前回は消費税の計算方法の2パターンについて解説していきました。
簡易課税を受けるためには、届出を先出ししなければなりません。
来年、自分が消費税を検討すべきか否か、という点からまずは考えなければいけないのですね。
それでは、どんな方が消費税を検討しなければいけないのでしょうか。
※こちらの内容は基本的に個人の場合を前提としています。法人の場合にはまた異なる取扱いがある場合があるので注意です。
Contents
消費税はいつから検討するべき?
基本的には、事業を始めて1,2年目までは考える必要はない
消費税は、2年前の売上等の金額を参考にして、消費税を納付しなければいけないのかどうかを決定します。
また、どこかに勤めていて、その会社からもらったお給料は消費税を納付するかどうかの判定金額には含まれません。
事業を始めた1年目・2年目は、2年前の売上は基本的に0円になります。
よって、1年目2年目は消費税について納付するかどうかは考えなくても大丈夫ですね。
2年目後半は3年目に消費税を納付しなければいけないかを検討しなければいけない
1年目・2年目は基本的に上記の通り消費税を考慮する必要はありません。
しかし、3年目になると、2年前の売上金額(1年目の売上金額)が発生しますので、3年目には消費税を納付するかどうかを検討する必要が生じます。
前回の通り、消費税の計算方法で簡易課税での計算をするためには、1年が始まる前に手続きをしなければいけません。
3年目に簡易課税で計算したい場合には、2年目中に手続きをしなければいけないため、2年目に1度消費税については検討する必要があります。
ここまでまとめ
- 基本的に1年目2年目については消費税を考慮する必要はない
- 消費税を納付する人に該当するかは、2年前の売上等で判定する
- 3年目以降については、自分が消費税を納付する人なのかどうかを検討しなければならない
- 3年目に簡易課税で計算したい場合には、2年目中に手続きが必要なため、2年目中に1度消費税について検討しなければいけない
消費税の納税義務者に該当する場合!
どんな方が消費税を納付すべき人になるの?
消費税を納付すべき方を、消費税の納税義務者と言います。
前述の通り、2年前の売上で判定を行い、一定額以上になった場合には、消費税の納税義務者に該当します。
2年前の売上等が一定額以上の場合に、消費税の納税義務者に該当する
2年前の売上等の金額が1,000万円を超える場合には、その1年間、消費税の納税義務者に該当します。
この売上高等の金額というのは
消費税が非課税・不課税に該当する取引以外の全ての事業取引に係る収入
を言います。売上じゃなくて雑収入だから1,000万円の判定に含めなくてオッケー!ということではないので注意
自分の取引はもしかして非課税・不課税の取引ではないか!?と思った方は、自分でお客さんに提出した請求書を確認してみましょう。
消費税も一緒に請求していたら、課税取引になります。
非課税・不課税の取引の収入ってあんまりないので、基本的には大体判定に含まれるという認識で大丈夫です。
こんな収入が該当する!
- サービスや商品を提供したことによりもらった報酬
- 事業で使用していたパソコンや車などの売却代金
- 商品などを自分で使用した場合
などでしょうか。特に注意なのが、事業で使用していた車などの売却代金ですね。突然課税取引の額が上がります。
消費税いつもかからないから大丈夫!と思っていたら実は消費税を納付する人だった、というケースも多々あるので注意
持続化給付金とかの給付金はどうなるのかな
新型コロナウィルスの影響で
- 持続化給付金
- 家賃支援給付金
- 東京都感染拡大防止協力金
などなど、給付金をもらう機会が増えたのではないでしょうか。
これらの給付金については、消費税の判定には含めなくても大丈夫です。
また、消費税自体も発生しませんので、今年消費税を納付すべき方でも考慮しなくても大丈夫です。安心。
但し、所得税は発生するので注意です。
一度消費税の納税義務者に該当したらずっと該当し続ける?
毎年、2年前の売上等で判定する!
一度消費税の納税義務者に該当したらずっと該当し続ける訳ではなく、毎年毎年2年前の売上等で判定をします。
1年目の売上が1,100万円・2年目の売上が900万の場合には
3年目は消費税の納税義務者に該当しますが、4年前は納税義務者に該当しません。
毎年毎年、来年は消費税の納税義務者に該当するのかどうか検討しなければいけません。
ここまでまとめ
- 2年前の売上が1,000万円超の場合には消費税の納税義務者に該当する
- 毎年、2年前の売上で消費税の納税義務者に該当するか判定する
時系列で具体例を見ていこう!
1年目
2年前の売上:0円
今年の売上:1,100万円
→2年前の売上が0円のため、消費税の納税義務者に該当しない!
2年目
2年前の売上:0円
今年の売上:900万円
→2年前の売上が0円のため、消費税の納税義務者に該当しない!
3年目
2年前の売上(1年目の売上):1,100万円
今年の売上:1,500万円
→2年前の売上が1,000万円超のため、消費税の納税義務者に該当する!
4年目
2年前の売上(2年目の売上):900万円
今年の売上1,200万円
→2年前の売上が1,000万円以下のため、消費税の納税義務者に該当しない!
5年目
2年目の売上(3年目の売上):1,500万円
今年の売上:800万円
→2年前の売上が1,000万円超のため、消費税の納税義務者に該当する!
来年の消費税の納税義務者に該当するか、今から検討しよう
消費税の納税義務者に該当するかどうかは、事前に確認しておかなければ基本的に取り返しがつきません。
来年、消費税の納税義務者に該当するかどうか、今の段階で確認しておきましょう!
このページの執筆者
立川の個人・相続税特化の20代税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。