こんにちは。立川のネコ好き税理士、藤本です。
確定申告といえば所得税の確定申告が有名ですが、一定の方の場合には同時に消費税の確定申告も必要になります。
消費税の計算では、課税標準額に対する消費税額から、仕入れに係る消費税額を控除して差引税額を求めます。
それでは、仕入れに係る消費税額の適用要件などはあるのでしょうか。
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
Contents
仕入れに係る消費税額の控除の規定の適用を受けるためには、帳簿等の保存が必要
帳簿と請求書の保存が必要
消費税の計算上、大切なウェイトを占める仕入れに係る消費税額の控除の規定。
預かった消費税から差引きことの出来る部分なので、税額が減少する規定となり、納税者にとっては有利な規定となります。
そのため、適用要件もきっちり定められております。
そのうちの代表的なものとして、帳簿等の保存が挙げられます。
帳簿等の保存については、下記で詳しく解説しているので、良ければ併せてどうぞ。
ただ、災害などやむを得ない事情がある場合には、保存しなくても良いともされています。
では、自分が消費税の納税義務者であることを知らなかったら?
消費税の納税義務者に該当するか否かは自分で判断が求められるところです。
それでは、自分が消費税の納税義務者であることを知らなくて帳簿等を保存できなかったことは、やむを得ない事情に該当するのでしょうか。
今回は、そちらで争った事例を紹介します。
出典
出典:国税不服審判所ホームページ(令和年月日裁決・争点番号500601061)
なお、裁決事例集には登載されておりません。
令和4年6月16日裁決・消費税の納税義務者であることを知らなかったことは、やむを得ない事情には該当しないとした事例
請求人(納税者側)の主張
私は、自らの事業に消費税等が課税され、消費税等を申告しなければならないことも全く知らず、帳簿等を保存していなければ、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項の規定による控除が認められないことも理解していなかった。
これは、「災害その他やむを得ない事情」に該当するべきである。
原処分庁(税務署側)の主張
仮に、請求人が自分が消費税等が課税されることを知らなかったとしても、それは、請求人の法の不知・誤解を主張するものにすぎず、やむを得ない事情とは言えない。
よって、この理由はやむを得ない事情には該当しない。
結論
棄却(やむを得ない事情には該当しない。)
本裁決のポイント
消費税の納税義務者であることを知らなかったことは、やむを得ない事情には該当しない
今回のポイントとしては、消費税の納税義務者であることを認識していなかったことはやむを得ない事情に該当するか否かの論点でした。
結論としては、それは法の不知・誤解にすぎず、やむを得ない事情とまでは言えないとのことです。
事業者だからこそ、そのあたりの法律関係はある程度の把握が求められる、ということでしょうか。
消費税の納税義務者に該当するかは大切なポイント
消費税の納税義務者に該当するかの判断は、基本的には納税者自身で行うことになります。
そのため、消費税の納税義務者に該当する事を知らずに申告をしていなかったら無申告だった、という事例も。
今後、インボイス制度が始まった場合、より多くの方が納税義務者になることが想定されます。
無知は罪とは言いますが、とはいえ、消費税の納税義務者の判断も特有の計算が必要になり難しいところであることも事実。
規模が大きくなってきた際には、改めて自分の税法周りを確認することが大切ですね。
まとめ
・消費税の納税義務者であることを知らなかったことはやむを得ない事情には該当しない
当事務所では、法人成りを検討している方や事業を始めたての方、これから規模を大きくしていきたい個人事業主、中小事業の方など幅広い視野を必要とする税務顧問を得意としております。
また、顧問契約や確定申告依頼までは必要ないけど、分からない部分だけ確認したい……という方のために単発でご相談出来るプランを用意しております。
お客様のご要望に併せてご提案させていただきますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
このページの執筆者
立川のネコ好き税理士 藤本悟史
※内容に関する法令等は、更新日による施行法令を基に行っております。