告の場合帳簿を作らなくても良かったとのことですが、今は最低限作成が求められるので注意です。
特典(税額計算での優遇措置)の有無
青色申告の場合
特典有りです。
主な特典としては、以下を参考にしていただけると嬉しいです。
この他にも、30万円未満の固定資産を一括で経費に出来たりもします。
白色申告の場合
特典は特にありません。
青色申告と白色申告の一番分かりやすい相違はこの特典があるかないかでしょうか。
簡単に言うと、白色申告の方が税金は高いです。
次回予告
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このページの執筆者
立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。